レジャー用から世界戦マシンまでバラエティ度が加速!? 人気の250ccクラスと、期待したい新たな刺客!

国内4メーカーがラインナップする、250ccクラスのロードスポーツが人気を集めています。魅力はそれぞれですが、俯瞰するとこのクラスはレジャー用途から世界戦レーサーまでさまざま。そして海外モデルも充実してきました。そして新ジャンル登場の期待を込めて、ライターの松井勉さんが考察します。

バラエティ豊かな250ccクラス

 国内4メーカーがラインナップする、250ccクラスのロードスポーツ注目機種に乗り、後日じっくり各車を復習しました。

人気の250ccクラスロードスポーツ、2020年9月に発売されたホンダ「CBR250RR」に試乗する筆者(松井勉)

 価格(消費税10%込み)だけを見たら、カワサキ「Ninja ZX-25R ES KRT EDITION」の91万3000円を筆頭に、ホンダ「CBR250RR」のグランプリレッド(ストライプ)を選べば85万4700円、ヤマハ「YZF-R25 ABS」が65万4500円、スズキの「ジクサーSF250」は48万1800円と、同クラスでありながら、その数値だけを見ると“これも格差社会か?”と考えてしまいます。しかし、乗ればどれも納得。楽しいし、もちろん安かろう悪かろうというプロダクトではありませんでした。

 エンジンも直列4気筒のカワサキ、直列2気筒ながら、超高回転までスムーズさを失わずパワーとトルクを生み出すホンダ、同じ2気筒ながら、ホンダのパワフルさでは一歩譲るが扱いやすさが印象的なヤマハ、油冷単気筒という新しいエンジンを搭載してきたジクサーに至っては、そのスムーズさとトルク特性の確かさや回転上昇の滑らかさで、魅力はそれぞれ。

 いや、むしろこのジクサー、侮るがたし。そしてインド生産のクオリティにも納得。ヤマハのインドネシア生産、カワサキがタイ生産、ホンダは熊本生産ながら生産国による差より、世界戦略車としてのカバー範囲の広さのようなものをその価格からも感じ取れたのです。

 一般論的に言えば、このクラスを初めてのバイク選びとして価格や維持費の手軽さ、それでいて大型バイクへのステップ1段目、というポジションで選ぶのが通説です。スクーター、クルーザー、ネイキッド、スポーツバイク、デュアルパーパス(アドベンチャー)等々、かつては日本4メーカーが主体でしたが、現在は海外ブランドも加わり、そのバラエティ度が加速しているのも現状です。

ハスクバーナ・モーターサイクルズ「SVARTPILEN 250(スヴァルトピレン250)」

 カスタムテイスト山盛りのカフェスタイルをヨーロッパで企画し、アジア生産で低価格を実現というものも少なくありません。そうした趣味性の多様化をしっかりキャッチアップしています。KTM+ハスクバーナ+ガスガスというグループが送り出す世界選手権参加レベルのエンデューロ向けオフロードバイクにも250ccクラスがあり、その走りは、なるほど素晴らしいものがあります。

 公道走行は出来ませんが、ロードレース用マシンとしてホンダがリリースする「NSF250R」など、そのスペックは驚くばかり。車重はわずか84kg。搭載される249cc単気筒エンジンからは最高出力35.5kW/13000rpmを生み出し、1馬力当たり重量はわずか1.74kgを切っています。この数値、ネイキッドモデルの「CB250R」と比較すると、車重144kgに対して20kW/9000rpm、1馬力当たり重量は5.3kgとなり、まったく世界が違います。

 ちなみに、「NSF250R」をベースにしたワークスマシン「NSF250RW」も参加している世界選手権、MotoGPのMoto3クラスでは、2020年カタールグランプリで最高速レコードを更新し、250ccクラスの4ストローク単気筒レーサーが、245.5km/hを記録したとのこと。13500回転でレブリミットがかかるエンジンでそこまで出るとは! ライダーの腕もさることながら、250ccクラスはどこまで可能性を秘めているんだ!? と思います。

250ccクラスに刺客現るか!? 期待したい新ジャンル

 それはともかく、昨今のアウトドアブームもあり、2020年デビューのホンダ「CT125・ハンターカブ」が大人気となりました。そこで250ccクラスに潜む、隠れた刺客として個人的に「来ないかな!」と妄想しているのが、農家・酪農家の作業用として作られたプロフェッショナルユースの“アグリカルチャー(Agriculture)・バイク”です。

ヤマハ「AG200」(1985年)

 かつてヤマハが「AG200」というバイクを国内でも販売していました。前後にガッチリした大型キャリアを装備し、とくにリアのそれは大きく、干し草や牧場の補修道具を積んで走るため、という記事を読んだことがあります。

 また、泥はねからドライブチェーンを護るために、ビジネスバイクのようなフルカバードのチェーンケースを装備したり、サイドスタンドが右側にもあったり、いちいちニュートラルを出さなくてもクラッチから手を離して停止できるよう、クラッチレバーを握った状態で保持できるストッパーがついていたり……と、別な意味で多機能ポケットナイフ的道具感に引かれたのを思い出します。

 アグリカルチャー・バイクとは異なりますが、後にスズキが「ジェベル」シリーズをベースにして、大型キャリアを装備する「DF125E」「DF200E」なんてバイクも出していました。ヤマハ「TW」シリーズやスズキ「バンバン200」的なバイクのリバイバルも期待したいところです。

スズキ「DF200E」(1997年)

 今の時代に合ったバイク、250ccクラスだからこそできるサバイバルバイク。コロナ禍時代の応援歌にどうでしょう?

【了】

【画像】ストリートから農場まで? タフなバイクを見る(10枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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