【インタビュー】「鈴鹿8耐」参戦に必要なものすべてが揃ったのは鈴鹿入りしてから!? 「チームスズキCNチャレンジ」舞台裏に迫る
サステナブル燃料の燃費は?
――1スティント24周から26周で推移していたのは、燃費との兼ね合いでしょうか。
佐原:そうです。27周するには不安が残る感じでしたね。
―― 一方で、マシンのベースが同じヨシムラSERTモチュールは、最長29周というスティントがありました。この差はガソリンの違いからくるものですか?
佐原:それもありますし、ライダーの体格もあるでしょうね。また、今回ヨシムラSERTモチュールから参戦した渥美心選手は、そもそも燃費走行に長けているんです。うちが途中からあえて1スティント24周したのは、マッソン選手に効率よく5スティント目を託すためで、そのあたりのシミュレーションは今野がきめ細かく考えくれました。
――今野さんと田村さんのそれぞれの役割を教えてください。

今野:クルーチーフです。ライダーと話し合いながらセッティングをつめたり、メカニックをまとめたりしながら、マシンを可能な限りいい状態で走らせる役目です。
佐原:田村の役割は日本語で言えば、技術監督。とはいえ、その業務は機材の手配から事務処理まで広範囲に渡ったため、負担は相当大きかったはずです。そんな中でも、常に先読みしながら的確に動いてくれ、任せてみるものだなと。
――MotoGP経験者や浜松チームタイタン(スズキの社内チーム)のメンバーもいるとはいえ、多くのスタッフが社内公募で集まったと聞いていますが、いかがでしたか?
田村:やはり、ピット作業が一番の課題でした。ひとりの力ではどうにもなりませんし、技術だけでなく、合図の出し方や立ち位置など、本当に細かく詰めていかなくちゃいけない。それを今野が中心になって引き上げてくれました。今野は怒鳴ったりはしないけど、静かに厳しい一番怖いタイプです(笑)

今野:レースウィークの直前は、普段の業務の合間に毎日会社で練習してもらいました。暑い中でも集中してやってくれたおかげで、当初のピット作業と比較すると時間は半分になりましたね。もともと高いモチベーションで集まってくれたメンバーなので、負荷をかけてもそれに応えてくれた。でもまだまだ伸びしろはある、と思っていますが。

「スズキCNチャレンジ」今後の構想は?
――ということは、次回の参戦も期待していいということでしょうか。
佐原:レースは終わりましたが、マシンの検証やサステナブルの観点でどんな効果があったのか。そういったまとめの作業がこれからなので、それらが一段落して初めて「今年の鈴鹿8耐は終わり」と言えます。

――それができたと仮定して、今後の構想や思いがあればお聞かせください。
佐原:今年はまず、ヨシムラSERTモチュールのマシンがあり、そこに多くのパートナー企業からの協力があって、一定の成果を収めることができました。次の段階は、スズキとしてもっと積極的に開発していかなければいけない。たとえば、燃費の向上を図るには、ハード面とソフト面からなにができるのか。車体やタイヤをもっと機能させるにはどうしたらいいのか。そして、その着地点として「優勝」や「24時間耐久」を目指すべきなのか、あるいはもっと違うなにかなのか。まだなんとも申し上げられませんが、いずれにしても重要なのは、開発の強化ですね。
田村:スズキが始めたこの取り組みが他メーカーにも波及し、その中で技術を磨いていきたいと望んでいますし、そうなることによって、プロジェクトの意義も高まると思います。
今野:8位というリザルトは、これまでの世界選手権で残してきた成果を踏まえるとまだまだ。レースですからどんな条件であれ、勝ちを目指す気持ちは常に持っています。もちろん継続していきたいですし、来年があれば、今回よりずっと上を狙いたい。
佐原:そう、8位は特別凄いわけじゃない。おそらく、多くの皆さんが「参加することに意義がある」というスタンスで見ておられたので、印象的には「思っていたより速い」となったかもしれませんが、来年も出て、また8位だったら今回のような取材は受けないかもしれません(笑)。
――ありがとうございました。次回の参戦とさらなる好成績を期待しています。
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TTレース、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレース参戦経歴もあり、精力的に活動を続けている。













































