バイクに対する規制強化が海上でも? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.56~

レーシングドライバーの筆者(木下隆之)は、陸上でも海上でもバイクの楽しさ感じつつ、同時に規制強化といった環境の変化も似たところがあると言います。どういうことなのでしょうか?

海上にも忍び寄る? バイクに対する規制強化はやむなしか……

「横須賀海上保安部が水上バイクの事故防止対策に乗り出す」そんな新聞記事を目にして、気持ちがシャキンとなった。というのも、横須賀海上保安部は、三浦半島から静岡県境までの沿岸警備を担当する。僕(筆者:木下隆之)の自宅は逗子にあり、つまり、いつも目にしている相模湾のパトロールを強化するというのだ。

水上バイクにはモーターサイクルに通じる楽しさがある(写真はイメージです)

 狙いは水上バイクである。逗子の海辺には水上バイクがウヨウヨしている。とくに逗子海岸にはおびただしい数の水上バイクがたむろし、独特の雰囲気が漂う。エンジンサウンドを高回転で唸らせ、スピンしたり高速で滑走したり、危険なのだ。実際に死亡事故も無くはない。ちょっと言葉が過ぎるかもしれないが、つまり「海の暴走族」なのだ。

「ありゃー、水上バイクも肩身が狭くなるのね」と、一旦は哀れに思ったけれど、一方で歓迎する気にもなる。

 僕もかつては水上バイクを所有し、海原を滑走する楽しさを知っている。いまでも時折、知人の水上バイクを借りてマリンスポーツに興じることもある。だから、監視強化には残念な気持ちも無くはないのだが、それでもあの危険な走りを野放しにするわけにはいかないという思いも捨て切れないのだ。

 水上バイク乗りは、逗子海岸のエリアを「ゲレンデ」と呼ぶそうだ。海岸には女性が多く集まる、つまり、ビキニ姿の(エロい)女性をナンパしに集まるのだ。目の前で派手に回転したり滑走して、女性の興味を惹きつける。女性はその姿に熱い視線を送り、にわかカップルが成立する。古今東西展開されているナンパがまだ色濃く残っているのである。

 いやはや、水上バイクの乱暴なライディングは危険だから、規制はやむなしである。だが、ナンパの手段を失うかもしれない水上ライダーにとっては困っちゃうことだろう。

2020年シーズンのスーパーGTでは、ドライバーとしてではなくスポーティング・ディレクターとして『BMW Team Studie』に帯同する筆者(木下隆之)

 かつては陸上で、バイクもナンパの道具として効力があったらしいし、暴走族もいた。だが、たびかさなる規制強化で悪漢は減った。水上バイクも陸上バイクのように、“正統派”への道を進むのだろうか……。

【了】

【画像】「木下隆之の、またがっちゃいました」の画像を見る(7枚)

画像ギャラリー

Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

最新記事