変速時のスムーズさもDCTの魅力 最新仕様のホンダ「NC750X DCT」で熟成の域に? それとも……

シフトチェンジの自動化を実現した「DCT(Dual Clutch Transumission)」を搭載するホンダの「NC」シリーズ最新型「NC750X DCT」(2025年型)に試乗しました。2009年から続くDCTは進化と熟成を重ね、より自然な制御へとアップデートされていました。

熟成の到達点か、新たなる「NC」道のスタートか

 現行モデル、最新仕様となるホンダ「NC750X DCT」(2025年型)に乗りました。TFTカラーモニターやフロントに採用されたダブルディスク、改善されたDCTの制御プログラムなど、乗ってすぐにわかる親しみやすさ、楽しさが具現化され1台にまとまっていました。

ホンダ「NC750X Dual Clutch Transmission」(2025年型)に試乗する筆者(松井勉)
ホンダ「NC750X Dual Clutch Transmission」(2025年型)に試乗する筆者(松井勉)

 今回テストしたのは「デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)」を搭載したモデルです。昨年からホンダ「E-Clutch」、ヤマハ「Y-AMT」、BMWモトラッドからは「ASA」が登場するなど、クラッチ操作やシフト操作をメカ任せにできる装備を付帯したモデルが続々と市場に投入されています。オートマチックとして扱えるスポーツバイクとも置き換えることができます。

 ホンダは2009年からDCTモデルを市場に投入。2輪用に設計したコンパクトなDCTを搭載することで、変速時に駆動力の途切れが極めて少ない滑らかな走行を可能にしたと同時に、ライダーに新たなライディングプレジャーやイージーライディングの世界を体験させてくれました。ホンダのスポーツツアラー「VFR1200F」で市場に投入され、2番手として登場したのが現在の「NC750X」へと続く「NC」シリーズだったのです。

 もっと手軽に、身近にスポーツバイクを楽しんで欲しいというコンセプトを下敷きに造られた「NC」シリーズはユニークなものでした。エンジンは低回転から大きなトルクを生み出す特性を与えた前傾シリンダーレイアウトを採用。排気量250ccクラスのように低燃費なのも魅力でした。

 ブリッジ型のフレームを使い、走りと空間の確保をしています。エンジン上の大きな空間にはヘルメットを楽々と飲み込むサイズのラゲッジスペースをレイアウト。燃料タンクはリアシート下に配置することで低重心化をはかり、乗りやすさに繋げています。

 その他にもユニークだったのは、フロントブレーキディスクプレートとリアのそれを1枚の部材からプレスで打ち抜き、余材があまり出ないようにする「エコ」な取り込みもされました。環境への敏感なライダーにも訴求するのでした。

ホンダ「NC750X Dual Clutch Transmission」(2025年型)カラー:エコブラックR
ホンダ「NC750X Dual Clutch Transmission」(2025年型)カラー:エコブラックR

 その後「NC750X」は基本コンセプトを保ちながら時代に合わせたアップデイト。DCTモデルにおいてはシフトやクラッチ制御プログラムが改善され、現在まで続いています。

 その「NC750X」にとって、2月に発売された2025年モデルは装備面を見ても魅力的だ、と私(筆者:松井勉)は感じました。

 例えば、フロントブレーキはシングルディスクからダブルディスクを採用。5インチのTFTカラーモニターやハンドルスイッチの変更でマシンインターフェイスを進捗させ、スマホ連動のナビや音楽プレイヤーとしても機能する「今」な装備を手に入れています。

 またバイワイヤのスロットルの採用により、ライディングモードも選択可能になるなど電子制御まわりも一歩前進。全体のシルエットは「NC」そのものですが、フロントマスクなどを変更。佇まいから「良いモノ感」が増しています。

 ラゲッジボックス内に装着されたETC2.0の器機にカードを入れると、メーター内のETC表示がオレンジからグリーンになり、読み取り完了したことが解ります。

 桜が開く時期に訪れた寒気で凍てつくなか「NC750X」を走らせました。標準装備されたグリップヒーターは最強アイテムです! 走り出すとスクリーンも寒風の直撃を和らげてくれました。

 スタート時に感じたのは、DCTのクラッチ制御やアクセルの制御が見事に協調され、気持ち良くなったこと。従来モデルだと半クラッチのゾーンとスロットルの開き方が時に唐突に思える部分もあり、低速時やUターンなどではちょっと神経を使いました。

 新型ではまるで自分の低速バランス走行が巧くなった? と思えるほど自然な制御になっています。メカが人の感性に溶け込むような働きをしてくれるのはとても嬉しい部分です。

新型ではDCTのクラッチやアクセルの制御が見事に協調され、従来型よりも気持ち良く感じる
新型ではDCTのクラッチやアクセルの制御が見事に協調され、従来型よりも気持ち良く感じる

 変速時のスムーズさもDCTの魅力で、ホンダ独自のこのシステムが他の自動化ミッション、自動化クラッチに劣らないところです。時に雨が路面を濡らす中、シフトダウンもブリッピングを入れながら気持ち良くキメてくれます。

 まるで1500ccぐらいありそうなトルク感を持つこのエンジン。市街地では3000rpmまで使えば速いと思える加速をします。個人的には2000rpm程度を維持してエンジンの鼓動感を楽しみながら走るのが好きです。

 マニュアルモード、Dモードと選べるシフトプログラムを「D」(自動変速)として、必要であれば左スイッチボックスにある「+」、「-」のパドルスイッチからシフトをするようにすれば意のまま感も上がります。

 重厚だけど素直なハンドリングも、エンジン、ミッション、クラッチの制御でさらに身近になり、このバイクのサイズや重量からくる重みを薄めてくれるのです。

 そしてフロントブレーキです。今までに不満がある訳ではありませんでしたが、ダブルディスクとなり、制動力が高まったことでツーリングや市街地で使うような小さなレバー入力で減速する時の力感が少なくても思い通りの減速ができるので、快適になったと同時に操る面白さも増しています。

 スイッチ類の操作感、モニターと合わせて直感的に情報を呼び出せるインターフェイスも「NC750X」に新しい価値観を感じます。

 重箱の隅をつつけば、グリップヒーターのスイッチが左のスイッチボックスから操れたらなおヨシ、という程度でしょうか。リサイクル材を使ったエコな姿勢も継承するなど、「NC」がもたらすライフスタイルは健在。さらに多くのライダーに選ばれるに違いない、そう感じたテストでした。

※ ※ ※

 2025年2月に発売された「NC」シリーズの最新モデル「NC750X Dual Clutch Transmission」の価格(消費税10%込み)は106万9200円です。カラーバリエーションは取材車両の「エコブラックR」のほか、「ファイティングレッド」、「マットディープマッドグレー」の全3色設定となっています。

【画像】まるで運転巧くなったみたい? 制御がより自然になったホンダ「NC750X DCT」(2025年型)を見る(13枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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