「なんだか右カーブが苦手……」それって自分だけ? じつはその理由も対策もある!?
コーナリングはバイクライディングの醍醐味のひとつですが、なぜか「右カーブが苦手」というライダーが少なくないようです。左カーブは気持ち良く曲がれるのに、右カーブだとなんだか不安……そう感じているのは自分だけなのでしょうか?
日本の道路は、右カーブが難しい!?
運転免許を取って日の浅いビギナーも、相応に長く乗っているベテランでも、「右カーブが苦手」と感じているライダーは多いようです。峠道の右カーブはアウト側がすぐにガードレールや谷だったりする場合が多く、対向車がセンターラインを越えてくる可能性もあるので、心理的なプレッシャーが強いのかもしれませんが、それでも右カーブの苦手意識には釈然としないモノがあります。

じつは右カーブを難しく感じるのには、理由があります。まずは「道路の構造」です。日本の道路は左側通行ですが、これが大きく関係しています。
道路は雨天時などの水ハケを良くするために、断面がカマボコ型になっています。そのため左カーブの場合は路面にバンクが付いた状態(サーキットなどに近い)なので曲がりやすいのですが、右カーブだと「逆バンク」になります。すると相対的にバイクのバンク角が路面に対して深くなるため、走行スピードとのバランスが取りにくくなったり、タイヤのグリップが希薄に感じたりします。
また同一のカーブを行ったり来たりした場合など、右に曲がっても左に曲がっても「同じ曲率」と考えがちですが、片側1車線ずつの道ならば、左カーブよりも右カーブのほうが回転半径が1車線分大きくなります。ということは、右カーブの方が長く回り込んだカーブになるため、やはり難しく感じる原因になります。
人間の身体は、右カーブが難しい!?
人間の身体の構造も、左右のカーブに影響しています。手に右利き・左利きの人がいるように、足にも「効き足」があり、その反対側の足が「軸足」になります。
例えばサッカーでボールを蹴りやすいと感じる方の足や、階段を降りるときに先に出す方の足が「利き足」になり、反対にボールを蹴るときに地面に残したり、階段を降り始めるときに残す方の足が「軸足」です。
そのためコーナリングで車体を傾けるときも、万一転びそうになっても軸足の左足なら支えられるという心理が無意識に働くため、左カーブは自信をもってイン側(左側)に体重を預けられます。
反対に右カーブでは、軸足ではない右足なので支えられる自信がなく、何となく不安でイン側(右側)に体重を預けらないため、曲がり方が弱かったり曖昧になり、それが右カーブの苦手意識を生み出しています。
もちろん相応のスピードで走っている車重が100kg以上ものバイクが転びそうになるのを足で支えることなど絶対に無理なのですが……。
そして「左足が軸足」の人が多数派になります。
バイクの構造も……
またバイクの構造も、右カーブの難しさに少なからず影響しています。カーブに進入する前の減速や、曲がりやすい車体姿勢を作るために必要なフロントブレーキやリアブレーキ、そして立ち上がりで加速するためのスロットルなど、コーナリング中に操作すべきモノは、すべてバイクの右側に装備しています。
そのため操作に集中して意識が囚われたりすると、つい身体に力が入ってしまったり、ライディングフォームがぎこちなくなります。これも右カーブの方が右手や右足が窮屈になりがちなので(左カーブの方が余裕があって操作しやすい)、曲がりにくさに影響します。
右カーブが難しい前提で対策!
「道路・身体・バイク」の構造が右カーブを難しくする原因ですが、対策方法はあるのでしょうか?

まず道路の構造ですが、路面のバンク角や回転半径が「右カーブと左カーブで違う」というコトを理解するだけでも、心理的に余裕が生まれます。
また前述した「右カーブはアウト側がスグにガードレール」といったプレッシャーですが、反対に左カーブだとアウト側に対向車線があるためマージンがあるように感じますが、対向車線にハミ出したら交通違反ですし、もし対向車がいたら万事休すなので、これはまったくのカン違いだと肝に銘じましょう。
ちなみに日本の峠道に多い、先が見通せない「ブラインドカーブ」の場合、同じカーブなら右カーブの方が左カーブよりも視界が広く奥まで見えます。その意味では右カーブの方がマージンが大きいと言えるので、これを知っていると心理的な安心材料になるかもしれません。
次に身体の構造ですが、これに関しては「左右のカーブで同じフォームが取れない」ことが右カーブが苦手な原因と考えるライダーも少なくないようです。しかし「左足が軸足の人は右側に体重を預けにくい」という大前提のもとに、左右で同じフォームを取ることにこだわるよりも、苦手な右側にしっかり体重を預けることを強く意識するのが得策です。
たとえば普段リーンウィズ(車体の中心)で乗っている人は、右カーブは少しで良いので右に腰をズラすのも効果があるでしょう(普段リーンインで乗っている人は、右カーブはもっと大げさにズラしてみる)。
ちなみに、直進時にはシートの(左右方向の)真ん中に座っているつもりなのに、実際は少しだけ左側にズレて座っているライダーが少なくありません。これは停止時に足着きを良くするため腰を左側にズラしていて、発進後もそのズレが残っていたり、転倒や足着きに備えて無意識に左にズレているケースもあります。
これは走り出したらその都度ステップの上に立つようにして真ん中に座り直すか、敢えて普段から少し右ズレで座るように意識するのもアリでしょう。
そして右側に速度の操作系が集中したバイクの構造ですが、これは右カーブの際の右手・右足の窮屈さを開放することが重要です。
たとえばスロットルを握る右手は、ヒジを外に広げてグリップの端から小指と薬指で巻き込むように握ると、手首の窮屈さを緩和できます。またステップに置いた右足は、とくに右側に腰をズラすと窮屈に感じるので、土踏まずをステップの先端に乗せたり、靴裏をステッププレートに軽くあてがうなど工夫して、窮屈さを開放してみましょう。
ちなみに軸足が右足で利き足が左足(スノーボードやサーフィンで「グーフィー」と呼ばれる)の人は、「右カーブが得意で左カーブが苦手」と感じているかもしれません。その場合はここまでの解説と反対に「左側に強く体重を預ける」ことを意識して乗ってみると良いでしょう。
右カーブと左カーブで得手不得手を感じるのは当然のことなので、そこは悩まずに前向きに攻略していくことをオススメします。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。









