エンジンの面白さで見ればピカイチの存在!! モトグッツィ「ステルビオ」のライバル勢とは異なる愛嬌とは

モトグッツィから「Stelvio」の名を復活させた新型のアドベンチャーツーリングモデルが登場。先に登場した「V100 Mandello」(2022年型)同様のパワーユニット「コンパクトブロック」を搭載し、一体どんな乗り味なのか? 試乗しました。

新世代の「コンパクトブロック」を導入

 2023年から発売を開始した「V100 Mandello(V100マンデッロ)」に、モトグッツィはほぼ半世紀ぶりとなる全面新設計のパワーユニット、通称「コンパクトブロック」を導入しました。

モトグッツィ新型「Stelvio」(2024年型)に試乗する筆者(中村友彦)※車両はオプションのハードサイドケースを装着
モトグッツィ新型「Stelvio」(2024年型)に試乗する筆者(中村友彦)※車両はオプションのハードサイドケースを装着

 既存の「ビッグブロック」や「スモールブロック」と比較した場合、すべてをゼロから構築したコンパクトブロック最大の特徴は、吸気系のダウンドラフト化やエアクリーナーの大容量化、ライダーの足元のスペース確保などに貢献する、中央吸気・左右排気を採用したことでしょう。

 もちろん、コンパクトブロックの新機軸はそれだけではありません。製品名が示す通りの小型化や水冷機構の導入、DOHC4バルブヘッド+フィンガーフォロワーロッカーアーム、バランサー的な役割を果たすフリーホイールの採用など、随所に現代的な機構を取り入れています。

 逆に既存のパワーユニットは、良く言えば「昔ながら」、悪く言うなら「時代遅れ」だったのですが、コンパクトブロックにそんな印象を抱く人はいないでしょう。

アドベンチャーツアラーとしての資質を獲得

 2024年にデビューした「Stelvio(ステルビオ)」は、コンパクトブロック搭載車の第2弾で、開発ベースは「V100マンデッロ」です。とはいえ、クロスオーバーモデルと言うべき構成の「V100マンデッロ」とは異なり、「ステルビオ」はアドベンチャーツアラーとしての資質を獲得するべく、パワーユニットを除く数多くの部品を新規設計しています。

 中でも注目するべきは足まわりで、「V100マンデッロ」のサスペンションストロークが前後130mm、ホイールが前後17インチのアルミキャスト、タイヤがツーリング指向のオンロード用などに対して、「ステルビオ」はサスペンションストロークが前後170mm、ホイールはフロント19インチ/リア17インチのクロススポークタイプで、タイヤは悪路を意識したセミブロックパターンを採用しています。

 また、剛性バランスを見直したバックボーンフレーム+片持ち式スイングアーム、容量を17Lから21Lに拡大した燃料タンク、可動範囲を90mmから150mmに増やした電動スクリーン、親しみやすさや快適性を意識したライディングポジション関連パーツなども、「V100マンデッロ」とは異なる「ステルビオ」の特徴と言えるでしょう。

「V100マンデッロ」の問題を解消?

 私(筆者:中村友彦)はモトグッツィが大好きで、近年は1974年型「V850GT」をメインの愛車にしています。そんな私は近年のモトグッツィ各車にも好感を抱いていますが、同社にとって初のクロスオーバー的なモデルである「V100マンデッロ」の乗り味は、あまりピンと来ませんでした。

モトグッツィ新型「Stelvio」(2024年型)カラー:バルカンブラック ※車両はオプションのハードサイドケース(容量左30L/右29L)を装着
モトグッツィ新型「Stelvio」(2024年型)カラー:バルカンブラック ※車両はオプションのハードサイドケース(容量左30L/右29L)を装着

 その理由は、いまひとつリラックスできないライディングポジションと、上質とは言い難い前後サスペンションです。もっともその2点は小改良で解消できそうなので、私は今後の熟成に期待したいと感じていました。

 そしたらなんと、「ステルビオ」は私が気になった問題を解決していたのです。ライディングポジションは至ってナチュラルで、身体のどこにも妙な負担がかからないですし、前後サスペンションはどんな場面も過不足なくこなしてくれそうです(タイヤサイズと銘柄変更の効果もあって乗り心地はかなり良好)。

 だからこそ私は、1人のモトグッツィ好きとしてホッとしたのですが……。その一方で、快適性や悪路走破性という面では、他メーカーのライバル勢に及ばないとも思いました。

 まあでも、それは当然なのかもしれません。近年になって性能競争が過熱するリッタークラスのアドベンチャーツアラーの世界に、モトグッツィが復帰するのは十数年ぶりなのですから。

 ではライバル勢に対するステルビオのアドバンテージは何かと言うと、まずは価格です。

 近年のこの分野をリードしているヨーロッパ勢の価格(消費税10%込み)は、BMWモトラッド「R 1300 GS」が285万円~358万7000円、KTM「1290スーパーアドベンチャー」が279万9000円~281万3000円、ドゥカティ「ムルティストラーダV4」が353万2000円~512万円、トライアンフ「タイガー1200」が243万5000円~283万円であるのに対して、1グレードのみを展開する「ステルビオ」は242万円なのです。

 もっとも、価格を重視するライダーにとっては、150~200万円前後の日本製リッターアドベンチャーツアラーの方が魅力的と思えるでしょう。

 でも「ステルビオ」にはもうひとつのアドバンテージとして、ライバル勢とは一線を画する、エンジンの味わいや愛嬌があるのです。

 と言うのも、前述したように近年のリッターアドベンチャーツアラーは性能競争が激化し、トータルパフォーマンスを重視した結果なのでしょうか、どのモデルもエンジンの主張が微妙に薄らいでいるように思います。

 でもコンパクトブロックを搭載する「ステルビオ」を走らせた私は、低回転域では各気筒の爆発力がダイレクトに伝わる鼓動感、中高回転域では2つの気筒が力を合わせて駆け上がっていく爽快感を認識し、全面新設計になっても本来の魅力を失わない、モトグッツィの縦置き90度Vツインの味わいと愛嬌に大いに感心しました。

 もちろん、そのあたりの印象は各人各様で、ライバル勢のエンジンに魅力を感じる人も大勢いるでしょう。でも私自身は、エンジンの面白さという見方なら、現在のリッタークラスのアドベンチャーツアラーの中で「ステルビオ」がピカイチではないか……と、感じています。

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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