MotoGPルーキー、KTMのブラッド・ビンダーが明かすミサノテストの感触
2020年7月3日、MotoGPに参戦するRed Bull KTM Factory Racingが、ブラッド・ビンダーのオンライン取材会を実施。2020年シーズンのMotoGPクラスルーキーであり、早くも2021年シーズンに向けた契約を更新したビンダーが、記者たちの質問に答えました。
2021年シーズン、KTMファクトリーは若きライダーの布陣で挑む
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大と、その防止対策により、各スポーツ同様、2輪ロードレース世界選手権MotoGPもこれまで開催延期を余儀なくされていました。しかし予断を許さない状況とは言え、少しずつ各スポーツが再開され始めています。

2020年7月5日には、F1の開幕戦がオーストリアで開催されました。MotoGPも来る7月19日(決勝日)、スペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトにて無観客という形での再開を控えています。
6月25日、KTMは開幕に先駆け、ファクトリーチームであるRed Bull KTM Factory Racingにブラッド・ビンダーとミゲール・オリベイラを起用、インディペンデントチームのRed Bull KTM Tech 3にダニロ・ペトルッチとイケル・レクオーナを起用して2021年シーズンのMotoGPを戦うことを発表。今回のオンライン取材会では、ビンダーが取材に応じました。
ビンダーは2020年シーズン、Red Bull KTM Factory RacingからMotoGPクラスデビューを果たす24歳の南アフリカ人ライダー。2016年にはロードレース世界選手権の小排気量クラス、Moto3クラスでチャンピオンに輝き、南アフリカ出身のライダーとしては36年ぶりの快挙を成し遂げました。2015年からKTMマシンを駆り、KTMライダーとしてMotoGPにステップアップしています。

「さらに1年、KTMにいることができてとてもうれしいよ」と、ビンダーは契約更新について語りました。
「KTMと僕はすばらしい関係性を築いている。もうずいぶん長く、一緒にいるんだ。まだ今季の半分しか経っていないことを考えると、とてもうれしいよ。来シーズンはすばらしいだろうね。もちろん、2020年シーズンは短くなっているから、たくさんのことを学ぶ必要はあるけれどね」
来季は同い年であり、Moto2、Moto3クラス時代のチームメイトだったオリベイラとタッグを組みます。オリベイラは今季でMotoGPクラス参戦2シーズン目。若いライダー2人がファクトリーチームライダーとしてKTMをけん引し、そしてまた、マシンの開発を担うことになるのです。一方、インディペンデントチームのRed Bull KTM Tech 3には現ドゥカティ・チームライダーで30歳のベテラン、ペトルッチが加わります。
「僕とミゲルがMotoGPクラスで新人であることは間違いないし、まだ多くの経験もない。でも、ダニロのように経験豊富なライダーがやって来る。ダニロはドゥカティのファクトリーチームで表彰台を数回、獲得しているし、優勝も飾っている。ダニロからのフィードバックはすばらしいものになるだろう。それに、ダニ・ペドロサ(KTMテストライダー)もいる。彼がもたらすものは、うまく機能して改善につながっているように見える。KTMはすばらしい方向に進んでいると思う」
「ちょっと怖かった」数カ月ぶりのMotoGPマシン走行
ビンダーは6月23日から25日にかけて、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われたプライベートテストに参加。このテストはKTMのほか、ドゥカティ、アプリリア、スズキ、また、スーパーバイク世界選手権(SBK)のライダーも参加したものです。

じつはKTM、5月27日、28日にもオーストリアのレッドブル・リンクでプライベートテストを行なっていたのですが、南アフリカに滞在中だったビンダーは新型コロナウイルス感染症による出国制限で参加ができなかったのです。ビンダーにとってミサノでのテストが数カ月ぶりの走行となり、その時の印象を次のように語りました。
「初日はじつのところ、ちょっと怖かった。混乱したよ。最初のうちは難しかった。3カ月もソファに座っていたあとだからね……、実際にはトップスピードというわけでもなかったのに」
もちろん毎日トレーニングを欠かさなかったそうですが、2020年シーズンのルーキーであるビンダーがMotoGPマシンを駆るのは、プレシーズンテストだけ。そういう意味では、ビンダーのみならずルーキーには厳しいシーズンだと言えます。とはいえ、2日目からは順応した様子。
「2日目は1ラップ目から、コントロールできるように感じた。よりリラックスできるようになったよ」

このテストでは、プレシーズンのテストからフレームを少し変更しています。「ほかのライダーはもう(2月下旬の)カタールテストで使っていたんだけど、僕は今回のミサノで投入したんだ。あとはセットアップを少し変えた。でも、大きく変わったところはないよ」と、ようやく見えてきた開幕に向け、まずはMotoGPマシンの感覚を取り戻したようです。
間もなく再開を迎える2020年シーズンのMotoGP。早くも2021年シーズンMotoGPクラスのシートを手にしたビンダーが、どのようにルーキーイヤーを戦うのか、注目したいところです。
【了】
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

