【MotoGP第9戦イギリスGP】16位ゴールの中上貴晶選手 新エアロの確認に集中する
MotoGP第9戦イギリスGPが、2023年8月4日から6日にかけてイギリスのシルバーストン・サーキットで行なわれました。MotoGPクラスの決勝レースで唯一の日本人ライダー、中上貴晶選手(LCRホンダ・イデミツ)は16位でゴールを果たしています。
新しいエアロパッケージで、可能性を見つけ出す
ホンダは2023年シーズンのMotoGPも低迷が続いています。シーズン前半戦にはカレックス製のシャシーが投入されましたが、大きな改善は見られないままでした。そんな中、シーズン後半戦のスタートとなるイギリスGPに、ホンダは新しい空力デバイスを持ち込みました。それが投入されたのは、ホンダで6年目のシーズンを送っている中上貴晶選手(#30/ホンダ)のマシンでした。

中上選手にとって、イギリスGPはレースウイークでありながらもこの新しい空力デバイスへのトライに集中する週末となりました。
「とくにフロントのフィーリングについて違いはかなりありますね。簡単に言うと、極端にダウンフォースが増えたんです。ただ、ダウンフォースが強烈に上がった分、バイクのバランスが非常にフロント寄りになってしまっています。それは事前に聞いていて、ライディングポジションなどで調整はしたのですが、それでもまだ足りないな、という感じです。それだけダウンフォースの強さが影響しているんです。全く感覚が違いますね」
金曜日の走行後、午前中のフリープラクティス1を18番手、午後のプラクティスを20番手で終えた中上選手は、新しい空力デバイスのフィーリングについてそう語りました。
ダウンフォースが増えた分、改善点であった立ち上がりでのウイリーが減ったとのことです。もちろん、良くなったところばかりではありませんし、すぐに結果につながるような劇的な改善でもないでしょう。ただ、中上選手自身、そうした状況を承知の上で新たなアイテムに向き合っていたと言います。

「ダウンフォースの強さは必要だと思うんですけど、あとはバランスだったり……。(必要なのは)加速だけではないですから。とくにハイスピードからのバイクの動きがあまり良くないんです。(新しい空力デバイスを)ポンとつけて“良い、悪い”と判断するというより、いろいろ可能性を見つけ出していかないといけないんです。調整が必要だと思っています。それは予想していましたし、HRCからも言われていました」
「今週は、テストの意味合いのほうが強いですね。順位とかポジションにはあまりフォーカスしていなくて、できるだけ新しいエアロパッケージで進めていくつもりです。良くても悪くても、可能性を信じていってほしいと最初から言われていたので、自分も気持ちを切り替えました。タイムが出ていなくても、フィーリングが悪くても、新しいもので、将来を見据えて進んでいく予定です」

土曜日のスプリントレースはウエットコンディションとなったため、従来の空力デバイスを使用して20位。そしてドライコンディションでスタートした日曜日の決勝レースでは、新しい空力デバイスを使用して16位でゴールしました。
イギリスGPの中上選手は、本人が語っていたように、ホンダの現状改善のために尽力したレースウイークという意味合いのほうが強かったと言って良いでしょう。中上選手のようなレギュラーライダーがシーズン中にそうした作業を行なければならない、それがホンダの現状を表しています。

中上選手は、ホンダが数年来の課題としているリアグリップの改善はしていないと言及し、「リアグリップを改善させるアイデアがあるようで、それをオーストリアで試すようです」とも語っていました。ホンダの、中上選手の奮闘は続きそうです。
第10戦オーストリアGPは8月18日から20日にかけて、オーストリアのレッドブル・リンクで行なわれます。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。




