ドゥカティ入門に最適なモデルはどっち? 「モンスター」と「スクランブラー」の素性を探る

イタリアのバイクメーカー「DUCATI(ドゥカティ)」の現行ラインナップ(2025年3月現在)の中で、どちらかと言えばユーザーフレンドリーな2機種「モンスター」と「スクランブラー」にフォーカスし、「はじめの一歩」にふさわしいであろう両モデルの素性を探ります。

現在のドゥカティでは、フレンドリーな価格設定

 当記事の目的は、同じメーカーの2機種を同じ条件で比較して、各車の個性を明らかにすることです。今回は「ドゥカティ・ツイン編」として、現在(2025年3月時点)の同社のラインナップの中では価格設定がフレンドリーな「モンスター」と「スクランブラー」にフォーカスします。実際に取り上げるのはそれぞれの派生機種で、「Monster+(モンスター・プラス)」と「Scrambler NightShift(スクランブラー・ナイトシフト)」になります。

ドゥカティ「Monster+」(左)と「Scrambler Nightshift」(右)
ドゥカティ「Monster+」(左)と「Scrambler Nightshift」(右)

 なお各車の価格(以下、消費税10%込み)は、「モンスター」が157万円、「スクランブラー・アイコン」が133万3000円で、マイクロビキニカウルとシングルシートカバーを装備する「モンスター・プラス」は162万2000円、ローハンドルやバーエンドミラー、スポークホイールなどを採用する「スクランブラー・ナイトシフト」は153万8000円です。

エントリーユーザーの獲得と、支持層の拡大を意識

 本題の前に大前提の話をしておくと、近年の2輪の世界では、欧州のA2ライセンスや東南アジア市場を考慮した、排気量アンダー400ccクラスが活況を呈しています。

 具体的な話をするなら、日本の4メーカーやロイヤルエンフィールドに続く形で、KTM/ハスクバーナ・モーターサイクルズ、BMWモトラッド、ハーレー・ダビッドソン、トライアンフなどが、エントリーユーザーの獲得と支持層の拡大を念頭に置いて、各社各様のアンダー400ccモデルを販売しているのです。

 そんな中で、ドゥカティは他社とは異なる姿勢を維持しています。かつての同社のラインナップには、350/400ccの空冷OHC2バルブLツインエンジンを搭載する「F3」や「400SS」、「モンスター400」、「スクランブラー・シックスティー2」などが存在したのですが、現在の最小排気量車は「ハイパーモータード698モノ」(排気量659ccの単気筒エンジン)です。864mmのシート高や177万8000円の価格を考えると、敷居が低いモデルとは言えそうにありません。

 では近年のドゥカティで、どのモデルがそういう役割を担っているのかと言うと、それはやっぱり、スクランブラーとモンスターです。ただしこの2機種の共通点は、90度Vツインというエンジン形式くらいで、それ以外はほとんど存在しません。排気量はモンスターが937cc、スクランブラーが803ccです。

 となると、2台のいずれかの購入を検討しているライダーは、事前に各車の差異を把握しておく必要があるでしょう。その一助になることを念頭に置いて、ここでは各車の素性を紹介します。

ドゥカティならではの運動性と最新技術

 まずはモンスターの概要を説明すると、2021年に登場した第4世代(=現行モデル)からは、近年の同社のトップモデルである「パニガーレ」との共通点……と言うか、関連性が多分に感じられます。

ドゥカティ「Monster+」
ドゥカティ「Monster+」

 と言うのも、独創的なアルミ製フロントフレームはパニガーレ譲りで、DOHC4バルブ水冷90度Vツインのテスタストレッタ11°は、かつてのスーパーバイク用がベースなのですから。

 その他にも、ライダーを支援する多種多様な電子デバイスや、前後17インチのハイグリップタイヤ、セミラジアルポンプ式のブレーキ/クラッチマスターシリンダーなど、モンスターはワインディングロードやサーキットで真価を発揮する装備を随所に採用しています。

 言ってみればモンスターは、ドゥカティならではのスポーツ性と最新技術がきっちり味わえるモデルなのです。だから、とりあえずドゥカティ製ロードスポーツの魅力を体験してみたい人や、いつかはパニガーレやストリートファイターという夢を抱いている人にとって、このモデルは最適な資質を備えていると思われます。

古き良き時代の味わいを再現

 その一方で、2015年から発売が始まったスクランブラーは、1980~2000年代のドゥカティの主力だったスチール製トレリスフレームに、同じく2000年代までは同社の多数派だった空冷OHC2バルブLツイン(一昔前のドゥカティは全モデルのエンジン形式にこの呼称を使用していたが、車体搭載時のシリンダー挟み角がL型に見えなくなったため、十数年前から90度Vツインに変更。現在はスクランブラーシリーズのみがLツインを名乗っている)、デスモデュエを搭載しています。

ドゥカティ「Scrambler Nightshift」
ドゥカティ「Scrambler Nightshift」

 ちなみに、スクランブラーは1970年代を意識したモデルですが、同社のスチール製トリレスフレームとコグドベルトでカムシャフトを駆動する空冷Lツインの原点は、1979年から発売が始まった「500SLパンタ」です。

 いずれにしてもスクランブラーは、古き良き時代のドゥカティの資質が満喫できるモデルと言っていいでしょう。

 なおスクランブラーは、2023年型で電子デバイスの充実化や軽量化を行っています。ただし、フロント18インチ、リア17インチのブロックパターンタイヤや、横置き式のブレーキ/クラッチマスターシリンダー、シングルディスクのフロントブレーキ(モンスターはダブルディスク)、十分な肉厚を確保したダブルシートなど、主要部品の基本構成は初代からほとんど変わっていません。

既存のベベル系に代わる新世代ドゥカティの1番手として、1979年に発売が始まった「500SLパンタ」は、スチール製トレリスフレームに、コグドベルトでカムシャフトを駆動する空冷Lツインを搭載
既存のベベル系に代わる新世代ドゥカティの1番手として、1979年に発売が始まった「500SLパンタ」は、スチール製トレリスフレームに、コグドベルトでカムシャフトを駆動する空冷Lツインを搭載

完全な別物でも、車格感は同等

 さて、ここまでの文章を読んだ人は理解していると思いますが、モンスターとスクランブラーは素性も構成も、そして目指す世界も完全な別物です。

 とはいえ、扱いやすさの指針になる車重とホイールベースに大差はなく、モンスターは188kg・1474mm、スクランブラーは185kg・1449mm(スクランブラー・ナイトシフトは191kg)ですから、ショールームで跨っただけでは、2台のキャラクターの差異は把握しづらいでしょう(各車の車重は、メーカー公表値にガソリン容量分を加えた数値)。

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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