【MotoGP第16戦日本GP】Moto3ライダー佐々木歩夢選手が母国グランプリで3位表彰台を獲得
2022年9月25日、MotoGP第16戦日本GPの決勝レースが栃木県のモビリティリゾートもてぎで行なわれ、Moto3クラスで佐々木歩夢選手(ハスクバーナ)が3位表彰台を獲得しました。
ドライもウエットも安定の走り、母国グランプリで3位表彰台に
MotoGPの日本GPは、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年、2021年が中止となっており、2022年シーズンの開催は2019年以来、3年ぶりとなりました。Moto3クラスに参戦する佐々木歩夢選手(ハスクバーナ)にとっては、日本GPはもちろん、帰国自体が3年ぶりだったそうです。

予選Q2で4番手を獲得した佐々木選手は、2列目から決勝レースに挑みました。4周目にトップに立ちレースをリード、その後ろにイザン・ゲバラ選手(ガスガス)、デニス・フォッジア選手(ホンダ)が続きます。
レース中盤になると、トップ集団はゲバラ選手、佐々木選手、フォッジア選手、そして後方から追いついたジャウメ・マシア選手(KTM)によって構成されました。
残り5周、佐々木選手はゲバラ選手にかわされて2番手にポジションダウン。さらに残り4周でマシア選手、フォッジア選手にパスされ、4番手に後退しました。しかしマシア選手が12コーナーで転倒。佐々木選手は3番手に浮上します。
佐々木選手はそのポジションをキープして3位でフィニッシュ。日本GPでの初表彰台を獲得しました。

小排気量クラスにおいて、日本人ライダーがもてぎで表彰台を獲得するのは、2001年125ccクラスの宇井陽一選手以来のことです。また、このあとに行なわれたMoto2クラスの決勝レースでは小椋藍選手(イデミツ・ホンダ・チームアジア)が優勝を飾っており、Moto3クラス、Moto2クラスで日本人ライダーが表彰台に立ちました。
レース後の会見では、3位の結果に「ちょっと残念です」と悔しさをにじませた佐々木選手でしたが、「母国グランプリでの表彰台獲得が目標でした。そして、それを達成しました」とも語りました。
「レースではいいフィーリングがありました。ニュータイヤでベストなペースがあり、それでレースをかなりリードしていたんです。イザンが僕をオーバーテイクする残り5周まで気持ち良く走っていました」
ただ、終盤にリアタイヤが予想以上にタレてしまい、それでも「母国のファンの前で多くの周回をトップで走りました。素晴らしい気持ちでしたよ」と語っています。

この日本GPのレースウイークは複雑な天候でした。金曜日はドライコンディションだったものの、土曜日には雨でウエットコンディション、そして日曜日は快晴、再びドライコンディションとなったのです。
そんなレースウイークを通して、佐々木選手はドライコンディションでもウエットコンディションでも安定しているようでした。そこで、この複雑なレースウイークのコンディションの中で、金曜日からどのように自信を深めたのか、と質問しました。
「ドライでは強さがあるとわかっていました。ウエットではもう少し苦戦するかと思っていたんですが、予選ではできるだけいい位置で終えられるように全力を尽くし、そして4番手を獲得しました。ウエットでもいいフィーリングだったんです。とくにウエットで自信を得ましたね。(アラゴンGPに続き)2戦連続の表彰台獲得です。タイではさらに上に行けると思います」
また、3年ぶりの母国グランプリと表彰台獲得に「3年ぶりに日本に来たのですが、多くの人が僕のフラッグを振ってくれて、応援してくれているのを見て、大きな後押しになりました。そういう状況を楽しんだし、少なくとも表彰台という形で応えることができました。今日、表彰台を獲得できて誇りに思っています」と振り返っていました。

次戦タイGPは10月2日にチャン・インターナショナル・サーキットで決勝レースが行なわれます。アラゴンGPでの2位、そして母国グランプリでの3位表彰台獲得という連続表彰台の勢いに乗って、佐々木選手のさらなる活躍に期待がかかります。
■Moto3クラスとは……
Moto3クラスは、4ストローク250cc単気筒エンジンのレーシングマシンで争われる。タイヤはダンロップのワンメイク。MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスの中で最も年齢層が低く、Moto2クラス、MotoGPクラスへの昇格を目指す若いライダーたちがしのぎを削る。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。