またしても快挙!! と思いきや8位ゴールは記録に残らず 世界最高峰クラス2戦目で小椋藍選手が見せた好走は誰もが認める事実に

MotoGP第2戦アルゼンチンGPが、2025年3月14日から16日にかけて、アルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンドで行なわれました。MotoGPクラスに参戦する唯一の日本人ライダーにしてルーキーの小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)は、スプリントレースを15位で終え、決勝レースは8番手でゴールしたものの、技術規則違反により失格となりました。

ルーキー2戦目を8位でゴール!! 失格の理由はマシンのソフトウェアにあった

 2025年シーズンのMotoGP開幕戦、タイGPでのデビュー戦をスプリントレース4位、決勝レース5位という素晴らしい結果を残した小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)は、アルゼンチンで最高峰クラス2戦目を迎えました。

8番手でのゴールに、チーム代表のダビデ・ブリビオさんが小椋選手をハグで迎えた【2025MotoGP第2戦アルゼンチンGP】
8番手でのゴールに、チーム代表のダビデ・ブリビオさんが小椋選手をハグで迎えた【2025MotoGP第2戦アルゼンチンGP】

 アルゼンチンGPの開催は、2023年以来2年ぶりとなります。開幕戦タイGPの開催地であるチャン・インターナショナル・サーキットは、開幕前のテストが行なわれたサーキットでしたが、アルゼンチンGPの開催地であるテルマス・デ・リオ・オンドはそうではありません。つまり、ルーキーの小椋選手にとっては、金曜日の走行が、テルマス・デ・リオ・オンドをMotoGPマシンで走る最初となりました。

 といっても、これはルーキーの宿命のようなものです。2025年シーズンは全22戦が予定されており、事前にテストが行なわれたスペインのバルセロナ、マレーシアのセパン、タイのチャン・インターナショナル・サーキットを除く19のサーキットは、ルーキーにとってはMotoGPマシンでそのサーキットを初めて走るところから始まるのです。

 ルーキーにとって不運だったのは、最初のセッションである金曜日午前中が、夜に降った雨により完璧なコンディションではなかったことです。

 金曜日午後のプラクティス(予選のQ1とQ2を分ける重要なセッション)からアタックを求められるスケジュールにあって、そのサーキットの初走行となる金曜日午前中を「難しいコンディション」で走ることは厳しい状況と言えます。

 それでも、小椋選手はプラクティスで11番手タイムを記録します。Q2ダイレクト進出のかかる10番手まで、わずか0.021秒でした(トップ10に入ることができればQ2にダイレクトで進むことができる)。

 土曜日、Q1から挑んだ予選では珍しく転倒を喫して5番手。グリッド順としては15番手からスプリントレースをスタートし、このレースを15番手で終えています。

 スプリントレースについて、小椋選手は「難しいレースとなりました」と、MotoGP.comのインタビューで語っています。

「スタートでポジションを上げることができませんでした。序盤の1、2周でかなり大きなミスをしてしまい、そこから自分のペースで走ったのですが、ペースもそこまで良くなかったです。ポジションを上げることもできず、前から離されてしまいました。難しいレースとなりましたが、これを経験することはできました」

 15位という結果からもわかるように厳しいレースではありましたが、最後の言葉から、小椋選手が「これもルーキーシーズンの経験」として受け止めていることがわかります。

決勝レースでは、2023年Moto2チャンピオンのペドロ・アコスタ(#37)と2024年Moto2チャンピオンの小椋藍選手(#79)がポジションを争うシーンもあった
決勝レースでは、2023年Moto2チャンピオンのペドロ・アコスタ(#37)と2024年Moto2チャンピオンの小椋藍選手(#79)がポジションを争うシーンもあった

 翌日曜日の決勝レースでは好走を見せ、15番手スタートから8番手まで浮上する大躍進を果たしました。

 しかしレース後、FIMスチュワード・パネルにより、小椋選手の失格が発表されました。FIMスチュワード・パネルは、以下のように理由を説明しています。

「承認されていない非公認のソフトウェアバージョン(V21 b102)を使用していたことが確認されました。これは、FIMグランプリ世界選手権規則2.4.3.5.3『エレクトロニック・コントロール・ユニット(ECU)および慣性計測ユニット(IMU)』に違反する行為となります」

 技術規則により、MotoGPのマシンがレースで使用できるのは、現時点で承認されている公式MotoGPソフトウェアのバージョンのみです。小椋選手が乗るアプリリア「RS-GP」は、承認されていないソフトウェアバージョンを使用していた、ということです。

 これについて、小椋選手が所属するトラックハウス・MotoGP・チームは、リリースで以下のように説明しました。

「技術的な過ちにより、アルゼンチンGPで使用された#79(小椋藍選手のマシン)のレースバイクには、誤ったECUがインストールされていました。この問題について、スチュワード・パネルはホモロゲーション規則違反と判断し、レース後に藍を失格としました。

 なお、誤ったECUによるパフォーマンス上の優位性は一切なかったことが認められています。バイクの電子制御の設定自体は正しいものでしたが、誤ったファームウェアが取り込まれていました。

 藍は完璧なレースを展開し、15番手から8番手まで見事に追い上げました。彼自身に一切の責任はありませんが、マシンが現行のホモロゲーション規則に適合していなかったため、失格となりました」

 確かに、小椋選手の好走が結果として残らなかったことは残念なことです。しかし、レースの内容は素晴らしいものでした。何より、26周の周回数を、とても安定したペースで走り切っています。

 小椋選手は初めて走るサーキットでも、しっかりと「パフォーマンスを残して」第2戦を終えた、と言って良いのではないでしょうか。スポーツにおいて結果は重要ですが、ルーキーの小椋選手にとっては、その内容もまた、重要視されるものだからです。

 第3戦アメリカズGPは、3月28日から30日にかけて、アメリカのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行なわれます。

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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