いったいなぜ?普通自動車免許を取得すれば原付も運転可能になる理由とは
普通自動車免許(以下、普通免許)を取得すれば、付帯免許として自動的に原付バイクの運転も可能となります。クルマと原付バイクは、運転方法も交通ルールも全く違いますが、いったいなぜ運転できるようになるのでしょうか。
普通免許で原付バイクが運転できるようになるのは、免許の歴史が深く関わっていた?
道路交通法第八十五条には、普通免許を取得すると付帯免許として50cc以下の原付バイクと小型特殊自動車が運転できると定められています。しかし、普通自動車と原付バイクでは、運転方法も交通ルールも全く異なります。
では、なぜ普通自動車の免許を取得すると原付バイクも運転できるようになるのでしょうか。

その理由を知るために、まずはバイク免許の歴史をご紹介します。
そもそも原付バイクは、正式には原動機付自転車といい、その名の通り元は自転車に小型のガソリンエンジンを取り付けたものでした。初期の原動機付自転車は、自転車にエンジンを後付けしたものに過ぎず、今の感覚でいうところの電動アシスト自転車のようなものでした。そのためバイクのようなパワーもなく、スピードもそれほど出ない乗り物だったのです。
サスペンションも搭載されていない自転車に小さな原動機を後付けしたその乗り物は、現在の原付バイクとはまったく異なる性能。そのため、当時の原動機付自転車は自転車とみなされており、自転車と同じ軽車両という扱いで運転免許が不要な乗り物でした。
なお、日本で初めて二輪免許が創設されたのは1948年のこと。同時に、四輪免許を取得すると付帯免許として二輪免許を取得することもできるようになったのです。ちなみに、当時の二輪免許には、運転できる排気量の制限はありませんでした。しかしその後、二輪免許が創設されても依然として原動機付自転車は自転車と同じ、軽車両という扱いのまま。そして1952年になると90cc以下の原動機付自転車が、14歳以上を対象とする許可制になります。
その2年後となる1954年には50cc以下が第一種許可、50cc以上125cc以下が第二種許可に分けられました。ただ、いずれも許可制度であって、免許制度ではなかったのです。

そして1957年に田中工業から日本初となる、最初から自転車にエンジンが組み込まれた「タスモペット」が発売されます。
その翌年の1958年にはホンダ「スーパーカブ」が発売され大ヒット。ここが、原動機付自転車が原付バイクになった転換点だといえるタイミングとなります。そしてスーパーカブの発売から2年後の1960年、「道路交通法」が施行されたことに伴い、原動機付自転車は初めて16歳以上を対象とした免許制へと移行されました。
そこで50cc以下の第一種許可は第一種原付、50cc以上125cc以下の第二種許可は第二種原付に分けられたのです。そしてさらに1965年、道路交通法が改正され、50cc以下の第一種原付は「原付免許」となります。現在まで続いている原付免許は、ここから始まりました。

なお、50cc以上125cc以下の第二種原付はこの当時、1948年から続く二輪免許に組み込まれていました。法改正に合わせて自動車免許に二輪免許が付帯される法律が廃止され、代わりに原付免許が付帯。この時改正された内容が、現在まで続いています。
原付バイクは元々自転車と同様の扱いだったものが法令改正に伴い、50cc以下の原付免許として免許制に移行したもの。自動車免許に二輪免許が付帯されなくなった代わりに、1965年から新設された原付免許が付帯免許としてつくようになったというわけです。