ドゥカティ新型「パニガーレV2」 伝統のLツインを継承するスーパーミドルクラス
2019年11月にイタリア「ミラノショー2019」(EICMA2019)で一般公開されたドゥカティ2020年モデルラインナップに、伝統のLツインを継承するスーパーミドルクラス「パニガーレV2」が新登場しました。いったいどのようなバイクなのでしょうか。
その生い立ちと、ポジショニングとは?
ドゥカティブランドを構築する原動力、そのひとつと言えるのが長きにわたるレースでの活躍です。なかでも市販車をベースに戦うスーパーバイククラスでの強さは周知の事実です。

ドゥカティは「パニガーレV4R」でスーパーバイククラスに参戦し、2019年シーズンは序盤から飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続け、デビューイヤーながら序盤見せた強烈な速さは記憶に新しいところです。
そのマシンに搭載されるのはV型4気筒エンジンです。それまで1200ccのVツイン(V型2気筒、ドゥカティではLツインと呼称)搭載マシンで戦ってきましたが、MotoGPライクなマシンにスイッチしたのが話題となりました。
ドゥカティと言えば“Lツイン”です。その2気筒の今後を案じるファンも少なくありません。2020年モデルとして登場した「Panigale V2(パニガーレV2)」は、そんなファンの想いや自らの伝統を紡ぐべく、世に放たれたLツインのトップガンなのです。

パニガーレV2は、先代にあたる「959 Panigale(959パニガーレ)」の発展型と言える内容で進化をしています。959パニガーレは、スーパーバイククラス用の「1199パニガーレR」や「1299パニガーレ」の弟分的な存在のモデルです。トップモデルがV4エンジン搭載となったことで、弟分ながらドゥカティ伝統のスポーツポジションを拝命することになった、という筋書きなのです。
V4モデルとの近似性を持たせるため、パニガーレV2の外観はパニガーレV4と歩調を合わせています。ヘッドライト、テールカウルまわり、幾重に見えるレイヤーデザインをフェアリングに採用し、外観に共通性を持たせています。
そしてシングルサイドスイングアーム(片持ち式スイングアーム)の採用や新しい意匠のホイールを履き、高級感も漂わせます。

もちろん、改良は外観だけにとどまりません。ヘッドライト脇からエンジンに供給する外気導入ダクトの高効率化や、燃料を供給するインジェクターも新しいものを採用しており、排気系デザインも変更されるなど、吸排気系の見直しにより2020年に始まるより厳しい環境新規性「ユーロ5」に適合しながら、先代より最高出力を5PS、最大トルクで2Nm向上させています。
パニガーレV2の特徴のひとつがモノコックフレームです。これもMotoGP由来のテクノロジーであり、ステアリングヘッドを持つボックス型のフレームをエンジンと結合し、エンジンとともに車体剛性をまかないます。
モノコックフレームは、いわば“小さな箱”です。車体骨格であると同時にエアクリーナーボックスも兼ねています。燃料タンク底面がエアクリーナーボックスの蓋を兼ねる構造で、パーツ点数の削減と車体の軽量化、スリム化に貢献しています。
モノコックフレームと燃料タンクそのものは、先代の959パニガーレから引き継がれているものの、車体のジオメトリーを最適化するなどして走りのポテンシャルをあげています。フロントフォークの減衰圧セッティングや2mmストロークを伸ばしたリアショックユニットの採用など、細かな部分まで追求されたと言います。

2020年より適用される欧州自動車排出ガス規制「ユーロ5」に適合したスーパークアドロ・エンジンは、最高出力155ps/10750rpm、最大トルクは104Nm/9000rpmを発揮します。はたしてその走りはどうなのか? 期待に胸を膨らませずにはいられません。
ドゥカティ新型「パニガーレV2」の日本での販売価格(消費税10%込み)は225万円です。
【了】
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。