自社の強みを活かした京都の雰囲気漂うおしゃれなマスク デグナーの社風も表れるチャリティ商品として人気

京都のバイク用品メーカー『DEGNER(デグナー)』は、コロナ禍で「自分たちにできることはなにか?」を考え、自社製品の強みを活かしたマスクをチャリティ商品として開発しました。その取り組みに注目します。

デグナーがモトマスクで表現した「自分たちにしかできないこと」

 新型コロナウイルスが我々の日常と共にある事態になってから、早半年以上が経ちました。多くの人の生活や考え方をも変え、それはバイク業界で働く人々にも大きな影響を今なお与え続けています。そんな社会情勢の中「自分たちにできることは何か?」と、行動を起こしたバイク業界の会社も沢山あります。その中の一社『株式会社デグナー』の取り組みを代表取締役社長の嘉山琴子さんに伺いました。

デグナー代表取締役社長の嘉山さん(左)と課長の丹下さん(右)。『モトマスク』を手に

 デグナーではコロナ渦に陥った後、すぐに社内全体で「自分たちにできること」を考え始めたそうです。以前より東北出身のスタッフがいたことがきっかけで東日本大震災の際には寄付活動をし、その他にも数々のチャリティ活動を行なってきた経験があり、今回もその動きは社内で自然に起こったそうです。

 嘉山さん「K-FACTORYさんの『SNAP2020』にも大きく影響を受けました。素早い動きを見て自分たちも早く動かなければ、という思いに駆られました」

『SNAP2020』とは、マフラーなど様々なバイクパーツを手がける大阪の『K-FACTORY(ケイファクトリー)』が製作した、ウイルスの付着が疑われるドアノブなど多様な場所の直接接触を防ぐアルミ製のアイテムです。2020年4月、早急にとの思いでわずか3日で製作され、1万1000個以上を医療機関に無料配布し大きな話題となりました。

 デグナーでは以前より、前社長で現会長の世古口さんの案で『モトマスク』を製作する計画がありました。デグナーの革製品の一部はベトナムの工場で製作されていますが、ベトナムではバイクに乗る際に多くの人がマスクを装着しています。それは粉塵防止のためですが、それを見た世古口さんが日本でも必要ではないか、と商品化の構想を練っていました。

 ですが2020年4月、マスク不足問題を鑑み社会的に必要なアイテムであると判断し、前倒しで生産することを決定しました。4月初旬より製作に取り掛かりましたが、その際社内で様々な意見が出たのがマスクのデザインだったそうです。

『クロコRED』柄のモトマスクを装着するのは新入社員の辻本さん

 嘉山さん「深刻なマスク不足を受けビジネスシーンでも使いやすいシンプルなデザインで生産をした方が世の中の役に立つのではないかとの議論がありました。ですが、デグナーらしさを忘れてはいけない、と世古口会長からのアドバイスもあり、花山(かざん)シリーズでの発売を決定しました」

 京都、西陣織の文化を受け継いだ金襴を施した独自のデザインで人気の『花山/KAZAN』シリーズ。5月下旬にインターネットストアで購入予約を募ると、たった2日で初回生産分が完売しました。

 嘉山さん「デグナーらしさを忘れない。その結果、単なるマスクではなく『デグナーのマスク』をお客様にお求め頂けました。初回に4柄用意したのですが、多くのお客様から選ぶ楽しみがあったと言われてほっとしました。それこそが自分たちのできることだったと改めて知りました。そして何より“寄付をする商品”であった事がご支持を頂いた大きな要因だと思っています」

 嘉山さんの言う“寄付”とは、モトマスクを“2020年内の売り上げの50%を『国境なき医師団』に寄付をする”というチャリティ商品として販売することでした。

 嘉山さん「このタイミングでマスクを販売して、会社が儲けてはいけない、という空気が怖いくらいに社内に充満していました(笑)。最終的な寄付という判断は私がしましたが、全社員の思いであったことは間違いありません。社員みんな、自分たちにできることをしたくてうずうずしていましたから」

人気の「花山」シリーズを施したモトマスク。全てオリジナルの柄を使用し9月末時点で26柄をリ リース(既に販売終了した柄もあります)。洗って繰り返し使える男女兼用の布マスク(価格990円・税込)

 寄付先を国境なき医師団にしたのはどうしてでしょうか?

 嘉山さん「デグナーは日本国内だけでなく、お話ししたようにベトナムにも工場があり、実際に海外の取引先にもこの波は押し寄せています。国内のお客様にも伝わりやすく、海外の方たちにも還元できるということで、『国境なき医師団』の新型コロナウイルス危機対応募金を選びました」

 迅速に寄付をしたい、との思いから、8月末に第1回目の寄付を行い、その金額は195万5271円と、今までのチャリティ活動の中で最高金額の寄付金となりました。また、バイクユーザーもちろん、医療関係者からも活動に共感して購入したというメールが届き、とても嬉しかったそうです。

 嘉山さん「やってよかった、と心から思いました。この商品を作ったことで、本当に多くの人の優しさ、思いやりを強く感じることができました。どんな時でもオリジナリティを失わないことの大事さ、そして私達の周りには素晴らしいお客様が多くいらっしゃる事を再認識させていただきました」

今回話を伺った株式会社デグナー代表取締役社長の嘉山さん。自身もバイクを所有し、休日にはツーリングを楽しんでいる

 社会的な意義もありつつ、お客様に喜んでもらえる「自分たちにしかできない」商品を作る……。今後も革のマスクやマスクケースなど、バイクのあるライフスタイルの中で違和感なく使えるデザインの商品を開発、リリースしていく予定だそうです。

【了】

【画像】バイク用品メーカーがおしゃれなマスクを開発!(18枚)

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