財布を圧迫するガソリン代 避けたい「ガス欠」 少しでも燃費を良くするには?
バイクで走るには、当然ながらガソリンが必要です。そして走れば走るだけ消費します。だから少しでも燃費を良くしたいと思うのはライダーの性。メンテナンスや乗り方で、けっこう燃費が変わるのです。
燃費の悪化、主な原因はメンテ不足!?
バイクはエンジン形式や排気量、車両重量などの関係で、車種ごとに「燃費」が異なります。そしてカタログやメーカーのホームページのスペック表には燃料消費率の項目があり、「定地燃費値」と「WMTCモード値」が表記されています。どちらも参考にはなりますが、ライダーの乗り方や走るシーンによって実際の燃費は変化します。

決して安くはないガソリン代を考えると、少しでも燃費が良いに越したことはありません。また「なんだか以前より燃費が悪くなったかも……」と感じることもあります。そこで車両と乗り方の両面から、燃費について考えてみましょう。
まずは個々の車両の燃費ですが、日頃のメンテナンス状況によっては、実際の燃費が悪化することは多々あります。
たとえばタイヤの空気圧が指定よりも低くなっていると、路面との走行抵抗が増えるため燃費が悪くなります。タイヤの空気は特に問題が無くても徐々に抜けていくので、マメにチェック&補充しないとバイクが新車に近い状態でも起こりえます。
経年劣化による影響もあります。チェーンが伸びている&スプロケットが減っていると駆動ロスが発生するため、厳密に言うと以前より遅くなります。またホイールのベアリングの動きが悪くなっていると摩擦抵抗が増加するので、やはり遅くなります。
他にもエアフィルターが汚れていると空気の流入量が減るためパワーが落ちますが、それを補うためにアクセルをたくさん開けるため燃費が落ちます。
点火プラグが劣化すれば火花が弱くなって爆発力が落ちるので、やはり同様の症状になります。
エンジンオイルが汚れてくるとエンジン内の摩擦抵抗(フリクションロス)が増すため,やはりパワーが落ちて……以下同文です。
要するに、メンテナンス不足や経年劣化によってバイクが「遅く」なると、ライダーは無意識のうちにアクセルをたくさん開けてパワーを補おうとします。するとエンジンの回転数が高くなるので、その分ガソリンを消費する=燃費が悪くなるワケです。
昔の2ストロークエンジンの原付スクーターなどは、エアフィルターの汚れなどが大きく影響して、あからさまに遅くなったり始動性が悪化したりするので、ある意味分かりやすかったのですが、いまどきのFI(電子制御式燃料噴射)で、しかも大排気量モデルだとバイク自身が燃調(燃焼ガスの濃さ)を自動的に補正したり、そもそもが大パワーなので遅くなったことにライダーが気付かないパターンが多いかもしれません。しかしメンテナンス不足やバイクの劣化は燃費の悪化となって表れるのです。
ちなみに暑い夏と寒い冬では、冬の方が燃費は悪くなります。これは気温が低いとガソリンが気化しにくくなり、かつ空気(酸素)の密度が高くなります。近年のFI(電子制御式燃料噴射)はマフラー(エキゾーストパイプ)に設置したセンサーで燃焼状態をチェックしており、ガソリンが燃えやすい夏場よりも「酸素が残っている=ガソリンが足りない」と判断して燃料噴射量を増やすため、結果として燃費が悪化するといわれています。これはFIの構造上の問題なので、ある意味仕方ないといえます。
乗り方でも燃費が変わる!
燃費の悪化に起因する車両側の問題は、きちんとメンテナンスして劣化したパーツなどを交換すればある程度解決できます。次はライダーの乗り方ですが、これはズバリ「急」の付く運転をしないことが一番です。
急発進や急加速を行えば、エンジンを高回転まで回すことになるので、当然ながら燃費は悪化します。
また急減速する際にエンジンブレーキを強く効かせると、やはりエンジン回転が高くなります。ただしこちらは、昔のキャブレター車ならアクセルを閉じていてもエンジン回転数(吸入負圧)に応じて相応にガソリンを消費しましたが、現代のFI(電子制御式燃料噴射)は燃費はもちろん排出ガスを抑えるためにも、スロットルを閉じた減速中には燃調を絞るので影響は少ないかもしれません。
いずれにしても「エンジンの回転数の高さ=爆発回数の多さ=ガソリンの消費量の増加」なので、燃費の上ではエンジンをできるだけ低回転に保つことが重要です。
そのためにはマメなギアチェンジが得策です。たとえば中排気量以上のバイクなら、街乗りでも峠道でも3速に入れっぱなしで走ることも可能ですが、それだと回転数の高低が大きいため、燃費も良くなりません。
ちなみに、無用に長い暖機運転や不要な空ブカシは、当然ながらその分ガソリンを消費するので燃費が落ちます。これは周囲への気遣いやマナーの問題なので、燃費以前の話かもしれませんが……。
ガス欠しそうになったらどうする!?
メンテナンスは燃費だけでなく、バイクの健康を保つ上で大切ですが、乗り方に関しては「燃費ばかり気にして走っていたらつまらない」という意見もあるかと思います。この辺りは人それぞれでしょう。
とは言え、「ガス欠」しそうになったときは否応なしに燃費の良い走りをするしかありません。

最近のバイクは燃料計はもちろん、瞬間燃費や平均燃費、さらには残ガソリンでの走行可能な距離を表示する機能が備わる車種も多いので、いきなり「ガス欠するかも」の事態には遭遇しにくいと言えます。
しかし給油した際にトリップメーターをリセットすることを忘れたり、山間部などを「たぶん大丈夫だろう」と走っていたら、全然ガソリンスタンドが無い……といったこともあるでしょう。
そんな時は、前述したようにエンジン回転を上げずに「低回転に徹する」ことが鉄則です。これは「低回転=低速で走る」という意味ではありません。ガス欠しそうになるともの凄くユックリ走るライダーもいるようですが、それだと交通の流れを阻害したり危険なので、できるだけ高いギアを使えるようにマメにギアチェンジして、回転数を下げつつスピードを維持しましょう。
あまりに低回転を意識し過ぎてタコメーターばかりを注視するのは危険です。回転数を一定に保つためにアクセルを微妙に開閉し続けていると、かえって燃費が悪化するケースもあるので、必要以上に意識しない方が良いとも言えます。
また高速道路を走行していて、サービスエリアを通り過ぎてから「ガス欠するかも」と気付いた時は、まだ先行きが長くても、意を決して次のインターチェンジで降りてガソリンスタンドを探して給油しましょう。高速道路で給油のできるサービスエリアは、おおむね50km間隔で設置されていますが、ルートによってはそれ以上に間隔があったり、まれに給油所の無いサービスエリアもあるからです。
高速道路上は駐停車禁止(違反点数や反則金アリ)ですし、万一にもガス欠で止まってしまったら大変危険な上に、ロードサービス等を呼ぶのにお金もかかります。
バイクに(経済的に)乗る上では燃費の向上やガス欠の回避は不可欠です。
また燃費の悪化はバイクの健康状態を知る目安のもなるので、メンテナンスや乗り方を工夫するのは、けっこう大切と言えるでしょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。









