ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」試乗 最新クルーザーは上半期に乗ったニューモデルで最高の仕上がりだった!

日本市場でのシェアを着実に伸ばしている「ロイヤルエンフィールド」。その最新モデルとなる「SUPER METEOR. 650(スーパーメテオ650)」にモーターサイクルジャーナリストの伊丹孝裕さんが試乗します。

日本市場でも急成長を遂げているロイヤルエンフィールド

 1901年にイギリスで誕生し、現在はインドに本拠地を置く2輪ブランドがロイヤルエンフィールドです。日本で展開するための体制が再構築されたのは2020年のことですが、以来、着々とシェアを拡大。JAIA(日本自動車輸入組合)の最新データを確認すると、その新規登録台数(2023年1月~7月)は、ハーレーダビッドソン、BMW、トライアンフ、ドゥカティに続く第5位に躍進するなど、急激な成長を遂げているのです。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルに乗る筆者(伊丹孝裕)
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルに乗る筆者(伊丹孝裕)

 先頃、そんなロイヤルエンフィールドの最新モデル「スーパーメテオ650」が上陸。エンジンとハンドリングの心地よさを堪能することができました。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」

 スーパーメテオ650は、いわゆるクルーザーにカテゴライズされるモデルです。648ccの空冷4ストローク並列2気筒、241~244kgの車重、97万9000円~103万9500円の価格がどれくらいのポジショニングなのかといえば、ホンダの「レブル500」(471cc/191kg/83万6000円)と、ハーレーダビッドソンの「アイアン883」(883cc/256kg/138万5200円/2021年に販売終了)のざっくり中間あたり。レブル500よりも質感が高くて力強く、アイアン883よりもスムーズで軽やかという点でも、いいところを突いています。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルと筆者(伊丹孝裕)
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルと筆者(伊丹孝裕)

スーパーメテオ650の潜在的需要はかなり高い!?

 アイアン883を筆頭とする空冷の旧スポーツスターは、品薄な上に中古車市場での価格が高騰し、水冷になった現行スポーツスターシリーズの新車価格が200万円を大きく超える現状を踏まえると、スーパーメテオ650の潜在的需要はかなり高いのでは? 試乗を終えた後、そんな風に思いました。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」に搭載された648ccの空冷4ストローク並列2気筒エンジン。あらゆる回転域で上質なフィーリングを生み出します
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」に搭載された648ccの空冷4ストローク並列2気筒エンジン。あらゆる回転域で上質なフィーリングを生み出します

ロイヤルエンフィールドを選択肢として考えたことがない人、あるいはインド産であることにネガティブなイメージを抱いている人は少なくないかもしれません。しかしながらそうした印象は、ギヤをニュートラルから1速に入れた途端消えるかも。

シフトペダルはいかなる時も「コクッ」と優しく、滑るように送り込まれ、組付け精度の高さが伝わってくるからです。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルに乗る筆者(伊丹孝裕)
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルに乗る筆者(伊丹孝裕)

 その上質なタッチは、どんなギヤ、どんな回転数でも変わることなく、狙い通りの加減速を実現。出力特性とのマッチングもよく、低回転でゆったりと流すことも、高回転まで引っ張ることも許容してくれる“意のまま感”が好印象でした。

 エンジンは一発一発の鼓動感というよりも、爽やかなパルス感を発するタイプで、気難しさは皆無。ストップ&ゴーを繰り返す街中でも、高いアベレージで巡航する高速道路でもストレスはなく、その大らかさに身を任せることができます。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデル
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデル

優れた接地感を生み出す前後サスペンション

 さて、今回の試乗会は御殿場が起点になりました。必然的に箱根周辺のワインディングへ繰り出すことになるわけですが、このコース設定にロイヤルエンフィールドの自信が伺えます。なぜなら、大小様々なコーナーが続く中、スーパーメテオ650はもたつきや鈍重さをまったく感じさせることなく躍動。クルーザーらしからぬハンドリングで、終始リズミカルなコーナリングを楽しませてくれたからです。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルに乗る筆者(伊丹孝裕)。車体後部にどかっと着座し、いい意味でなりゆきに任せて走ることができます
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルに乗る筆者(伊丹孝裕)。車体後部にどかっと着座し、いい意味でなりゆきに任せて走ることができます

 ホイール径はフロント19インチ、リア16インチの組み合わせで、車体後部にどかっと着座するタイプです。したがって、もちろんフロントからクルクル旋回するキャラクターではないものの、フロントタイヤの舵角はバンク角に対して遅れることも、切れ込むこともなく、素直に追従。コーナーの入り口から出口に至るまで小難しい操作は求められず、いい意味でなりゆきに任せて走ることができます。

 その時、足元をしっかり支えてくれるのが前後のサスペンションです。とりわけ、フロントに備わるSHOWAの倒立フォーク・SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグ・ピストン)が高いスタビリティとライントレース性に貢献。荷重を掛けにくいタイトなヘアピンでも、ギャップが多い荒れた路面でもタイヤの接地感が確保され、ヒラヒラスイスイとクリアできるのです。

 車体の構造上、バンク角は深くないものの、クルーザーとしては及第点。ハンドリングもパワーも取り回しも日本の環境で持て余すような部分がなく、日常からツーリングまで幅広く使える一台になっています。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」のクラッチレバー位置調整機構。最短距離に設定しても離れ気味なのが気になるところでした
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」のクラッチレバー位置調整機構。最短距離に設定しても離れ気味なのが気になるところでした

いくつかのネガティブな要素があるものの……

 もっとも、まったくネガティブな要素がないかと言えば、そんなこともありません。まずひとつが、リアブレーキの効きに遊びがほとんどなく、すぐにABSが介入すること。もうひとつが、せっかくクラッチレバーに位置調整機構があるにもかかわらず、最短距離に設定しても離れ気味なこと(=手が小さいライダーには不向き)。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルと筆者(伊丹孝裕)。身長174cmの筆者がまたぐとご覧のようなポジションになります
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデルと筆者(伊丹孝裕)。身長174cmの筆者がまたぐとご覧のようなポジションになります

 また、それに関連するのですが、車体サイズの割にはハンドルやステップの位置がやや遠いことでしょう。身長170cm以下のライダーは、販売店などで一度またがらせてもらうことをおすすめします。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」。100万円を切る価格で簡易型のナビゲーションシステム「トリッパー」も標準装備されています
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」。100万円を切る価格で簡易型のナビゲーションシステム「トリッパー」も標準装備されています

 いずれにしても完成度は極めて高く、上半期に乗ったニューモデルの中で一番のサプライズになりました。スタンダードモデルなら100万円を切ったことも大いに評価されるべきですが、それでいてスマホと連動する簡易型のナビゲーションシステムを標準装備するなど、利便性や先進性もなかなかのもの。ロイヤルエンフィールドのさらなるシェア拡大を担っていくのではないでしょうか。

ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデル
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」ツアラーモデル

 スーパーメテオ650の車体価格(消費税10%込)は、スタンダードモデルが、97万9000円~99万9800円。ツーリングフロントスクリーン/デラックスツーリングシート/パッセンジャーバックレストの追加によって快適性を高めたツアラーモデル(今回の試乗車)が、103万9500円になっています。

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TTレース、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレース参戦経歴もあり、精力的に活動を続けている。

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