ファンティック副社長に訊く「キャバレロ700」にヤマハのエンジンを搭載する理由
イタリアのバイクメーカー「FANTIC MOTOR」は、2020年末に「Motori Minarelli」を買収しました。その狙いは何だったのでしょうか。両社を訪問し、インタビュー取材しました。
ファンティックとミナレリ、両社の関係に迫る
「FANTIC MOTOR」(以下、ファンティック)は、1968年にイタリア北部のロンバルティア州バルザーゴで創業した2輪車メーカーです。1995年には不振に陥り、一時的に工場の操業が停止しましたが、新しいオーナーによって2004年に再スタートしました。

現在のファンティックは、MotoGPアプリリア・レーシングの拠点でもあるノアーレに近い、ヴェネト州サンタ・マリア・ディ・サーラに本社と工場を置き、開発と製造を行なっています。
ラインナップは「RALLY(ラリー)」、「MOTARD(モタード)」、「CABALLERO(キャバレロ)」、「ENDURO(エンデューロ)」、「MOTOCROSS(モトクロス)」というオフロード系モデルを主力としています。
モータースポーツ活動も積極的で、モトクロス世界選手権、エンデューロ世界選手権、ダカール・ラリー、そして2023年からは2輪ロードレースの最高峰、ロードレース世界選手権のMoto2クラスに「ファンティック・レーシング」として参戦しています。ただし、Moto2クラスは公式エンジンであるトライアンフの排気量765ccの3気筒エンジンと、カレックスのシャシーを使用しての参戦です。
先ほど挙げたファンティックのラインナップはオフロードモデルでしたが、Moto2参戦が示すように、今後、ファンティックはオンロードバイク市場へ本格的に参入していくということです。
ファンティックのバイクは、日本では「MOTORISTS(モータリスト)」が輸入総代理店を務めています。
そのファンティックが、2020年末に「Motori Minarelli」(以下、ミナレリ)を買収し、ミナレリの新たなオーナーとなりました。
ミナレリの始まりは1951年のF.B.M.(Fabbrica Bolognese Motocicli)で、特に50ccクラスの小排気量エンジンの製造を行なってきたメーカーです。1980年代からヤマハとのパートナーシップが始まり、2002年にはヤマハの子会社となりました。
ミナレリは過去、ロードレース世界選手権に参戦しており、1979年、1981年にはアンヘル・ニエトによって125ccクラスのタイトルを獲得しています。アンヘル・ニエトはMotoGPファンにはおなじみ、スペインGP開催地であるヘレス・サーキットの名称に冠されているレジェンドライダーです。
今回、筆者(伊藤英里)はイタリアのボローニャにあるミナレリの本社、そしてヴェネト州サンタ・マリア・ディ・サーラにあるファンティックの本社を訪れ、話を伺うことができました。













