路駐したクルマのドアにバイクが衝突する事故の過失割合とは

路駐したクルマのドアを開けた際に、後方から走ってきたバイクと衝突する事故が多発しています。このような事故は、いったい誰の過失になるのでしょうか。

駐停車中のクルマのドアが開き、接触した際の過失割合は

 路駐しているクルマのドアが開いた際に、自転車やバイクが衝突する。こういったアクシデントは、後方から走ってきた自転車やバイクの、前方不注意となるように思えます。しかし、このような事故の基本過失割合は、9割が停車していたクルマ、1割がドアに衝突した側という扱いとなります。

路駐しているクルマのドアが開いた際に、自転車やバイクが衝突した場合の基本過失割合は、9割が停車していたクルマ、1割がドアに衝突した側という扱いです
路駐しているクルマのドアが開いた際に、自転車やバイクが衝突した場合の基本過失割合は、9割が停車していたクルマ、1割がドアに衝突した側という扱いです

 走行中の事故とは異なり、クルマは駐停車状態。突然、開いたクルマのドアにバイクが衝突する事故は、運転者が十分な安全確認をおこなわなかったという判断となります。なぜなら、クルマの運転手は乗り降りに際し、自身だけでなく同乗者を含めた安全を確認する義務があるためです。

 道路交通法第71条(運転者の遵守事項)4の3では「安全を確認しないでドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により、交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること」と規定されています。

 そのため、ドアを開けることで近くを走っているバイクやクルマに接触した場合は、運転者が周りに十分な注意を払っていなかったから起きた事故ということになるのです。このドアの開き事故で、とくに被害に遭いやすいのは自転車で、その次にバイクが挙げられます。

 なお、公益法人「交通事故総合分析センター」が発表したデータによると、平成26年(2014年)だけで年間2325件の駐停車中のクルマのドアに接触する事故が起きたとされていますが、幸いにも95%が軽傷、平成26年(2014年)の事例では死亡事例はゼロとなっています。

 一方で、この9割クルマ、1割が衝突した側の自転車またはバイクという過失割合はあくまで「基本過失」であり、衝突した状況で割合は変わります。

9割クルマ、1割が衝突した側の自転車またはバイクという過失割合はあくまで「基本過失」であり、衝突した状況で割合は変わります
9割クルマ、1割が衝突した側の自転車またはバイクという過失割合はあくまで「基本過失」であり、衝突した状況で割合は変わります

 状況によっては、衝突した側の過失割合がさらに減る場合もあり、例えば夜間の過失割合はさらに5%減り、駐停車中のクルマがハザードランプを炊いていなければマイナス5%。クルマの傍を走り抜ける直前にドアを開放していればマイナス10%となり、衝突した自転車やバイクの過失はゼロとなることも。

 反対に、衝突した自転車やバイクの過失割合が増える事例として、駐停車中のクルマがドアの開放を予想させる動きをしていた場合や、すり抜ける際のスピードが15㎞/h以上の速度違反だった場合などが挙げられます。

 どちらも衝突した側の過失割合が10%増加することになり、さらに30㎞/h以上の速度違反だった場合は20%の増加です。

 また、スマホのながら運転や酒気帯び運転など、その他の著しい過失が加わると内容に応じて過失割合が10%から20%増えるとされています。

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