【自転車雑学】チェーンはなぜ車体右側に? 人類の歴史にも深く関わる構造
知っているようで意外と知らない自転車の雑学を紹介します。なぜ自転車のチェーンは車体の右側にあるのでしょうか。その理由を紹介します。
その形になったのは、理由がある
日常的に使っている自転車ですが、その構造を細かく観察してみると、ふと疑問に感じる部分があります。当たり前過ぎて、日常生活で気づくことはほとんどないと思いますが、そこには理由があるのです。

自転車は、ベルやシフトレバー、スタンドなど、後から取り付ける部品を除いて、基本的には進行方向に向かって左右対称の構造をしています。しかしよく見ると、チェーンやそれと連動するギアは車体の右側に組み込まれていることが分かります。これは日本国内だけの話ではなく、全世界共通です。一部の特殊な車両を除いて、自転車のギアやチェーンの配置は、車体の右側なのです。
なぜ車体の右側なのか? その答えは「ネジの締まる方向」に大きく関係します。ネジは時計回り(右回し)で締まり、反時計回り(左回し)で緩む、いわゆる右ネジ(順ネジ、正ネジ)が一般的です。そして自転車はペダルを回すとき、右側面から見ると時計回りにペダルが回り、左側面から見るとる反時計回りでペダルが回ることになります。
つまり、もし車体の左側にチェーンなどが取り付けられていた場合、ギアは反時計回り=ネジが緩む方向に回転することになるので、分解してしまう恐れがあるのです。そのため、回転する駆動部分は時計回り=ネジが締まる方向に回転することになる右側に配置されています。

なお、自転車に使われているネジでは、左側のペダルなど、構造的に反時計回りに回転する部分では左ネジ(逆ネジ)が使われており、緩み防止や、逆に締め込み過ぎて破損しないように工夫されています。
ちなみに、ネジは紀元前400年前後にプラトンの友人であるアルキタスによって発明されたと言われますが、その頃から右ネジだったそうです。理由としては、人類の約90%が右利きで、時計回りの方が力がしっかり伝わったからだと推測されています。
もし左利きが多かったら、左ネジが一般的で、自転車の形はいまとは違っていたかもしれませんし、それはネジを使う工業製品なども同様かもしれません。