クランクケース内側は真っ黒!! 高齢エンジンの現実…… 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフVol.15
どんなバイク、どんなモデルでも、自分自身にとって思い入れがあるバイクには、ある種違った感情がありますよね!? 自分自身の生誕年は「記念すべき年」ですが、そんな生誕年に想いを馳せて、1962年型スーパーカブC100と暮らしているぼくなのです。エンジン分解とともにシリンダーヘッドとシリンダーは内燃機加工によってリフレッシュしましたが、通称、エンジン腰下ことクランクケースは分割分解する予定はありません。しかし、カバーを取り外すと、その内側は真っ黒けでした……
クランクケースの内側には真実が見え隠れ……
正直なお話しをしますと、所有するスーパーカブC100はエンジン始動にチャレンジして、そこそこ走ってくれそうなコンディションを確認できたなら、そのまま外観だけクリーニングしてから、ナンバー登録。気が向いた時に走ることができればいいなぁ…… なんて考えていました。ところが、これまでのリポート通り、そうは問屋が卸してくれません。

エンジン始動まではスムーズでしたが、驚くほどモクモクな白煙を吹き出すエンジンコンディションでした。

エンジン腰上を分解すると、ピストンリングは想像以上に摩耗していました。トップリングとセカンドリングの合口ギャップは何と3.0ミリ以上もありました。C100サイズのピストンボアだと、トップもセカンドも、おおよそ0.2~0.3ミリが、新品ピストンリングを組み込んだ際のリング合口隙間の規定値で、0.7ミリを超えると、ほぼ使用限界になります。
それが3.0ミリを超えていた訳ですから、それはもうエンジンオイルが燃焼室内に侵入して(これが〝オイルあがり”と呼ばれる症状)、白煙モクモクになって当然です。この段階で、このエンジンはハズレかな!? と感じました。

そんなエンジン腰上コンディションでしたので、エンジン腰下も当然ながら心配でした。早速、クラッチカバーを外して、内部コンディションを確認しましたが、想像通りでした。
クランクケースカバーでもあるクラッチカバーの内側は、オイルスラッジで真っ黒け!! 後のOHCエンジンの遠心クラッチユニットと、基本構造的には似ていますが、残念なことに「遠心式オイルフィルター機能」がOHVエンジンには採用されていません。

だからこそ、このエンジンオイルの汚れは、気になってしまいます。クランクベアリングにダメージが無ければ良いですが、白煙モクモクの中で、元気良く回っていたエンジンからは、幸いにも気になる異音は感じませんでした…… 正直、そんな記憶です。
C100系OHVエンジンには、オイルフィルター機能がありません。1966年(昭和41年)に登場した、後のC50系横型OHCエンジンには、遠心式オイルフィルターが装備されていました。
オイルフィルターどころか、OHVエンジンのC100系には、オイルポンプすらありません。つまり4ストロークエンジンなのに、オイルポンプも無ければ、オイルフィルターも無いという(オイル通路の途中にネットスクリーンのストレーナーのみ装備している)、ある意味、消去法で設計されたエンジンなの、が初代OHVエンジンのようです。

ちなみに2代目横型OHVエンジンでもあるCM90/C200系の90ccエンジンには、オイルポンプ(ギヤポンプ)と、遠心式オイルフィルターを装備した設計でしたので、初代横型OHVエンジンシリーズの弱点を、C100ユーザーの走らせ方や扱い方から得て改善されたのだと思います。
オイルポンプ機能に関しては、カムシャフトの軸受けにスパイラル溝が掘られていて、クランクの回転と同期するカムシャフトからシリンダーヘッドへ向けてエンジンオイルがちょろちょろと押し上げられ、ロッカーアーム周りを潤滑する仕組みとなっています。メーカーや年代は異なりますが、スズキのチョイノリにも、オイルポンプは装備されていませんでした。

クラッチユニットの取り外しには、専用工具のロックナットレンチが必要です。この特殊工具は、後の横型OHCエンジン用=スーパーカブやダックスやゴリラにも継承されていましたので、ガレージ常備工具で分解できました。
プライマリードリブンダンパーにガタが出ていないかの確認は、中央のスプライン付近の突起を万力で固定して、外周ギヤを握って回転方向と横方向で振れをチェックしました。

気になるガタが無かったのは良かったです。また、発電機裏のオイルシールリップ部分から、オイル漏れが無かったのもラッキーでしたが、走り出せばオイルシールの痛みが発生する可能性もあるため、純正部品を購入できるうちに(無いものは社外部品で)、オイルシールやガスケット類は、交換部品をすべてガレージ在庫にしておこうと思います。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。











