ブランド誕生から120年!? アメリカで最初のバイクメーカー「インディアンモーターサイクル」が独立企業に その全貌とは
企業の成長手段として事業の分離・買収が繰り返される、アメリカで120年以上の歴史を持つモーターサイクルブランド「インディアンモーターサイクル」の独立が発表されました。「ハーレーダビッドソン」でビジネス統轄副社長を務めるなど、米バイク業界の変革をけん引した人物をトップに迎えた再編が始まりました。
バイク部門独立、ブランドを先鋭化
アメリカ最古のモーターサイクルブランドである「Indian Motorcycle(インディアンモーターサイクル)」は、2026年に125周年を迎えます。
2026年2月2日、世界最大級のパワースポーツメーカー「Polaris(ポラリス)」(本社=米ミネソタ州)は、インディアンモーターサイクルが担っていたモーターサイクル事業を投資会社「Carolwood LP(キャロルウッドLP)」(本社=米カルフォルニア州)に売却しました。
インディアンモーターサイクルはポラリスの持つ技術開発力を背景に、水冷エンジン「PowerPlus」や「Thunderstroke」を生み出し、ブランドを復活させてきました。この事業売却はインディアンモーターサイクルをさらに飛躍させるものとして、好意的に受け止められています。
インディアンモーターサイクルは、ポラリス内でスノーモービルや大型のATV、軍用車両、ボートなどと競う中のオンロードセグメントでした。カワサキモータース独立前の川崎重工業との関係に似て、その経営判断をバイク事業だけに振り向けるわけにはいきませんでした。
キャロルウッドLPは、インディアンモーターサイクルのブランドが持つ「125年の歴史」とポラリス傘下で磨かれた「高い技術力」に着目し、バイク事業として特化させることで、さらに飛躍的なブランドの成長力を期待しました。
2014年に設立された同社は、一度買った資産を売却したことがないと言われるほど、短期的な利益確定より、長期的なブランド育成を重視する姿勢を持つ投資会社としてアメリカでは認知されています。
マイク・ケネディという「業界の巨人」
インディアンモーターサイクルの将来が期待される大きな理由のひとつに、事業買収ともの新CEOに就任したマイク・ケネディ氏の存在があります。

ケネディ氏はバイク業界で30年以上の経歴を持ち、1989年~2017年の四半世紀をハーレーダビッドソンに在籍し、主力である北米、中南米を統括する副社長を務めました。
その後、アメリカンバイクのエギゾーストノートを体現する伝説のマフラーメーカー「バンス&ハインズ」のCEOとしてアフターパーツ市場をけん引しました。今回の声明では次のように話しています。
「アメリカ初のモーターサイクルメーカーとして、誇りをもってアメリカにこだわります。私たちのブランドと事業は、アメリカのアイデンティティ、そしてなによりもアメリカでの製造業に根ざしています。『Bulit in America』は単なるスローガンではない。これは競争上の優位であり、私たちはそれを積極的に活用していくつもりです」
強みは「金融の論理」と「ライダーの情熱」を翻訳できる点にあります。投資会社(LP)に対しては、独立企業としての収益性と出口戦略を示し、ディーラーやファンに対しては、誰よりも深く知るアメリカンバイクの伝統と革新を説く。こうしたリーダーの存在が、今回の独立を「単なる切り離し」ではなく「攻めの再始動」へと変えていくことが考えられます。
インディアンモーターサイクルは「America’s First Motorcycle Company(アメリカ初のモーターサイクルカンパニー)」を自負しています。ただ、1953年に一度倒産し、ブランド名が転々とした後、2011年にポラリス・インダストリーズが買収したことで完全復活を果たしました。
一方、ハーレーダビッドソンは継続して生産する最古のアメリカンブランドです。ケネディ氏はさらにディーラーの協力を求めました。
「ディーラーは私たちにとって最も重要なパートナーで、私たちのビジネスはディーラーの成功に基づいて評価されます。私たちはディーラーと緊密に協力し、彼らからのフィードバックに積極的に耳を傾け、それをディーラーオペレーションだけでなく、製品開発やマーケティングにおいても、私たちの計画や意思決定に反映させていくつもりです」
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。





