動物名シリーズ第2弾 原付レジャーバイク「ダックスホンダST50」はシャレたデザインで時代を超えた!!
鋼板パネルを貼り合わせたモノコックフレームに機能部品を詰め込んで、バイクへの抵抗感を無くしたホンダの新感覚レジャーバイク「ダックスホンダST50」(1969年型)は、フロント部分を脱着できる機能や手軽に乗れる独自の世界観がありました。
遊び心をフレームに詰めた、新感覚の乗りもの
1969年はホンダ「CB750FOUR」が発売された年ですが、ホンダの創業以来の総生産台数が1200万台を突破し、名実共に世界一のバイクメーカーとなった時期です。

一方、小さなホンダである「モンキー」も国内外で大人気となり、販売は好調でした。新しいカテゴリーの創出を予感したアメリカンホンダは、「モンキーよりもひと回り大きなサイズのバイクが欲しい」と要望します。
こうして「ダックスホンダ」の開発が始まりましたが、そのデザインは大きな「モンキー」ではありませんでした。かなり特殊な構造とデザインで、いままでにない、しかも親しみやすいユニークな形のまま商品化できたのは、本田宗一郎社長の後押しがあったからとも言われています。
1969年8月に発売された「ダックスホンダST50」はレジャーバイクと呼ばれ、気軽で乗ること自体を楽しめる、さらにアウトドアなどと組み合わせることで新しい楽しみが生まれる、そんな魅力を持ったバイクです。
その個性的なルックスは、鋼板で作った型をモナカのように溶接して形成するモノコックフレームです。通常、バイクのスタイリングを大きく左右する燃料タンクはフレームに内蔵され、フレームが外観そのものとなっています。
部品を全てフレームに内蔵することで、それまでバイクに馴染みのない人でも抵抗感無く触れて、跨って楽しめるというコンセプトでした。エンジンも「モンキー」や「スーパーカブ」と同様の自動遠心クラッチで、簡単に変速操作ができました。
またフロント部分を簡単に着脱可能で、ハンドルやステップが折りたためるなど、乗用車のトランクにも入るコンパクト設計も特徴のひとつです。
発売初年度は、同じ形で2人乗り可能な「ダックスホンダST70」に加え、アップマフラーとメッキのアップフェンダーを組み合わせた「ダックスホンダST50/70エクスポート」という4モデル展開でした。
「エクスポート」は当時ホンダが輸出仕様を国内販売する時に使用していた車名で、世界中に販売されて大ヒットモデルとなります。
その後、同フレームのままモデルチェンジがあり、4速マニュアルクラッチ車の追加や衝撃吸収力に優れたオイルダンパー式のフロントフォーク採用、固定ハンドルやノビータイヤへの変更がありました。
概ねオフロードテイストへのモデルチェンジを繰り返しますが、これは輸出先ではアウトドアのお供として、クルマに積んでキャンプサイト周辺のオフロード走行を楽しむことが多かったためだと思われます。
1979年には、プルバックハンドルや背もたれ付きシートなどを採用したアメリカンクルーザースタイルにモデルチェンジし、最初の世代は1969年から1981年まで販売されるロングセラーとなります。

1995年には当時のアウトドア志向やレジャーの多様化に伴い、オリジナルの「ダックスホンダST50」に近い形でホンダ「ダックス」が復活します。
さらに2022年には原付2種の「ダックス125」が登場し、現在でも販売されています。
「ダックス」という車名はダックスフンドに由来し、「ダックス125」のデカールには可愛いダックスフンドのイラストも使われています。
時代が変わっても鋼板モノコックフレームを踏襲し、愛嬌のある相棒として現行モデルも多くの支持を集めています。
ホンダ「ダックスホンダST50」(1969年型)の当時の販売価格は6万6000円です。
■ホンダ「Dax HONDA ST50」(1969年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
総排気量:49cc
最高出力:4.5PS/9000rpm
最大トルク:0.37kg-m/8000rpm
全長×全幅×全高:1510×580×960mm
始動方式:キック
燃料タンク容量:2.5L
車両重量:64kg
フレーム形式:鋼板Tボーン(モノコック)
タイヤサイズ(前後):3.50-10
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※一部の画像は2023年12月以前に撮影
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員













