バイクのエンジンを削る? ポート研磨のやり方とメリット・デメリットを解説
バイクのエンジンカスタムでよく耳にする、エンジンの内部を削るポート研磨とは、いったいどんなカスタムなのでしょうか。
バイクのポート研磨っていったい何?
バイクのエンジン内部を削って、エンジンの吸気と排気効率を上げるカスタムがあります。それが「ポート研磨」または「ポート加工」です。いったい、どんなカスタムなのでしょうか。

本来ポート研磨は極限を追求するレーシングマシンのチューニングのひとつとされており、エンジン性能を限界まで引き出せるようにするためにおこなわれる加工です。
まず研磨する「ポート」とは、シリンダーヘッドにある吸気用と排気用にあけられた穴のこと。それぞれを「吸気ポート」、「排気ポート」と呼び、吸気ポートはシリンダー内に混合気(気化したガソリンと空気が混ざったガス)を送るための通路です。
排気ポートはシリンダーで燃焼したあとの排気ガスを排出するための穴で、そのまま排気ガスはエキゾーストパイプに流れていく仕組みとなっています。

ちなみに、吸気ポートと排気ポートの数は、バイクのエンジンによって違い、それぞれのエンジンの特徴のひとつともいえます。例えば、ヤマハ「SR400」の単気筒エンジンの吸気ポートと排気ポートは、ひとつずつ。教習車のイメージが強いホンダ「CB400 スーパーフォア」が積む4気筒エンジンの吸気ポート、排気ポートの数はひとつのシリンダーにつき、ふたつずつです。
そしてポート研磨は、給排気用の穴の内部を磨いたり、ポート内部を削って穴の径を大きくしたりして、混合気と排気の流速を早め、流入量を増やすことが目的。シリンダー内で燃焼する混合気の量が増えるため、エンジンの加速性や馬力を上げることができます。
また、研磨作業によって削る方法や、削る場所に一定の決まりはなく、職人技のカスタムといえるでしょう。

研磨するポートの形も丸型とは限らないため、シリンダーヘッドによってバラバラです。作業についてもポート内部のデッパリを削ったり、穴の径そのものを大きくしたりと、作業を担当する人の技術やシリンダーヘッドの構造によっても変わります。
しかも、穴の径をただ大きく広げれば良いという訳ではなく、吸気と排気のバランスを取りつつ研磨作業をしなくてはならないため、熟練の技術が必要です。作業に失敗すると、反対にエンジンの出力が下がってしまうこともあるので、依頼先には注意しましょう。
簡単な仕組みとしては、ペーパーヤスリやリューターを使い、ポート内部の表面のザラつきを取り除くだけで空気抵抗が少なくなり、径を大きくすると給排気のとおりがよくなる特性を利用するもの。そのため、ポート研磨のなかには表面をツルツルにする「鏡面仕上げのポート研磨」なども存在します。
しかし、鏡面仕上げを施しても、レーシングマシン以外には大きなメリットがないといわれており、現在の主流ではありません。
デメリットもある? 施工する際の注意点とは
まず、ポート研磨のようにエンジンの一部だけに手を加える作業では、馬力や加速性の劇的な変化は期待できません。
もし、エンジンの馬力や加速力の向上において、実感できるほど大幅な変化をさせたいのであれば、混合気を作るキャブレターやインジェクションの調整、エキゾーストパイプやサイレンサーの変更、シリンダー内の圧縮圧力の調整も必要となります。

例外的に、今ではほとんど見なくなった2サイクルエンジンでは、ポート研磨だけでも変化が実感できるといわれています。しかし、現在主流のエンジンである4サイクルエンジンでは、ポート研磨だけでは変化を実感しにくいことが現実です。
しかも作業がシビアで手軽にできるものではなく、大半は専門店に依頼することになります。知識や経験があれば個人での作業も可能ですが、削りすぎるなどの失敗をすると、シリンダーヘッドを壊してしまい、交換しなくてはなりません。
ほかにもデメリットとして、低回転域のトルクが下がりやすいことや、施工以前より混合気を多く燃やすことによる燃費の悪化、それにあわせて燃焼が激しくなることで、プラグの消耗やススが溜まりやすくなることなどが挙げられます。
加えて、「研磨する」ということは削ることを意味します。シリンダーヘッドは、手を加える前より金属が薄くなり、自然と研磨したエンジンポート周りの耐久性が落ちてしまうことにもつながるでしょう。

もともとレーシングマシンにおこなわれるチューニング作業であるため、市販のバイクで一般公道を走行するうえでは、ポート研磨で得られるメリットを活かせる場面はあまりありません。
スポーツ走行やレースを楽しむライダーに向けた、カスタムのひとつといえるでしょう。





