こんな原付があったの!? ホンダ「パルホリデー」は「ラッタッタ~♪」から派生したファッションバイク
1970年代後半に始まったファミリーバイクの販売競争(HY戦争)では、ホンダのヒット作「ロードパル」のバリエーションモデルとして、主婦層から若者ライダーをターゲットに移して開発された「パルホリデー」が登場します。ゆったり座れるハイバックシートにフラットハンドルを装備し、まるでカスタム車のようなルックスでした。
ファミリーバイクは主婦層から若者ライダーへ
ホンダと言えば、最初にモータースポーツを思い浮かべる人も多いでしょう。確かにオン・オフ問わず何度も世界GPや4輪のF1でもタイトルを獲得しています。一方、市販車では「CB750フォア」で世界中のバイクファンを驚かせ、仕事や生活の足となる「スーパーカブ」を1億台以上も販売しています。さらに「モンキー」などのレジャーバイクを生み出し、楽しいバイクの世界を広げ続けています。

そんなホンダのバイクの中でも、最も手軽に乗れるエンジン付きの乗りものが、1976年に売り出された「ロードパル」です。軽量でシンプル、簡単操作で低価格という画期的商品は大人気となりました。
他社から対抗するバイクが登場し、ファミリーバイク市場は一挙に年間200万台という規模に成長します。1979年には全バイク市場の約半分をファミリーバイクが占めていました。ホンダはそのファミリーバイクに10機種14タイプというラインナップで他社とのシェア争いを繰り広げていました。
ヒット作である「ロードパル」もゼンマイ式始動の初期型に加え、自動巻きの「ロードパルL」(1977年)、フレームを湾曲させて跨りやすくした「パルフレイ」(1978年)など、「パル」シリーズの仲間を増やしていきます。
バリエーションが豊富だった「パル」シリーズの中でも、独特なスタイルで1978年に登場したのが「パルホリデー」です。
新しい乗りものとして生まれた初期の「ロードパル」は、既存のバイクユーザーではない主婦層がターゲットで、バイク臭さを感じさせない外観でした。
一方「パルホリデー」では、アクティブな若者に向けたファッショナブルなバイクとして開発されています。要所に大型バイク的なテイストを取り入れ、しかもバイクと自転車の中間にあるようなユニークなデザインです。
エンジンや駆動部分、タイヤサイズなどは基本的にベースとなった「ロードパルL」と同じですが、直線基調の車体はシート後部にあった燃料タンクを持ち上げて、ステップから伸びる2本のフレームに固定しています。そのフレームの先にあるステップは前方へ移動し、ホールド性の良い厚みのあるシートは後方が高くせり上がっています。
ハンドルはフラットバー型で、カスタムバイクを思わせる形状です。その高い位置にヘッドライトが装着されており「ロードパル」とは全く違う雰囲気を醸し出しています。

兄弟車として、トライアングル型フレームを採用した「パルディン」も同時発売され、両モデルとも柔らかく乗りご心地の良いフロントクッションを採用しています。
輸出仕様車もありましたが直接的な後継モデルは無く、ユーザーの人気はフロアステップタイプの「カレン」や、スクーターの「タクト」へと移っていきました。
ホンダ「パルホリデー」(1978年型)の当時の販売価格は7万9000円です。
■ホンダ「PAL HOLIDAY」(1978年型)主要諸元
エンジン種類:空冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブ
総排気量:49cc
最高出力:2.2PS/5500rpm
最大トルク:0.37kg-m/3500rpm
全長×全幅×全高:1560×600×980mm
始動方式:蓄力(自動巻きゼンマイ)式
燃料タンク容量:2.5L
車両重量:54kg(乾燥)
フレーム形式:低床バックボーン
タイヤサイズ(前後):2.00-14-4PR
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員








