サーキットをハシゴしてモータースポーツが楽しめる!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.243~
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、ニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャンのサーキットは、とても似ていると言います。どういうことなのでしょうか。
たまには2輪ロードレース観戦も
ニュルブルクリンク24時間レース(ドイツ)を終えた翌週、僕(筆者:木下隆之)は「スパ・フランコルシャン8時間耐久ロードレース」を観戦するために、ベルギーまで足を運んでみました。

じつは、僕はニュルブルクリンクのレース全戦参戦するために、半地下のアパートを借りて生活しているのですが、節目となる24時間レースを終えて、体と気持ちを整えた翌週に、のんびりとした観客の気持ちに立ち返ってバイクのレースを観戦しようと思い立ったのです。
ニュルブルクリンクはドイツの中西部に位置しています。オランダやベルギー、ルクセンブルクやフランスと国境で接しています。といっても、EUで結ばれていますから、国を渡る感覚はありません。ニュルブルクリンクはベルギーに近く、スパ・フランコルシャンのサーキットまではクルマで約1時間の距離ですが、どこからベルギーに踏み入れたのか、分からないほどです。
ドイツには速度無制限のアウトバーンが網の目のように張り巡らされていますから、クルマを飛ばせば意外に早く隣国に踏み入ることができます。高速道路の料金も無料ですから、本当に気軽にドライブ気分で遠征することができるのです。
ちなみに、ニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャンのサーキットは、とても似ています。丘陵地帯に張りつくようにレイアウトされていること。古くは公道を閉鎖して開催されたコースだったこと。難攻不落な名物コーナーが存在していること。それはカルーセルやオー・ルージュに代表されます。
あるいは「ニュルウエザー」や「スパウエザー」と言われるほど、天候が急変すること。そして何よりも、24時間をはじめとした耐久レースが伝統的に行なわれていることも共通しているかもしれません。
ニュルブルクリンクもスパ・フランコルシャンも、6月はとても過ごしやすい気候です。レース観戦も爽やかでした。当日は天候がとても良く、Tシャツに短パンでも汗ばむような暖かさでしたが、湿度は低いのでカラッとしています。絶好の観戦日和だったというわけです。
名物であり、最大の難所であるオー・ルージュが一望できるスタンドでの観戦は圧巻でした。
僕はニュルブルクリンクだけでなくスパ・フランコルシャンの24時間レースにも何度か参戦しています。その頃と基本的にレイアウトに変更はなく、伝統が守られていることを嬉しく感じました。
コロコロとレイアウトを変更するサーキットもありますが、ニュルブルクリンクもスパ・フランコルシャンも、軽はずみな変化を嫌います。
その意味で言えば、第1コーナーを抜けてからオー・ルージュまでには旧ピットがそのまま残っています。石組みのピットは今では狭く、使い勝手は悪いのですが、それを取り壊すこともしていません。伝統を守ろうという姿勢は、こんなところにも現れている気がします。
いやはや、レースは白熱しました。ヤマハが圧倒の走りでポール・トゥ・ウインを達成したのですが、ヤマハだけでなくオー・ジュールに挑むすべてのライダーの勇気に拍手をしたい気持ちでした。
伝統的なニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャンがこんなに近くにあるなんて、モータースポーツにとっては最高の条件です。
ニュルブルクリンクでもバイクのレースは開催されています。そこからハシゴして、スパ・フランコルシャンでレースを観戦する。そんなことも可能なモータースポーツ天国なのです。
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。






