花粉飛散防止剤の散布試験で活躍するヤマハ「YMR-08」 バイク以外の分野でも発揮されているヤマハの技術力

ヤマハが製造する産業用ドローンが花粉飛散防止剤の散布試験で活躍しています。いったいどのような取り組みなのでしょうか

農業や災害対応で活躍するヤマハ製の「産業用無人ヘリコプター/ドローン」

 スポーツヘリテイジモデル「SR400」やマウンテントレール「セロー」シリーズなどロングセラーモデルを生み出してきたヤマハは、バイク以外にも様々な分野で技術力を発揮しています。

ヤマハの産業用ドローン「YMR-08」

 その中の一つである「産業用無人ヘリコプター/ドローン」分野においては、近年、農業や災害対応などに貢献することで、2019年度 科学技術分野の文部省科学大臣表彰を受賞しています。

 環境省が実施した、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギーの全国疫学調査の結果によると、アレルギー性鼻炎全体の有病率は39.4%、花粉症全体の有病率は29.8%、なかでもスギ花粉症の有病率は26.5%と、スギ花粉による症状に悩まされている人はかなり高い割合を締めています。

ヤマハと連携し、「花粉だけをやっつける」施策に取り組む

 スギ花粉が社会問題化した1990年代前半からその対策の研究に取り組み続け、およそ四半世紀におよぶ試行錯誤の末、民間企業との連携により植物性油脂由来の界面活性剤を主成分とする花粉飛散防止剤(農薬)の開発に成功した東京農業大学の小塩海平教授(国際農業開発学科)は、つぎのようにコメントしています。

東京農業大学の小塩海平教授

「日本には、九州の面積にも匹敵する約450万ヘクタールものスギ林が存在します。地球温暖化と相まって、今後も花粉の飛散量は増え続けていくでしょう。特に若年層では6割以上が花粉症に悩まされているとされる中、この時期に入試を迎える生徒たちは本当に気の毒です。

 8月末から10月の初旬にスギの若い雄花に散布すると、雄花だけが枯れて翌年春の花粉の飛散量を大幅に抑えることができます。人体に影響がないことは実証済みで、花粉を作らせないことによって、木の生育や木材の品質に好影響を与えることもわかっています」。

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 また、2019年9月末には静岡県森林・林業研究センターにて、農薬散布等で実績のあるヤマハ製ドローンに名古屋大学が開発した特殊なノズルを装着し、より高効率な薬剤散布を目指した比較試験が行われましたが、この取組に対して小塩海平教授は次のようにコメントします。

「天竜美林と呼ばれるこの地域のスギ林は、日本三大人工美林の一つとされる一方で、周辺地域に飛散する花粉の量も全国のトップクラスです。花粉の少ない品種への植え替えなども始まっていますが、その効果が得られるまでに50年以上かかります。

ヤマハの産業用ドローン「YMR-08」による散布の様子

 じつは私も浜松市北部の出身ですが、地域が抱える課題の解決に向けて、同じエリアで事業を展開するヤマハ発動機との連携は意義のあること。ピンポイントの散布にはドローン、より広い範囲の散布には産業用無人ヘリコプターと、各種ヤマハ製品の使い分けも想定しています」。

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 ドローンなどによる飛散防止剤の散布は、全国のスギ林の所有者に理解を得ることや、経済的な負担を抑えた効率的な薬剤散布技術の確立などの課題点も残されていますが、小塩海平教授は「スギは、日本書紀にも記されている古来からの日本の宝。伐採に頼ることなく、花粉だけをやっつけるモデルをこの地域で確立して全国に広げていきたい」とその意気込みを語ります。

 なお、テストで使用された「YMR-08」は東京モーターショー2019でも展示されたモデルで、「1フライトで1ヘクタール(1万平方メートル)のほ場を15分で散布する」ことをコンセプトに開発された産業用マルチローター(通称ドローン)です。

 二重反転ローターなどによる力強いダウンウォッシュは薬剤を作物の根元まで届け、産業用無人ヘリコプターに匹敵する散布品質を実現しています。

 バイク以外の分野で活躍するヤマハの技術が花粉飛散対策にどこまで尽力するのか、期待がかかります。

【了】

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