原付二種スクーター、この先もスマートキーが主流になる?

クルマでは一般的な装備となっているスマートキーですが、最近ではバイクにも採用される例が増えています。今後、バイクでもスマートキーが主流となっていくのでしょうか?

クルマでは当たり前の装備になったスマートキー、そのメリットは?

 キーをポケットやカバンなどに入れておけば、スタート/ストップボタンを押すか、ノブを回すだけでエンジンの始動ができるスマートキーは、現在販売されているほとんどのクルマに標準装備されています。

 一方、バイクでも、ホンダやヤマハのスクーターを中心に、スマートキーを採用するモデルが増えています。

ホンダ「PCX」には「Honda SMART Keyシステム」が採用されており、キーを挿すことなくエンジンのオン/オフなどが行えます
ホンダ「PCX」には「Honda SMART Keyシステム」が採用されており、キーを挿すことなくエンジンのオン/オフなどが行えます

 例えば、ホンダ「PCX」には「Honda SMART Keyシステム」が標準装備となっており、エンジンのオン/オフはもちろん、ハンドルロックの施錠や解錠、シートとフューエルリッドの解錠操作が可能となっています。さらに、純正のトップボックスには、スマートキー連動型のものも用意されています。

 PCXのように、原付二種のスクーターは、今後スマートキーが主流となっていくのでしょうか?

そもそも、スマートキーはいつ生まれたのでしょうか?

 クルマにおけるスマートキーの起源は諸説あるとされていますが、1990年代にシボレーやメルセデス・ベンツなどの高級車で採用された例が見られます。国産車では2000年に登場したトヨタ「セルシオ」が、最初の例と言われています。

2004年にスマートカード キーシステムを世界で初めて二輪車に採用したホンダ「フォルツァ」
2004年にスマートカード キーシステムを世界で初めて二輪車に採用したホンダ「フォルツァ」

 一方、世界で初めてスマートキーが採用されたバイクは、2004年に発売されたホンダ「フォルツァ」です。当時は「Honda スマートカードキーシステム」という名称で呼ばれていましたが、現在主流となっているものとほぼ同等の機能を兼ね備えた画期的なものでした。

「Honda スマートカードキーシステム」は、ユーザーが持つキーと、車両側に備え付けられたスマートECUが双方向通信をおこない、事前に規定されたIDが認証された場合に施錠や解錠が可能となるものです。

 解錠可能範囲はバイクの中心から約80cm、施錠可能範囲は同じく250cm程度となっているため、施錠はバイクを降りたあとでも可能であるものの、解錠はバイクに乗っていないとほとんど不可能となっています。

最大のメリットは、走行時にキーを取り出すことなくバイクを始動させられる
最大のメリットは、走行時にキーを取り出すことなくバイクを始動させられる

 スマートキーの最大のメリットは、キーを取り出すことなくバイクを始動させられるという利便性にあります。バイクはグローブをして運転することが多いことから、キーをポケットやカバンから取り出すという動作は負担になりがちですが、スマートキーであればスムーズです。

 一方、デメリットとしては、通常のキーに比べて高価であることが挙げられます。また、防犯上の問題から通常のキーに比べて複製が難しく、紛失時にも多くの費用と手間が掛かるという傾向があります。

 加えて、一部のユーザーからは「バイクらしくない」という声も聞かれます。特に、大型バイクなど趣味性の高いバイクのユーザーのなかには、キーを差してイグニッションを回すことに喜びを感じる人も多く、スマートキーではそうした喜びを味わえないという指摘もあります。

ただ、移動の足として使われることの多い原付二種では、スマートキーによるスムーズな始動のメリットは非常に大きいと言えます。特に、配達のバイクのように、エンジンの始動と停止を繰り返すことの多い場合では、キーの抜き差しを都度行わなくて良いことは大きなメリットとなります。

ホンダ「PCX」用スマートキー
ホンダ「PCX」用スマートキー

 弱点であるコストについても、今後多くのモデルにスマートキーが採用されるようになればなるほど量産効果によるコスト低減が期待できます。

 このように考えると、今後バイクにおいてもスマートキーは主流となっていくと考えられます。趣味性の高い一部のモデルには、今後も通常のキーが採用される可能性は考えられますが、利便性を重視する原付二種のスクーターは、近い将来ほとんどがスマートキーに置き換わっていくことでしょう。

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