違反点数、驚愕の35点!? 救護義務違反とは

常日頃から安全運転を心がけるのはライダーとして当たり前ですが、ついうっかり駐車違反などをしてしまう可能性も考えられます。交通違反によって違反点数が加算されていけば、免許が取り消されたり停止されたりしますが、違反の中には一発で免許が停止されるほどの点数を科されるものもあります。そのうちのひとつが「救護義務違反」ですが、いったいどのような違反内容なのでしょうか。

免許が取得できなくなる? 救護義務違反とはなんなのか

 交通違反によって違反点数が加算されていけば、免許が取り消されたり停止されたりしますが、違反の中には一発で免許が停止されるほどの点数を科されるものもあります。

 その中のひとつとして「救護義務違反」が挙げられます。救護義務違反は一般的に「ひき逃げ」と呼ばれるもので、違反点数35点が科されてしまい一発で免許停止となるだけでなく、取消日から3年間免許の取得ができなくなります。

救護義務違反は一般的に「ひき逃げ」と呼ばれる
救護義務違反は一般的に「ひき逃げ」と呼ばれる

 また、道路交通法第117条の規定によって、5年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金も科せられます。なお、事故の原因がライダーの運転行為に起因する場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金と、非常に重い罰則内容が定められています。

 道路交通法第72条には、「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を中止して、負傷者を救護し、 道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。

この場合において、運転者は、警察官に事故が発生した日時及び場所、事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、事故に係る車両等の 積載物並びに事故について講じた措置を報告しなければならない」と明記されています。つまり、当事者間の話し合いで解決したと判断しても、警察に連絡せずに立ち去った場合は処罰される可能性があるというわけです。

 なお、兵庫県警の公表する情報によれば、救護義務違反として取り扱われる可能性があるものとして、3つの事例が挙げられます。

相手方との接触、衝突がない場合でも停止せずに現場を立ち去る行為は救護義務違反にあたる可能性
相手方との接触、衝突がない場合でも停止せずに現場を立ち去る行為は救護義務違反にあたる可能性

 まずひとつ目は、相手方との接触、衝突がない事故です。直接接触しなくても、相手方の直前を通過したり、相手方に接近したりした時に相手方が驚いて転倒したり、急ブレーキをかけたことで身体を痛めたりした場合に、停止せずに現場を立ち去る行為は救護義務違反にあたる可能性があるといいます。自身が相手方の転倒や怪我の要因になったかどうかわからない場合も、警察へ届け出ることが大切といえるでしょう。

 2つ目の事例は、当事者間の話し合いで解決したと判断し、立ち去った場合です。兵庫県警はこれについて、以下のように公表しています。

「交通事故があったときに、相手方とその場で話をし、相手方が「大丈夫」と言った場合でも、後刻、相手方が受診して、警察に診断書を提出すれば救護義務違反に当たることがあります。特に、相手方が子供の場合、びっくりしたり、恥ずかしさから「大丈夫」と答えることが多いので、外見上の怪我がない場合でも、必ず警察への報告と保護者等への連絡をしてください」

 救護義務違反として処罰されない場合でも、警察への報告を怠れば「報告義務違反(事故不申告)」として処罰される場合があります。報告義務違反が適用されると、3ヶ月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金が科せられるので、当事者同士で解決してしまうのではなく、必ず警察へ届け出ましょう。

相手方に事故の責任があると判断して立ち去った場合も救護義務違反は成立する
相手方に事故の責任があると判断して立ち去った場合も救護義務違反は成立する

 そして3つ目の事例は、相手方に事故の責任があると判断して立ち去った場合です。

 兵庫県警によれば、「相手方の飛び出しや信号無視など、事故の主原因が相手方にある場合に、自分は悪くないとの一方的な判断で救護措置を取らずに現場を立ち去ると、事故の過失責任は別として救護義務違反は成立します」と公表しています。

 そのため、法律の規定どおりに直ちに運転を停止し、相手方が怪我をしている時は119番通報するとともに、相手方が「救急車は必要ない」と言った場合でも必ず警察へ報告しなければなりません。

 ちなみに救護義務違反自体の違反点数は35点ですが、以前にも違反をしていれば、その点数も累積されます。例えば、過去3年間に違反点数6点の違反をしていた場合は、ひき逃げの点数と累積され、計41点になるというわけです。

 加えて、救護義務違反の元となった事故の点数も累積されます。つまり、被害者の治療期間が30日以上3月未満であり、加害者の不注意で傷害事故を起こした場合は違反点数9点と35点が累積され、43点の違反点数が科されてしまうのです。

※ ※ ※

救護義務違反は、違反点数35点に加え5年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金が科される可能性のある非常に重い交通違反です。免許を取り消されないためにも、常日頃から安全運転を心がけ、優良ライダーとしてありたいものです。

【画像】救護義務違反についての画像を見る

画像ギャラリー

最新記事