いろいろなモータースポーツに欠かせない安全装備 ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.244~
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、モータースポーツに欠かせない安全装備は、最も危険な感じがするバイクから学ぶことが多そうだと言います。どういうことなのでしょうか。
安全にモータースポーツを楽しむために
先日のこと、僕(筆者:木下隆之)は久しぶりにレーシングカートの走りを楽しみました。楽しむと言うにはあまりに過酷なスポーツです。肋骨が折れないようにプロテクターを装着しなければなりません。クラッシュせずとも、体をホールドするバケットシートに肋骨が押しつけられるだけで、疲労骨折してしまうからです。カートの横Gは凄まじいものですね。

四輪のサーキットレースで、我々はハンスシステムと呼ぶ安全装備を身につけてドライブしています。肩に背負うようなカーボンのプレートからは、10cmほどのベルトが伸びており、その先のフックにヘルメットを結びつけます。
バケットシートに座り、5点式のシートベルトにハンスシステムを挟み込みます。そうすることによって、正面から衝突した場合の、首への損傷を軽減させることかできるのです。
衝突によって首から上が前に投げ出されそうになりますが、10cmほどのベルトがあるために、それ以上首が伸びないというわけです。むち打ち症を防ぐ効果が期待されるのですね。
レーシングカーもカート以上に激しい横Gが発生しますから、肋骨をガードするプロテクターがあってもいいように想像しますが、シートに多少のクッション性を持たせることで対応しているようです。
ちなみに、カートではシートベルトを装着しません。ですが、レーシングマシンではシートベルトが不可欠です。箱型のツーリングカーレースでは、左右をネットで囲むことによって、横転した場合などにドライバーが車外へ曲げ出されることを防いでいるのです。フォーミュラーレースでも同様に、放り出されないように保護されています。
ですが、カートレースではむしろ、マシンに括り付けるよりは投げ出された方が安全のようです。カートには、ドライバーを保護するロールケージがありませんから、固定されたまま横転したのでは、時には首でマシンを支えなければならない場面に陥るからかもしれません。
一方、体がむき出しのバイクには、さまざまなプロテクターが開発されています。もっとも損傷が多い頭部は四輪二輪問わずヘルメットで保護していますが、ライダーの場合は胸部、腹部、頸部など、さまざまな保護プロテクターの装着が求められるのです。ハイサイドなどで路面に叩きつけられる場面もありますから、それも道理ですね。
僕は、バイクでのサーキット走行は経験がありませんが、胸部を守るエアバッグを装着してライディングしています。さすがに四輪のサーキットレースでエアバッグは存在しません。
というように、モータースポーツそれぞれに身体を守るプロテクターが開発されています。そんななか、最も危険な感じがするバイクから学ぶことは多そうです。
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。



