最新技術のオンパレード! 日立Astemoブースへ行ってきた!!(後編) バイクタレントのEICMA 2021現地レポート

スペインへ語学留学中のバイクタレント兼こうのす観光大使・岸田彩美さんは、2021年11月25日から28日にかけてイタリア・ミラノで一般公開されたバイクの見本市「EICMA 2021」に参加しました。今回はイベント初出展の日立Astemoについてお送りします。

合併したからこそ転用できた最新技術

 こんにちは。バイクタレントの岸田彩美です。今回も引き続きEICMAのレポートをしたいと思います。

イベント初出展の日立Astemoブース。各メーカーの方が親切に対応してくれました
イベント初出展の日立Astemoブース。各メーカーの方が親切に対応してくれました

 前回に続き、日立Astemoブースに立ち寄った際のお話をしていきたいと思います。

 ブースでは各メーカーの方から直々にじっくりとお話を聞くことができました。前回の記事では、レース活動に力を入れているお話をしましたが、今回はより私たちにとってより身近に感じた部分、そして私が気になった技術などをお伝えしていきますね。

■開発中のABSシステム

ABSのシステムを利用した最新のシステム
ABSのシステムを利用した最新のシステム

 写真や動画で見たことがある方も多いと思いますが、アジア圏においては、バイクは2~3人乗りをするのが当たり前となっています。当然、重さが後ろ側にかかりすぎると前輪が上がってしまいますよね。
 
 そこでABS(アンチロックブレーキシステム)の油圧ポンプの仕組みを後ろ側にも利用することで、前輪が上がるのを防ぐ技術とのことでした。
 
 ブースでは模型を使って実際に体験することも出来ました。もともとABSには2つ使えるシステムがあるそうですが、本来は1つのシステムしか使っていないそうで、使っていないもう1つのシステムを無駄にせずに利用できないかと考えて生まれた技術なんですって。この技術が量産化されたら安定した走りに繋がる為、安全走行にも寄与しまよね。会社が統合したからこそ生まれた技術だそうです。

 日本でも働くバイク、例えば郵便配達員さんが使用しているバイクに取り付けたり、日ごろから荷物を多く積載する方に搭載したらより快適に走れるだろうなと思いました。

■開発中の「DACS」

日立Astemo が開発中の「DACS」
日立Astemo が開発中の「DACS」

 東南アジアでは、ブレーキ操作の遅延による追突事故が多い傾向だそうです。バイクに不慣れな人や初心者が、フロントブレーキを使用するのが怖く、リアブレーキだけで停まろうとするため、制動距離が長くなってしまう背景があります。
 
 このシステムは、ABSをベースとして、リアブレーキを掛ければ連動してフロントブレーキがかかる仕組みです。また車重が重くなっても(二人乗りや荷物の積載等)制動距離が長くならない様、常にリアブレーキのセンサーが検知・モニタリングをして安全に停止できるんだそうです。
 
 動画で説明していたのですが、海外の多くのお客様も足を止めて見ていました。やはり事故防止・安全運転に関しては関心が高いことが伺えました。
 
 私もバイクに乗りたての原付バイク時代、パニックブレーキをしてしまい、フロントロックによる転倒、痛い経験があります。技術の進化により怪我や事故件数が減る事、もっと楽しくバイクに乗ることができるようになるのは理想だなと思いました。

■量産済みのフロントキャリパー

カワサキ「Ninja ZX-25R」のキャリパー。小型、軽量化を図るため”FSW” (Friction Stir Welding/摩擦攪拌接合)という技術が用いられています
カワサキ「Ninja ZX-25R」のキャリパー。小型、軽量化を図るため”FSW” (Friction Stir Welding/摩擦攪拌接合)という技術が用いられています

 物を組み立てる際にネジを使うのは想像つきますが、カワサキ「Ninja ZX-25R」に搭載されるフロントキャリパーは”FSW”(Friction Stir Welding/摩擦攪拌接合)という摩擦の熱を使って物体同士をくっつけているんですって(イメージは接着させる感じ)。
 
 レースシーンなどのより負荷の高いブレーキングにも適しているそうです。この技術は電車の車体フレーム技術からの転用によるものだそうで、こちらも全然違う分野からの技術転用って、すごく面白いな~と思ったと共に、会社が統合したことにより使えるようになった技術の一つなんですって。規模が大きくなると、可能性が広がるんだなと感じたのでした。
 
 物と物同士、ネジを使わないで接合できるんだ……とこの技術には驚きしかなかったです。

※ ※ ※

 余談ですが、ずっと気になっていたことも聞けました。よくブレーキやクラッチマスターシリンダーにオイルタンクバンドを巻いているひとがいますよね? それって、太陽の熱を当てないようにし、オイルが沸かないようにするためだそうです。もしオイルが漏れてしまうと樹脂を溶かしてしまうのでカウルに穴が空いてしまうんだとか。超初歩的な質問をこんな場で投げかけてしまって大変申し訳なかったですが、丁寧に答えてくださりありがとうございました!

マスターシリンダーカップバンド
マスターシリンダーカップバンド

 私達の生活の足としてのバイクからモータースポーツまで幅広く力を注ぐ日立Astemoさん。より身近な存在に感じていただけたのかなと思います。開発中の技術が量産化される日が今から待ち遠しいですね! 新しい技術が完成した際はまた試乗などさせていただきたいな~なんて密かに思っています(笑)。

 今後もEICMAレポートが続く予定です! 引き続きお付き合いのほどよろしくお願いします! 最後までご覧いただきありがとうございました。

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Writer: 岸田彩美

食べる事とインコが大好き。愛称:あやみん。2011年駒澤大学準ミスグランプリを取得後、ツインリンクもてぎのイメージガール、ツインリンクもてぎエンジェルを務めた。任期中に様々なバイクの楽しみ方に出会いその魅力に心を奪われた。トライアルデモンストレーション、MotoGP 日本グランプリでステージMCなどバイクのイベント出演や司会も務める。

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