ファンティック副社長に訊く「キャバレロ700」にヤマハのエンジンを搭載する理由
「キャバレロ700」がヤマハのエンジンを搭載している理由
もうひとつ気になったのが、「キャバレロ700」のエンジンについてでした。ファンティックが2022年11月のEICMAで発表して注目を集め、2023年7月に販売を開始した「キャバレロ700」には、ヤマハの「テネレ700」、「MT-07」のエンジンが使用されています。もちろん全く同じではなく、ファンティック独自のエアボックス、エキゾースト、ECUと、ミナレリが開発したキャリブレーションによって、馬力は変わらないながらも低中速域でのトルクが上がっているということです。

しかし、エンジンカンパニーであるミナレリ製エンジンを搭載しなかったのはなぜでしょうか。
マリアーノさんは、現状では従来のように、ミナレリは小排気量エンジンを製造する、と説明します。しかしもちろん、今後も同じではありません。
「全てのエンジンを開発することはできません。今年、私たちは50ccエンジンに集中しています。ユーロ5は大きな問題ですからね。私たちは300ccの2ストロークエンジンを開発しました。将来的にまた違ったものを開発できると思いますが、あまり多くのエンジンを開発することはできません」
ファンティックにとってもミナレリにとっても、現在もヤマハはビジネスパートナーであり続けています。ファンティックがミナレリを買収することが発表された2020年10月のヤマハのプレスリリースでは「譲渡先のファンティック社は、イタリアで2輪車や電動自転車の製造・販売を行なっており、MM社も長期的なビジネスパートナーです。今回の株式譲渡は、ヤマハ発動機とファンティック社とのパートナーシップを強化することが狙いです。」とあります。
「ヤマハはこのエンジンを使用するチャンスを与えてくれました。このエンジンは市場でも最高のエンジンのひとつです。私たちはヤマハとの関係性を継続し、テネレのようなヤマハエンジンを使用していかなければならないと考えています」
「私たちのターゲットは、私たちが考える全てのエンジンを開発、製造することではないのです。必要なエンジンを製造、開発することです」
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話を聞くほど、ミナレリとのパートナーシップは、ファンティックのひとつの転換期だったのではないか、と思えます。長い時間で培われた関係性が、ファンティックのバイクをどう面白くするのだろうと、関心は高まるばかりです。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。













