「熊本駅」から見える白い塔!? 駅ウラの激坂スイッチバック 山頂から望む圧巻の絶景とは!
「熊本駅」西口を出るとすぐに、「花岡山」に建つ白い仏舎利塔が見えます。そこへ至る道は、駅から数分で本格的なヒルクライムを楽しめます。強烈なスイッチバックと山頂の眺望、その魅力を紹介します。
改札口から数分でヒルクライムが!?
「JR熊本駅」の新幹線口(西口)を出るとすぐ、市街地の奥の小高い丘に立つ、真っ白に輝く塔が見えてきます。思わず「なんだろう?」と気になってしまう存在感あるその塔こそ、「花岡山」に建つ仏舎利塔です。
山の標高は133mと決して高くはありません。しかし、自転車で登り始めると、その印象は大きく変わります。駅からほんの数分で、日常の景色から一気に切り離されるような、特別な空気に包まれるこの山は、サイクリストに嬉しい「駅チカ絶景ヒルクライム」なのです。
熊本市西区に位置する「花岡山」は、かつては朝日山や勢高山、祇園山などと呼ばれていました。明治2年に桜が植えられたことをきっかけに、現在の名が付けられたと言われています。

山頂には、熊本城築城の折に加藤清正公が腰掛けたと伝えられる「兜岩(腰掛岩)」が残され、斜面には西南戦争ゆかりの砲座跡や官軍墓地、歴史上の人物の墓所などが点在しています。
また明治9年には、熊本洋学校の35名の生徒たちが、この山でキリスト教への信仰を誓い、のちに「熊本バンド」と呼ばれ、日本プロテスタントの源流となりました。
そして現在、「花岡山」を象徴する存在としてそびえているのが、1953年に完成した仏舎利塔です。インドのネルー首相から贈られた釈迦の遺骨(仏舎利)が納められており、世界平和を祈る象徴として建設されました。
「花岡山」は桜の名所としても、夜景スポットとしても多くの人々に親しまれています。
駅裏から短くてもパンチ力抜群のヒルクライムが!
「花岡山」には2つの登坂ルートがあります。オススメは熊本駅西口から最短で登る定番コースです。距離1.8km、平均勾配5.5%、標高差約100mという短い登坂です。新幹線の線路沿い、「清水寺」付近の信号を起点とします。

登り始めるとすぐに短い直線区間が続き、ほどなくして急なコーナーが現れます。この第1コーナーを皮切りに、ペダルを止めないと曲がり切れないほど鋭いスイッチバックが4連続で待ち構えています。
ゆっくりペースで登れば、連続するコーナーが「峠感」を盛り上げ、離れゆく市街地の眺望を楽しむことができます。
一方で、タイムを狙うような走り方をすると、曲がっては再び力強く踏み直すインターバルが、脚に心地良い負荷を与えてくれるはず。

もうひとつの登坂ルートは、北岡自然公園側からのアプローチです。登りの厳しさは、距離1.9km、平均勾配5.7%、標高差約110mになります。2つのルートで大きな違いはありません。
前半区間にスイッチバックはなく、後半区間は駅近ルートと合流します。
どちらのルートも、短いながらも本格的な登坂の雰囲気を味わえる、初心者から経験者まで幅広いサイクリストが楽しめます。
山頂で味わう、圧巻の景色
最後のコーナーを抜けてもうひと踏ん張り。駅から見上げていた仏舎利塔が目の前に姿を現します。フィニッシュの山頂エリアには駐車場、トイレ、自動販売機が整備されています。そして何よりのご褒美は、展望所からの大パノラマです。
眼下には熊本駅と白川の穏やかな流れを望み、熊本市街地が大きく広がっています。
南方には二本杉峠や大通峠を有する、標高1500mにも迫ろうかという山並みが屏風のようにそびえ、西へ視線を向けると、阿蘇の山々が圧倒的な存在感を放っています。
ベンチに腰掛けてゆっくりと景色を眺めれば、贅沢な時間が流れます。多くの地元の人々が散策に訪れる場所でもあり、山頂には穏やかな空気が漂っています。
「駅近」だからこその魅力
麓に戻ればすぐに市街地というのが「花岡山」の良いところ。熊本の味覚がそこにはあります。
濃厚でニンニクの効いた熊本の豚骨ラーメンに食感も楽しい馬刺し、ツンと鼻に抜ける辛味がアクセントの辛子蓮根は、お酒との相性抜群です。

昼食も晩酌も、短いヒルクライムのあとのご褒美としてたまらない魅力があります。
標高は低く、距離も短い山ではありますが、駅から近いため市街地の眺めは抜群。
旅の途中に立ち寄ってもよし、朝練として走ってもよし。出張の空き時間に登ることもできてしまうかも?
自転車で登った「花岡山」からの絶景は、きっと忘れられない思い出になるでしょう。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。










