ユーロスタイルの新型「フォルツァ」はエマージェンシーストップシグナルも採用!

三密回避の通勤用途などで原2スクーターが注目されがちですが、ビッグスクーターブームで大人気だった250ccクラスには『フォルツァ』があります。新型をバイクジャーナリストの青木タカオさんがじっくりチェックしました。

先代から貫くスポーティ路線!

 原付2種の人気が目立つ一方で、かつてビッグスクーターブームを牽引した250ccスクーターは今どうなっているのか……!? 心配無用、ホンダ『FORZA(フォルツァ)』がモデルチェンジし、3月25日に新発売です。

ホンダの新型FORZAをバイクジャーナリストの青木タカオさんが徹底チェック!

 FORZA(フォルツァ)とはイタリア語で「力強さ」「元気」を意味し、逞しくスポーティな外観と走りを表現したもので、初代は2000年に登場しました。

 ホンダらしくスポーティ路線を追求し、軽二輪スクータークラス初のタコメーターや大径13インチの足まわりを採用。左右独立型のデュアルヘッドライトや4連型のテール&ウインカーなど、スタイルもスーパースポーツを彷彿させるものとして、シーンをリードしていたヤマハ・マジェスティに真っ向勝負を挑んだのでした。

背筋を伸ばして乗るユーロスタイル

 2021年型の『フォルツァ』は、ビグスクブームの頃の低いシートから足を前に投げ出して乗るスタイルを改め、腰高なポジションで背筋を伸ばして乗るユーロスタイルに刷新されています。

自然体のライディングポジションを追求した「台形バランス」フォルムをベースに、アグレッシブさを具現化しています

 2018年式で、走りの良さが一目で分かる“台形バランス”のフォルムに生まれ変わり、ホイールベースを35mm短縮。足まわりもフロント15インチ、リヤ14インチになりました。

 今回登場する新型では、ミラーに埋め込まれたウインカーや、ヘッドライト下に設けたスポイラーの形状を変更。エアインテークやアウトレットなどをアグレッシブなラインのボディー面でまとめ、力強くよりスタイリッシュなデザインとしています。

新世代環境対応型スクーター用エンジン「eSP+」

 今回登場する新型では、新設計エンジン「eSP+(イーエスピープラス)」を搭載。水冷SOHC4バルブはそのままに、ボアを68.0→67.0mmに、ストロークを68.5→70.7mmに伸ばし、排気量を248→249ccに拡大。最大トルク2.4kg-mや圧縮比10.2などに変わりはありませんが、最高出力23PSの発生回転数を7500→7750rpmに上げています。

■2018年式フォルツァ
最高出力23PS/7500rpm
最大トルク2.4kg-m/6250rpm

■2021年式フォルツァ
最高出力23PS/7750rpm
最大トルク2.4kg-m/6250rpm

新設計エンジン「eSP+(イーエスピープラス)」を搭載

「eSP+」エンジンではクランクまわりが高剛性化され、ピストンオイルジェットを採用。吸気効率の向上と燃焼効率タンブル流が強化された吸気ポート、そして湾曲形状をより直線的にした排気ポートも、いずれも完全新設計としています。

 エアクリーナーからインレットパイプまでを構成する各部品の吸気経路も拡大され、吸気効率も向上。マフラーは3室だった内部構造を2室に変更し、キャタライザーの配置やサイズが最適化されています。

 また、クランク室内の潤滑油などを吸引することで、同室内における回転フリクションの低減に寄与するスカベンジポンプをはじめ、騒音や振動を抑制する油圧式カムチェーンテンショナーリフター、振動を低減させより快適な走行に寄与するバランサーシャフトを採用していることも見逃せません。

エマージェンシーストップシグナル採用でより安全に

 フレームも各部を構成するパイプ径や肉厚、材質、接合位置を見直し、一部を新設計。ラジエーターが容量11リットルの燃料タンク前に配置され、効率的にエンジンを冷却するとともに、フロントへの分担荷重が増え、より安心感のある車体挙動に寄与します。

 急ブレーキをいち早く後続車に伝えるエマージェンシーストップシグナルも新採用。自車が急ブレーキをかけたとき、自動的にハザードランプを高速で点滅させることで後続車に知らせ、追突される可能性を低減するシステムです。

走行中でも調整が可能な電動式可動スクリーンを搭載

 また、無段階で調整可能な電動式可動スクリーンの可動域が従来モデルより40mm増え、180mmに。ウインドプロテクション性能をより向上させました。

 フロント左側のインナーボックス内には携帯端末の充電などに便利なUSBソケットも装備。Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)やHonda SMART Keyシステムは継続して標準装備としています。

車体色は全3色とし、写真はスマートでモダンな雰囲気を表現した「パールホライゾンホワイト」

 車体色は全3色とし、写真はスマートでモダンな雰囲気を表現した「パールホライゾンホワイト」。アグレッシブな印象の「マットガンパウダーブラックメタリック」という従来型から引き継ぐカラーに加え、力強さと個性を表現した新色の「インディーグレーメタリック」も選べ、価格はいずれも65万8900円(税込み)となっています。

 三密回避の通勤用途などで注目されるシティコミューターですが、「250ccスクーターも忘れるな!」と言わんばかりにバージョンアップされ、新型となったホンダ『フォルツァ』。高速道路も快適に走れ、行動範囲は一気に広がります。

 平日は日常の足として活躍し、遠出する休日はフルフェイスヘルメットが2個入る容量48リットルのラゲッジボックスをお土産で満載にする楽しみが待っています。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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