ホンダ「VFR800F」に乗ると当時の記憶が不思議な程に蘇る! ~リターンライダーKANEKO’S EYE~

クルマ業界に25年以上。ドライビング・インストラクターや自動車に関する研修トレーナーをしている経験を活かし「ブランド」「商品」「こだわり」「疑問」など、現在のバイク界をピュアな目線でレポートします。今回は、トリコロールが美しいホンダ VFR800Fに試乗します。

VFR800Fに跨った瞬間に思い出すこの感覚!

 強烈な日差しの中、自分を待ち受けてくれていたのはトリコロールカラーが眩しいホンダのVFR800F。トリコロールはフランス語で「3色」を表すとのことですが、このVFR800Fのトリコロールは、使われている色の帯幅が絶妙にコントロールされていて、鮮やかだけど主張の強い派手さは無く、ちょっと洗練された上品さを感じます。

大人のトリコロールを纏ったホンダのVFR800F

 近寄って観察すれば、カウルサイドにインターセプターというサブネーム?が付けられていて、モダンで洗練されたビジュアルの中にも、80年代レースシーンの伝統がさりげなく確認でき、うれしい気持ちと同時に「VFR」という名前の重みにも気がつかされます。

 そして、なんと言っても「プロアーム」です。以前にもお話をさせていただいたことがあるのですが、自分が学生時代に乗っていたのが、ロスマンズカラーのVFR400Rで「プロアーム」を採用していたモデルでした。マフラーがホイール脱着側に付いてはいたのですが、耐久レーサーを彷彿させるビジュアルは、本当にカッコ良かったと記憶しています。

 それがこのVFR800Fにまだ採用されていたんですね。マフラーは、よりホイールセンター寄りで、プロアームの存在感が薄れてしまってもいますが、改めて見てもやっぱりカッコいい。そして同時にこのVFR800Fが、持っているパフォーマンスをやみくもに主張し過ぎない、大人なモデルなのだと感じます。

プロアームは、あの頃を思い出させてくれる装備のひとつ

 実際に跨ってみると、これは本当に本当に不思議なのですが「あ~懐かしい…」と感じたのです。もちろんバイクは進化をしていて、排気量だって違うクラス。ですから全く違うモデルなのは理解はしているつもりです。しかし、跨ったときに「懐かしさ」を感じます。それはハンドルの位置、メーター周りの位置関係、ステップの位置、V4エンジンの横幅の雰囲気「あ~、こうだった。こうだった。これVFRだ!」と、なにか当時の感触が蘇って来るようです。そしてまた同時に「あ~ホンダだ、ホンダだ!」と、この感覚って本当に不思議ですね。

 クルマだと現行?の86(終わろうとしている…)が、デビューのときから新しいクルマなのに、現代のクルマではない、何故か古いクルマの気配が漂っていると感じたことはあったのですが、その時々の時代でメーカーの中でも素材や作り、計器類の配置の仕方やコストの問題、インフォテイメントの進化なども含めて流行りがあって、なかなか「あ~、以前のモデルといい意味で似てる」というのは圧倒的に少なく感じます。

 しかしバイクは、目で見る車両の面積、シートだって全然クルマより小さくて体が触る面積も少ないのに、跨っただけでメーカーの色を感じたり、そのモデルの個性を凄く感じられる。そう考えると本当におもしろいですね。 VFR800Fも、まだ全然走らせてもいないのに、この段階でも、やはりバイクって本当におもしろいなと、改めて思います。

走れば心地よいV4サウンドと扱いやすいVFRのエンジンフィーリングが楽しい時間に誘ってくれる

 そして走らせれば、V4エンジンらしいトルク感になめらかなフィーリング。連続するカーブも車線変更も抜群に気持ち良く、スポーティなのに乗りやすい。取り回しなどはさすがに大型バイク感がありましたが、動かしても久しぶりにVFRを感じます。

 コンセプトは大人な感じですが、このモデルが現代に存在していることが嬉しく、試乗中も本当に楽しい時間にしてくれました。

【了】

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Writer: 金子陽一

トップドライバーを目指し自動車レースに参戦。幾度かの資金難から挫折しかけたところをチューニングカー雑誌の編集部に拾われ、タイムアタック/レポートドライバーを担当。現在、それらの経験を活かし自動車ブランドが開催するドライビングレッスンのインストラクター、そして販売店スタッフ向けの研修トレーナーとしても活躍中。学生時代に乗っていたバイクからはしばらく離れていたが、近年、最新バイクの進化、またバイクを取り巻く最新アイテムの進化に感動しバイク熱が復活。大型自動二輪免許も取得。クルマで経験してきたセンサーを活かして「バイク」「ブランド」「アイテム」「こだわり」など、最新のバイク界をピュアな目線でレポートする。

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