【MotoGP第2戦ドーハGP】世界戦に挑む日本人ライダー中上貴晶選手 苦渋の決断で17位フィニッシュ フロントタイヤのグリップ低下に苦しむ……
2021年4月4日、MotoGP第2戦ドーハGP決勝レースがカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで開催され、唯一の日本人ライダーとしてMotoGPクラスに参戦する中上貴晶選手(ホンダ)は、17位でレースを終えました。
2021年シーズンのMotoGPに唯一の日本人ライダーとして参戦する中上選手、2戦目も苦しい結果に!!
2輪ロードレースの世界最高峰、ロードレース世界選手権MotoGPの第2戦は、開幕戦に引き続きカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで2週続けての連戦、ナイトレースとして行われました。

当初は第2戦としてアルゼンチンGPが予定されていたのですが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催スケジュールが変更され、2戦連続カタールでの開催となったのです。
唯一の日本人ライダーとして参戦する中上選手は、6列目16番グリッドから決勝レースをスタート。1周目では、2つポジションを上げて14番手を走行し、フランコ・モルビデリ選手(ヤマハ)の後ろについて走っていました。このときはペースもよく「どこで(モルビデリ選手を)抜こう」と考えていました。しかし7、8周目を終えたあたりから、フロントタイヤのグリップ低下に苦しむことに……中上選手は次のようにコメントします。
「7、8周のあとだったと思いますが、とくに、フロントタイヤの右のサイドグリップのパフォーマンスがかなり落ちたように感じました。もしこのまま攻めたら、転倒するだろうと思ったんです」
そこで、中上選手はこのレースの目標を“完走”に定めます。苦渋の決断でした。本来ならばポジションを上げたかったところでしょう。けれど攻めれば転倒してしまう……。
「難しい決断でした。でも、レースを完走しなければならなかったんです。クラッシュしてしまえば、僕たちは何も良いところなくレースを終えることになります」

17位でレースを終えた中上選手は「とてもとても、厳しいレースでした。がっかりしています。けれど、ベストは尽くしました」と語りました。
フロントタイヤに苦しめられたのは中上選手だけではなく、ホンダのマシンを駆るすべてのライダーがそうでした。ホンダ勢の最上位はポル・エスパルガロ選手の13位。2019年までマルク・マルケス選手によってMotoGPを席巻してきたホンダとしては、信じられないほど下位の結果に終わりました。
ドーハGPでは3種類のタイヤ(ソフト、ミディアム、ハード)が用意されていましたが、KTMのライダーを除き、すべてのライダーがフロント、リアともにソフトを選択しています。じつは中上選手、予選後の取材の中でソフトタイヤで走り切る難しさに言及していました。
「ホンダにとって、カタールではフロントタイヤのフィーリングはいつもトリッキーです。僕たちはハードもミディアムも使えません。フロントもリアも選択肢はソフトタイヤだけです。でもそれは、7周から8周以上するとマネジメントが難しいんです。とくに、フロントエンドはマネジメントが難しいですね」

第2戦ドーハGPまでM.マルケス選手の代役を務め、ホンダのテストライダーでもあるステファン・ブラドル選手にもフロントタイヤのフィーリングについてうかがったところ「ホンダはラップタイムを出そうと思ったら、フロントタイヤをプッシュしないといけないんだ」という回答が返ってきました。ホンダは常にフロントタイヤに苦戦しており、また、カタールのサーキットレイアウトが、ホンダバイクの特徴と相性がよくないことも一因だとしています。

終始フロントタイヤに苦しめられたドーハGPですが、次戦、中上選手の巻き返しに期待しましょう。第3戦ポルトガルGPは、2021年4月18日に決勝レースが開催されます。
【了】
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

