空間の有効利用で「ガレージ上手」になろう たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.02
バイク置き場としてのガレージではなく、バイクいじりが大好きなサンデーメカニックが所有するガレージを見せて頂くと、そこはまさに「夢空間」と呼べます。ガレージ内空間やあまっている場所の有効利用によって、ガレージの使い勝手は相当に良くなります。旧モトメンテナンス誌時代から現モトメカニック誌に至るあいだには、様々な「有効活用例」を見せて頂き、勉強しています。
キーポイントは「空間の有効活用」?
常日頃、自分のガレージを使い易くしたいと考えていますが、バイクいじりには作業台が必要不可欠になります。
この作業台を、もっと使い勝手のいいようにしたいと考えていますが、しかし、現実的には、次から次へと部品や物を置いてしまうことで、気が付いたときには作業台ではなく「部品置き場」になってしまいます。
一度に何台ものバイクをいじってしまうので、仕方ないと言えばそれまでですが、バイクいじり好きにとって作業台は、極めて重要なものなので、日頃から整理整頓しておきたいものです。
旧車でも現代的なバイクでも、メンテナンス実践時に「邪魔になってしまう部品」があります。例えば、外装パーツ類は、取り外すことが多いと思います。しかし、取り外したサイドカバーやシート、ガソリンタンクなどなどの置き場が無くて、困ってしまうことがよくありますよね?
そんなときに利用すべきが「空間」や部品棚になります。ガソリンが入ったタンクを気楽にぶら下げることはできませんが、サイドカバーやシートなどは、ぶら下げることができます。
そう考えると、実は便利に利用できるのが「物干し竿」だと思います。過去に取材したガレージオーナーさんの中には、天井から吊ったひもに物干し竿を結び付け、その物干し竿にS字金具を引っ掛け、サイドカバーやシートを吊って保管している例を見たことがあります。ぼくのガレージでも、この作戦なら空間を有効活用できそうですが、そう考えてからすでに何年が経過しています……。
どんな場所でも天井近くの空間は、大なり小なり、有効活用できると思いますので、部品の吊り保管を実践してみたいものです。
「空っぽの部品棚」には意味がある
以前に取材したガレージオーナーさんは、幅1800ミリ、奥行き650ミリサイズの大きな部品棚を利用していました。腰の高さほどにある段は、何故か空っぽでした。その上の段も、その下の段にも、部品や物がぎっしり載せられているのに、その段だけが空っぽになっているのに気が付きました。

「何故、この段だけ空なんですか!?」と尋ねると、「バイクメンテするときに、カウルやガソリンタンクを取り外しますが、その置き場にはいつも苦労していました。部品棚を新調したので、ガソリンが入った重いタンクでも、スムーズに入れられる腰の高さの棚を、外装部品置き場として利用してます」と返答を頂きました。
敢えて「空きスペース」を作れる心のゆとりは大切です。また、羨ましく感じられました。地面に置いたガソリンタンクを蹴ってしまったり、サイドカバーを踏み潰して割ってしまった……などなどの経験を持つサンデーメカニックが、実は数多いと思います。素晴らしいアイデアですよね。
工具箱や部品棚の高さを統一することで……
ガレージ環境によって、物の置き方やレイアウトには様々な違いがあります。だから一概に、この方法がベスト的な解答が無いのも事実です。それでもガレージ空間を作った時には、単純に工具箱や棚を並べるだけではなく、何らかのアイデアを実現させたいものです。

作業環境に必要不可欠な「作業台」に関しても、いわゆる市販の作業台を置くだけではなく、現状環境を利用しつつ、作れることもあります。
よく見るのが、工具箱の天板と部品棚を一直線に並べ、高さレベルを合わせて作業台にする例です。工具箱の上も、実は物置スペースになってしまうことが多いですが、このような考えによって、天板面を有効利用できます。実に使い易く、立派な作業台に変身するのです。
最近では、そのような使い方、使われ方を考慮した大型工具箱の販売例もあります。市販品に対する疑問がある時には、自らのアイデアを投入することで、さらに状況は改善できます。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。