日本の近代化を支えた幻の廃線「西武安比奈線」跡を巡る
1925年(大正14年)に開業した西武安比奈(あひな)線は、埼玉県川越市の「南大塚駅」から「安比奈駅」を結んでいた貨物線です。1963年(昭和38年)に休止して以来、一度も使われることなかった路線は今、街中や林間にその名残を見ることができます。そんな廃線跡をスーパーカブで探してみました。
かつて日本の近代化を支えた鉄道、廃線跡を巡る
1925年(大正14年)に開業した「西武安比奈(あひな)線」は、かつて埼玉県川越市の「南大塚駅」から「安比奈駅」を結び、入間川で採取した砂利を運搬する貨物線です。砂利の需要減や採取規制の強化によって1963年(昭和38年)に休止して以来、一度も使われることなかった路線は今、街中や林間にその名残を見ることができます。そんな廃線跡をスーパーカブで探してみました。

じつは1987年に「上石神井駅」と「西武新宿駅」間を複々線とする計画が立ち上がり、安比奈駅に新しい車両基地を作る計画もあったそうですが、少子高齢化の影響などで需要予測が下方修正されて1995年に無期延期。その後、正式に中止された経緯があります。2017年に正式に廃止されました。
長年使用されなかった線路は放置され、枕木は朽ち果て、危険視されるようになり、踏切はアスファルト舗装で埋められています。2009年にはNHKの連続テレビ小説「つばさ」の舞台にもなり、ロケ地を遊歩道としていたようです。
2018年まで架線柱が立っていた空き地は、現在西武鉄道により柵で囲まれている管理地となっていました。かつて安比奈駅だった場所の近くには西武建材安比奈工場(新社名はSKマテリアル株式会社)があり、砂利や砂の生産現場があります。

周囲にはオフロードバイクのコースがあり、砂利を運ぶダンプの往来も激しいエリアですが、ふと足元を見ると朽ちたレールがあります。
需要減や人口の減少などで廃止された鉄道も、かつては近代化の象徴でもありました。近代化遺産としてレールなどの遺構を残してくれたらとも思いますが、このまま朽ち果てる様を見届けるしかないのでしょうか。