1980年代後半に一大ブームを巻き起こした原付スクーターをピックアップ!

1976年にホンダから「ロード・パル」が販売されて以降、メーカー各社が次々と新製品を展開したことからスクーターブームが巻き起こりました。当時、一体どんなモデルが人気を集めていたのでしょうか。

80年代後半に人気を集めたスクーターをピックアップ

 1976年にホンダから「ロード・パル」が販売されて以降、手軽かつ機動性に富んだスクーターは大きな注目を集めました。そして、メーカー各社が次々と新製品を展開したことからスクーターブームが巻き起こり、たちまちバイク業界を席巻していきました。

スクーターブームのきっかけとなったホンダ「ロード・パル(1976)」

 スクーターブームのきっかけとなったホンダ「ロード・パル」は、取り回しがしやすくエンジン始動に新機構を採用するなど、バイクになじみの薄い方たちも気軽に乗れるように設計されていました。「ロード・パル」のほかにも個性的なモデルが数多く存在した80年代、とりわけその後半にはどのようなスクーターが販売されていたのでしょうか。

鈴鹿8時間耐久レースで活躍したTECH21カラーを纏った「チャンプRS」も販売されました

 まずひとつ目の車種は、80年代のヤマハ製スクーターを代表するモデルのひとつである、「チャンプRS」です。一般的なスクーターよりもスポーツ性を重視し、旋回性を高めるドライビングポジションがとれるよう、設計された一台です。

 1987年4月に発売を開始し、当時の新車価格は14万4000円に設定されており、6.3psを発生する49ccエンジンに加え、グランプリマシンを彷彿とさせるカラーリングも個性的でした。また、バーエンド付きグリップやエアインテーク付きのアンダーカウルなど、RSの個性をより際立たせる装備も備えています。

 チャンプシリーズは後にジョグに吸収される形で姿を消しましたが、そのドラスティックなキャラクターは、走りにこだわるヤマハを象徴するスクーターとして今なお語り継がれています。

ホンダ「DJ・1(1985)」

 ふたつ目は、ホンダ「DJ・1」です。1985年当時人気を博していたヤマハ「ジョグ」に対抗するモデルとして、「若々しいデザインで軽快な走りの50ccスポーティスクーター」というコンセプトのもと誕生しました。

 パーツの多くを、同社のタクトシリーズと共用しながらもエンジン出力の差別化を図り、5.2psというパワーを発生する49ccエンジンを搭載していました。 また、DJ・1は曲線を基調としたスタイルと内外装の塗り分け、ファッショナブルなツートンカラーなども特徴的な一台です。

 車名はDJ(Disc Jockey)のほか、突進を意味するDash、躍動を意味するJump、活気を意味するDynamic、高速感を意味するJetline、愉快を意味するJolleyなどに由来するといわれています。

原付スクーターで初めてメットイン機能が採用されたヤマハ「ボクスン」

 3つ目の車種であるヤマハ「ボクスン」は、1985年に発売されたヤマハのスクーターで、当時の新車価格は13万8000円に設定されていました。

 当時の原付バイクはヘルメットの着用義務がありませんでしたが、翌年に義務化を控えていました。それに対応するため、ボクスンは50ccクラスのスクーターで初めてメットイン機能を採用し、ヘルメットの盗難防止や雨で濡れるのを防ぐというメリットを持った一台に設計されています。

 ボクスンのメットイン機能は、後に各社から続々誕生するメットインスクーターの基礎となっています。また、最大出力5.8psのエンジンとVベルト式自動無段変速の組合せにより、扱いやすさとスポーティな走りを両立させていたのもボクスンの特徴です。

 そのため、年齢や性別を問わず、幅広いユーザーに愛された一台でした。

独自の道を歩んでいたスズキ「カーナ」

 4つ目は、スズキ「カーナ」です。ホンダやヤマハがスポーツスクーターの路線を前面に打ち出す中、独自の道を歩んでいたスズキが満を持して発売した一台でした。

 1985年に登場したカーナは、新車価格が11万9000円で、49kgという軽量ボディに、最高出力6.5psを誇る49ccエンジンを搭載していました。

 そのため、おとなしいの外観とは対照的にスポーティな走行性能や、圧倒的に高いパワーウェイトレシオを誇っています。「カーナ」に端を発するスズキのハイパワー50ccスクーターの系譜は、その後のハイやアドレス、セピア、ZZなどの後継車に継がれています。

スズキ「アドレスV50(2007)」

 最後の車種は、1987年に新たなスポーツスクーターとしてスズキが発売した、「アドレス」です。スズキのスクーターで初めてメットイン機能を備え、ヘルメット装着の義務化に対応しました。

 最大出力7.0psを発生する49ccエンジンを搭載していた「アドレス」の当時の新車価格は、13万9000円に設定されていました。

 車名の由来は、「加える」という意味のaddと「衣装」という意味のdressを併せた造語といわれています。後に、アドレスの車名は原付二種に流用され、通勤用バイクの定番モデルとなりました。

※ ※ ※

 1980年代は、ホンダ「タクト」やヤマハ「ジョグ」を中心に、後にHY戦争とも呼ばれるスクーターの開発競争が繰り広げられた時代でした。最終的には、数え切れないほどのモデルが誕生し、当時はまさに百花繚乱の状況だったといえます。当時のモデルは、現在販売されているスクーターの土台になったといっても過言ではないでしょう。

【了】

【画像】1980年代の原付スクーターを画像で見る(10枚)

画像ギャラリー

最新記事