日本を代表するハーレー・エンジニアと所ジョージさん 2人の深い関係を示す1台のカスタムバイク
所ジョージ氏とZAK柴崎氏、二人のコンセプトを具現化
現在、世界のモーターシーンでは旧き良き時代のマシンを現代的な技術で再現する“レトロモッド”やエンジンそのものを再設計し、造り上げてしまう“リバースエンジニアリング”という手法が一つの流れとなっていますが、そうした言葉のない80年代後半から、こうしたアプローチでマシンを製作してきたサンダンスの成熟した技術はさすがの一言です。

実際、’92年に発表し、’95年から市販化された『スーパーXR』や1999年に発表し、2000年より限定10台で市販化されたアルミヘッド(本来のナックルヘッドは鋳鉄製ヘッドを採用)の『スーパー“リアル”ナックル』は今も世界的に高い評価を受けています。
そのサンダンスの集大成といえるエンジンを受け止める車体もサンダンスが培ったノウハウと所ジョージ氏の遊び心を感じさせるものとなっており、フレームは80年代のハーレー、ソフテイルのフロントセクションに、前述の『スーパー“リアル”ナックル』のリアセクションである「サンダンス・アクティブリジッド」をドッキング。一見するとリアサスを持たないリジッドフレームのようなシルエットでありながら、じつはリアサスが稼働するという凝った造りが与えられています。

また、フロントフォークはあえて1930年代のインディアン・リーフスプリングフォークのレプリカが装着されているのですが、これは「アメリカのデトロイトの裏路地にある油くさいバイク屋のガレージで老ビルダーが店にあったパーツで適当に組み上げたバイク」という所ジョージ氏とZAK柴崎氏が二人で考えたコンセプトを具現化したゆえ。
無論、車体の性能はあらゆる年式のエンジンや骨格をごちゃ混ぜにしつつも至って現代的な仕様となっています。しかも始動方法は、ある一定の箇所までキックペダルを踏みこむとセルが回るという凝りようです。こうしてすべての面においてバイクとしての機能が一切損なわれていない点もこの1台の見逃せないポイントとなっています。

たとえばこうしたカスタムバイクを生み出すには、カネを出し、単にパーツを組み上げるだけでは決して具現化されることはありません。あえていえばオーダーする顧客と創り出すビルダー側の人間的な信頼関係こそが肝要となります。
所ジョージ氏という人物の心の琴線に触れる「ツボ」を理解し、それを具現化するサンダンス、ZAK柴崎氏の技術力……まるで過去のサンダンス作品を1台の中に集約したかのような『デトロイト・フランケンシュタイン』からは二人の人間関係、絆の深さすらが伝わってきます。
Writer: 渡辺まこと
ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。















