アートやポエムの才能に溢れている暴走族もなかにはいる!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.32~

世界中を巡っていると不思議な文字に出会す時がある。英語の筆記体を崩したようなアラビア文字のようなストリートギャングが発祥のタギングだ。日本の暴走族が描く文字も非常に興味深く思える!

壁に描かれたスプレーの落書きを読める人はいるのか?

 世界各地を巡っていて、いつも不思議に思うことがある。それぞれ言語は決定的に違うのに、万国共通のイタズラ文字を目にするのだ。

 それは、英語の筆記体をちょっと崩したような文字で、たいがいスプレーの一筆書きで記されている。記号のようでもあり、タイ文字やアラビア文字を混ぜ込んだようでもある。

米国のストリートギャングが縄張りを誇示するためにイタズラ書きしたのが発祥

 街のいたるところに書き込まれているスプレーメッセージは、タギングと呼ばれるそうだ。元々は米国のストリートギャングが縄張りを誇示するためにイタズラ書きしたのが発祥だという。犬のションベンみたいなもの。それが世界各地に広がった。アナーキーイズムでありサブカルチャーである。そもそも許可なき書込みは違法行為だが、一部ではストリートアートとして発展しているのだ。

 いやはや、あの不可解な文字は世界の街に浸透しているのに、僕の知り合いの中であれは解読できるひとはひとりもいない。とってもミステリアスなのである。

 その意味でいえば、直管マフラーで爆音を響かせる暴走族たちも負けていない。落書きは反社会的行為だが、見ようによってはアートに見えなくもない。とてもじゃないけれど、大股でバイクをローリングさせ、警察と鬼ごっこをしている彼らが描く作品とは思えないのだ。

「JAPAN MAD SPECIAL」
「BLACK EMPEROR」
「JOKER’S」

暴走族はアーティストなのか?

 様々なアルファベットの書体を織り交ぜながら、印象深い文字を描いている。プロのイラストレーターにロゴを発注しているとは思えないから、おそらく仲間うちの誰それの作品なのだろう。それが全国区になった。暴走族を卒業して、プロのフォント職人になった人がいるのではないかと想像したくなるセンスである。

「極悪」なんて落書きは、今にも血が滴り落ちそうな狂喜に満ちた書体である。お見事なのである。
 僕の地元には、このロゴを見かけることが多かった。橋桁やトンネルなどに、丁寧に描かれていた。

「AL☆CAPONE」
「つのだ☆ひろ」のパクリかもしれないけれど、なかなかいいセンスをしているのだ。

 バイクで暴走するヒマがあったら、ホンダの門を叩いてサーキットライダーを目指すとか、新潮社にポエムを寄稿するとか、博報堂に籍をおいてアートディレクターになるとか・・・。

 暴走族のなかにも、才能に溢れている奴はいるのである。卒業したいまでは、その世界で活躍しているかもしれない。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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