ツーリングでもお馴染み!? ライダーたちがすれ違うたびにするヤエーの意味とは
走行中、ライダーがピースサインやサムズアップをしている様子を目にしたことがある人も少なくないでしょう。これは「ヤエー」といって、ライダー同士の一種のコミュニケーションです。では、ヤエーには具体的にどういった意味があるのでしょうか。
「ヤエー」はライダー同士が安全を祈願し合うハンドサイン
ツーリングで、ライダー同士がすれ違うとき、ピースサインやサムズアップなどをして、サインを送り合うことがあります。
これは、「ヤエー」と呼ばれるもの。2003年にインターネットの掲示板上で、本来は“Yeah”のところを“Yaeh”とスペルミスしたことからネット上でヤエーと呼ばれるようになり、そこから一般的な会話でも使われるようになったと言われています。
しかし、ライダー同士がハンドサインを送り合う行為自体はもっと古くから存在し、以前は「ピースサイン」と呼ばれていました。1970年代にはすでにあったとされ、その歴史は古いようです。
では、ヤエーにはどのような意味があるのでしょうか。
結論から言うと、ヤエーにはさまざまな意味が込められています。バイク乗り同士の仲間意識からくる挨拶、ノリといった単純なものではなく、「ツーリング楽しんで」、「安全運転でね」、「事故などありませんように」など、相手の安全を祈願する意味も込められています。
また、観光地などでは、現地のライダーが歓迎の意を表すためにおこなう場合も少なくありません。ヤエーの自由度は高いため、それぞれが思い思いのハンドサインをしても問題ありませんが、あくまで運転に支障が出ない範囲でおこなうのが鉄則です。
ヤエーをするには、最低限守らなければいけない3つのルールがあります。
まずひとつ目は、カーブに差し掛かっているときにはやらないこと。当然、ヤエーをすると短い時間ですが片手運転になります。コーナリング中にハンドルから手を離すのは危険です。特に相手が下り坂カーブである場合、嫌がらせ行為と捉えられてしまっても仕方ありません。
ふたつ目は、クラッチレバーやブレーキレバーを操作中はやらないこと。カーブのときと同じく危険なため、操作に集中するようにしましょう。もしも相手からされた場合は、無理に返さず、軽く会釈をすれば問題ありません。
そして3つ目は、路面状況が悪いときにはやらないことです。ヤエーをして片手運転になっている際に、もしも段差に乗り上げる、小石を跳ねる、ウェットコンディションで滑るといった万が一のことがあっては危険です。
また、ヤエーをする際には、これら3つの最低限のルールは守りつつ、1点頭に入れておくべき注意点があります。
それは、ヤエーに対して好意的ではないライダーもいるということ。
この理由はさまざまで、たとえば安全面から反対している人や、運転に集中したい、景色を楽しみたいという人のほか、普段は賛成派の人でも「すれ違う寸前にされても困る」など、時と場合によることも少なくありません。
そこで大切なのは、ヤエーをして相手が返してくれなかったとしても、ガッカリしたり、腹を立てたりしないことです。相手の状況や心情すべてを計り知ることはできないため、無理強いは厳禁です。
「返してくれなかったらどうしよう」「返してくれなかったら腹が立つ」などと思わずに、「返してくれなくて当たり前」くらいの心持ちでする方が正解なのかもしれません。また、反対にもし自分も返せないことがあっても、気にしすぎる必要もありません。
ヤエーはツーリングをするライダーの義務でもなければルールでもないということを忘れないようにしましょう。
ちなみに、ライダー同士のすれ違いざまのコミュニケーションであったヤエーですが、現在ではさらに広がりを見せ、オープンカー同士や自転車同士でおこなう人も。さらに、ヤエーをステッカーに落とし込んだ「ヤエーステッカー」と呼ばれるものも存在します。
有志によって作られるヤエーステッカーは、道の駅を中心に各地に置かれており、イベントなどでも無料で配布されています。手に入れたい人は、ヤエーステッカーの公式サイトで、イベント情報や「ヤエーステッカー常設MAP」を見ることができるので、確認してみるとよいかもしれません。
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このようにヤエーは、ツーリング中にライダー同士が送り合うハンドサインのことで、「道中気を付けて」と安全を祈願し合うものです。バイク乗り同士の繋がりを感じられる粋なやり取りではありますが、義務でもルールでもありません。
まずは、安全運転を第一に、そして相手への思いやりを忘れずにおこないましょう。