【インタビュー】「鈴鹿8耐」参戦に必要なものすべてが揃ったのは鈴鹿入りしてから!? 「チームスズキCNチャレンジ」舞台裏に迫る
2024年の「鈴鹿8耐」にサステナブルアイテムを使用したレーシングマシンで参戦した「チームスズキCNチャレンジ」。ここでは自身も豊富なレース経験を持つジャーナリストの伊丹孝裕さんが、チームディレクターの佐原伸一さん、田村耕二さん(テクニカルマネージャー)、今野岳さん(クルーチーフ)にインタビューを行いました。
一筋縄ではいかなかったスズキの新たな挑戦
2024年のFIM世界耐久世界選手権第3戦「鈴鹿8時間耐久ロードレース」に、スズキのファクトリーチームが参戦。レーシングマシンにサステナブルアイテムを多用するという新たな取り組みに注目が集まりました。

全3回に渡ってお届けしたレース前のインタビュー(前編/中編/後編)に続き、今回あらためて、チームディレクターの佐原伸一さん(チームディレクター)の他、田村耕二さん(テクニカルマネージャー)、今野岳さん(クルーチーフ)にも話を伺うことができました。

――「チームスズキCNチャレンジ」としての鈴鹿8耐への参戦、お疲れ様でした。予選16位、決勝8位、周回数216周という結果を、どのように受けとめていらっしゃいますか?
佐原:出来すぎとは言いませんが、一定の条件の中でよくやれたな、と思っています。速さにもこだわりたかったので、公言はしていませんでしたが、10位以内は目指したいと考えていました。ライダーもスタッフもミスなく戦うことができ、事前テストから一度の転倒もなく走り切れたことは評価に値すると思います。

――それはかなり異例なことですね。
佐原:転倒があると予定に狂いが生じますが、やるべきことを滞りなく進められたのは、大きかったですね。もちろん、傍から見るより、中はバタバタしていましたけど。
――それはたとえば、どういったことでしょう。
佐原:そもそも機材もなにもないところから始まったプロジェクトで、なければ借りるなりなんなりで乗り切るつもりでしたが、事はそう簡単ではなかったですね。結局、すべてが揃ったのは鈴鹿入りしてからのことで、当然マシン自体も一筋縄ではいかないところもある。現場合わせで切った貼ったした部分もありますし、スタッフのみんながよく間に合わせてくれたと思います。
今野:濱原颯道選手の体が大きいので、それに合わせて急遽社内でタンクパッドを作ったり、色々な部署にお願いしながら形になりました。

――以前のインタビューでは、エティエンヌ・マッソン選手に合わせて、ある程度大柄なライダーが望ましいというお話でしたが、集合写真などを見ると、やはり濱原選手は飛び抜けて高いですね。
佐原:彼はあの体格ですが、なんでも乗りこなす器用さがあります。最初からマッソン選手が軸になることはわかってくれていたので、マシンセッティングもマッソン選手優先で進めてくれました。ただ、ライディングポジションなどは無理をさせてしまった部分もあり、最後のスティントは腰に負担が掛かり、予定より早いピットインになりました。

――ラップチャートを見ると、基本的に1スティント24周から26周で推移していたのに対し、濱原選手の最終スティントが18周だったのは、そういうことだったんですね。
佐原:サインボードを出しているスタッフから「颯道が首を振ってます」という連絡があり、マッソン選手と生形秀之選手にスタンバイしてもらって、早めのピットインに備えました。ただし、首を振っている原因が疲労なのか、マシントラブルなのか、他のなにかなのかはピット側ではわからない(※2輪レースでは無線の使用がないため)。仮に熱中症ならすぐに入れなきゃいけないのですが、今野に状態を確認するとタイムは維持できているので、数周は大丈夫と判断。ギリギリ走れるところまで我慢してもらって、マッソン選手に交代しました。

――なるほど。濱原選手の合図後、もしもすぐにピットインさせてしまうと、マッソン選手が出ても、最後に燃料が足りなくなるかもしれない。すると、ピット作業の回数が予定より多くなる可能性がある。そういう局面だったわけですね。
佐原:そうです。結果的に順位をキープできましたが、きわどい判断でした。
田村:マッソン選手は普段すごく穏やかなんですが、早めのスタンバイを告げに行った時は、かなり目が怖かったですけど(笑)

――結果的に、生形選手は控えにまわることになりましたが、このあたりの決断はどのようにされたのでしょうか。
佐原:生形選手はレースウィークを通して安定していて、調子もいい。とはいえ、アベレージタイムでは、他の2人が勝る。様々な条件を検討し、基本的にはマッソン選手と濱原選手でいくことを話し合って決めました。ただし、それができたのは生形選手がいつでも走れる状態で待機してくれていたから。彼がいなければ、こんな作戦はとれないし、ずっと気を張っていなきゃいけない大変な役割を受け入れてくれた。申し訳なく思うと同時に、感謝しています。












































