1990年代、お洒落な若者のライフスタイルに提案! 3代目トヨタ「カローラII」とは
モータースポーツ界の生き字引、現役レーサーの木下隆之氏の新連載コラム「木下隆之のヒストリカルパレード(通称:ヒスパレ)」連載第22回目は、3代目トヨタ「カローラII」を解説します。
トヨタ「カローラII」
カローラIIが爆発的にピットしたのは、クルマとしてのそつのない完成度の高さとともに、そのコンセプトが秀逸だったからだと確信しています。特にそのネーミングが、販売を強烈に後押ししたのではないかと思っているのです。

というのも、カローラIIはカローラよりもコンパクトなターセル/コルサ兄弟とほぼ共通です。パワーユニットやプラットフォームも流用しています。本体のカローラよりも小型ですから、ターセル/コルサ/カローラIIの三兄弟といってもいいはずのコンパクトハッチバックなのですが、不思議なことにターセル/コルサ兄弟とは別でありますよといいだけに、カローラ名を名乗っていたのです。
当時のトヨタ販売担当者の裏コメントが記憶に深く刻まれています。
「中身はターセルやコルサと共通ですが、カローラの名を与えることで絶大なる信頼感が生まれるのです」
カローラIIの販売は当時、主に若い女性がターゲットでした。自動車免許証を取得したばかりの女性がターゲットです。買い与えるのは父親です。父親が娘に買い与えるクルマがカローラであることに、ことさら安心感を覚えるというのです。そう、カローラであることで父親の財布が緩むというのです。
しかも、価格はターセル/コルサとほとんど変わりがないのに、カローラですが人クラス上に感じます。ややギミックのようなテクニックですが、さすがに販売のトヨタと唸られるものがありました。

いやはや、そのコメントを耳にしたときに、ブランディングの高度な技を見せつけられた思いでした。実際には完成度の高いモデルでしたから、結果的にヒット作にはなったのであろうと予想しますが、なるほどネーミングの勝利ですね。トヨタの販売戦略の巧みさに感心した記憶があるのです。
そんなカローラIIですが、今回紹介する3代目カローラIIのキャッチフレーズも秀逸でした
「ごめんあっさせ。私の、新型カローラII誕生」
颯爽とクルマを運転して街を闊歩する女性をイメージしていました。
CMも大ヒットしました。当時若い女性に人気だった小沢健二が歌う「カローラIIにのって」が耳に残っています。

キュートな女性が街中を走ります。お洒落なベーカリーに買い物に来たのですが、財布を忘れてしまい、自宅に戻ろうとします。ですが、ついつい走り楽しくて、そのままドライブに行ってしまった・・・、というストーリーでしたね。
等身大の女性がモデルであり、それが若い女性のハートを鷲掴みにしました。
彼氏を迎えに駅まで来たけれど、1時間も待ちぼうけ。その間カローラIIの中で読書しながら待っています。いつしかカローラIIが私の図書館になってしまったわ…というストーリーのCMも好印象でしたね。
いま女性がドライブしても、とてもキュートな雰囲気が漂いますよね。素敵なクルマです。
◾️トヨタ「COROLLA II ZS」
<エンジン>
形式:5E-FHE
種類:直列4気筒DOHC
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
総排気量(cc):1496
圧縮比:9.8
最高出力(ps/r.p.m):115 (85kW)/6600
最大トルク(kg-m/r.p.m):13.8 (135N・m)/4000
燃料供給装置:EFI-D(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量(リットル):45
<寸法・定員>
全長(mm):3930
全幅(mm):1645
全高(mm):1365
ホイールベース(mm):2380
車両重量(kg):910
乗車定員(名):5
※ ※ ※
ホンダは、市販車として世界初の楕円ピストン・エンジンを搭載し、炭素繊維強化樹脂(CFRP)やチタン、マグネシウムなど高価な軽量素材と、ホンダの最先端技術を結集したロードスポーツバイク「NR」を1992年に発売した。

NRは、1978年の世界選手権ロードレースに楕円ピストン技術を軸とした画期的なレースマシンNR500で参戦を開始、14年後の1992年に市販モデルを開発、販売価格520万円という金額も注目を集めた。
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。









