ブレーキの「モノブロックキャリパー」って、ナニ?
モノブロックのメリットは?
ブレーキキャリパーは、ブレーキをかけた際にディスクローターを挟み込む力の反力で、キャリパー本体が広がろうとします。もし広がってしまえば、その分だけブレーキパッドを押す力が逃げてしまうので、制動力が弱くなってしまいます。そのため、左右2つの部品をボルトで締結するよりも、キャリパー本体を一体構造にした方が剛性が高くなり、キャリパーの広がりや変形を抑え、強い制動力や高いコントロール性が発揮できます。

これがモノブロックキャリパーが登場した理由で、多くの高性能パーツの例に漏れず、モノブロックキャリパーもレース用部品として登場し、それが市販スポーツバイクにフィードバックされたわけです。
最初は本格レースのベース車にも使われる排気量1000ccや600ccのスーパースポーツが装備し、徐々にスポーツネイキッドなどにも広がっています。
……とは言え、従来の2ピースキャリパーが剛性不足で制動力が乏しいのかというと、そんなコトはありません。MotoGPやSBKレースの300km/hからのフルブレーキングならともかく、公道はもちろんサーキットのスポーツ走行でハードにブレーキングしても、一般ライダーならモノブロックと制動力の差を感じることは、ほとんど無いと思われます。
しかしモノブロックの剛性の高さは、ブレーキが効き始める時やリリース時のフィーリングに優れるコントロール性の高さがあるので、ライディングテクニックの向上に役立つかもしれません。
モノブロックキャリパーは、作るのが難しい
モノブロックキャリパーは性能的なメリットが大きいわけですが、製作にコストがかかります。キャリパー本体のピストンが収まる穴(ホール)には、高い油圧や制動時の応力、熱も加わるため、当然ながら精密に加工する必要があります。

モナカのように合わせる2ピースキャリパーは、それぞれを別に削って加工するので比較的容易ですが、モノブロックキャリパーの場合は、ディスクローターを挟む狭い隙間から、切削機械に特殊なアングルヘッド(回転軸の方向を変換する)を用いて加工する必要があります。この難易度の高さが、生産コストに反映されたわけです。
とは言え、近年は工作機械や加工技術が進化したため、かつては高額な本格レーシングパーツだったモノブロックキャリパーを標準装備する市販バイクも増えてきました。大排気量スーパースポーツだけでなく、250ccクラスやクルーザーにも広まっています。
これはライダーにとって幸せなことですね。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。


















