ミシュランの新作スポーツツーリングタイヤ「ロード6」登場 進化した万能タイヤ
2022年2月下旬より発売されるミシュランの新作スポーツツーリングタイヤ「ROAD 6(ロード・シックス)」は、先代の「ROAD 5」よりどのような進化を遂げているのでしょうか。伊丹孝裕さんがテストしました。
はっきりと感じられる進化、先代の良さも引き立つ結果に
ミシュランから新しいスポーツツーリングタイヤ「ROAD 6(ロード・シックス)」が発表されました。2018年にデビューした「ROAD 5」の後継モデルであり、スーパースポーツからアドベンチャーまで網羅する万能タイヤとして進化しています。

いや、それにしても良かったですね。今回、ロード5とロード6を装着した同じバイクに、同じ条件で乗ることができたのですが、その違いは明らか。近年試乗した新作タイヤの中、変化の度合いが最も大きく感じられました。
まず体感できるのは、フットワークの良さです。加速する時も車体を左右に振る時も軽々と反応。それでいて接地面がアスファルトを捉えている感覚もしっかりと伝わってくるため、なんの怖さもなくペースを上げていくことができます。真冬の気温で、しかも前日に降った雨があちらこちらに残っているコンディションだったにもかかわらず、深くリーンさせても不安はなし。温まりも早いため、設定されたコースを数周もすれば易々とフルバンクに持ち込むことができました。
リーン初期の手応えが軽いタイヤは珍しくないものの、ロード6の良いところは旋回半径もコンパクトになるところです。ある程度傾けると車体の鼻先がスッとクリッピングポイントに向き、意識しなくてもインにつきやすいのです。

試乗車として選んだMVアグスタの「SUPERVELOCE 800(スーパーヴェローチェ800)」は、フロントの安定性を重視したハンドリングに仕立てられています。なので、クルリと旋回するというよりは大きな弧を描くような走りを得意とするのですが、ロード6ならコーナリング中の自由度が高く、ラインの変更も容易に行えます。
ブラインドコーナーでもうひと寝かせしたい時や、路面に何かが落ちていて一度起こすといったシチュエーションでも機敏に反応。バイクの車重がワンランク軽く、もしくは車体がよりコンパクトに感じられる手の内感が大きな魅力と言えるでしょう。
たとえば、左コーナーで車体を傾けていくとフロントタイヤもわずかに左に切れます。これが抵抗になって倒れようとする力とバランス。それが安定感を生むのですが、ロード6はロード5と比較するとこの抵抗が少なく、深いところまで勢いよくパタンと寝かせられるのです。進化形でありながら、かなり異なるキャラクターが与えられていると言ってもよく、そのキビキビした反応が好印象です。
ただし、性能の向上を示すスパイダーチャートを見てみると、ハンドリングの項目はロード5と同じ評価になっています。これに関してはライダーの好みに因る部分も大きいため、単純に優劣では示せなかったようです。

というのも、既述の通りロード6を装着すると、バイクの運動性がひと際シャープになる一方、ある程度マイルドさを求めるユーザーがいるのも事実。そうしたユーザーにとってはロード5の方が馴染みやすく、どちらを選択するかはケースバイケースでしょう。
ドライグリップの評価もロード6とロード5は同率で、これは納得。スポーツツーリングタイヤとしては異例に高く、スーパースポーツ向けのハイグリップラジアルと言われても、ほとんどのライダーが納得するに違いありません。実際、トレッドのエッジ部分はスリック状態に近く、サーキット走行もこなすスポーツ性が与えられています。
もちろん、それで雨対策がおろそかになっていては意味がありませんが、そこも抜かりなし。路面の水を吸着するようにして掻き出すサイプ(小さな円形の穴)の他、溝のデザインが最適化され、ウェットグリップはロード5比で15%向上しているとのこと。人工的に水をまいたコースで試したところ、時速80km程度からの急制動やスラロームをこなしても挙動が乱れることはありませんでした。ラフな操作でもABSやトラクションコントロールが介入する場面はほとんどなく、その手前でタイヤが踏ん張ってくれていることがわかります。

さて、従来のミシュランタイヤはどちらかと言えば硬質なものが多く、それが高荷重・高速域の安心感につながっていました。そうしたイメージからすると、ロード6の接地感は柔らかく、丸いタイヤがより丸く感じられるというか、ボリュームのある球体のような優しさに変化。「タイヤのことなんてまったくわからない」と思っているライダーでも確実に違いが体感できるはずです。
ミシュラン「ロード6」の発売は2022年2月下旬を予定しているとのことなので、春からの本格的なバイクシーズンを前に検討してみてはいかがでしょう。愛車のスポーツ性だけでなく、雨天時の安全性、長距離ツーリング時の耐久性も引き上げてくれるオールラウンドなタイヤとしておすすめです。
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TTレース、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレース参戦経歴もあり、精力的に活動を続けている。














