「鉄カブ」時代は当たり前のポイント&コンデンサ点火システム 定期的な清掃と適時調整が必須!!
通称「鉄カブ」時代のホンダ「スーパーカブ50/70」を題材に、「ポイント」制御まわりのメンテナンスポイントを解説します。
1980年代初頭以前が採用するポイント制御の点火方式
OHVエンジンを搭載した初代「スーパーカブC100」時代から、1980年代初頭まで採用されていたのが、通称「ポイント」こと、コンタクトブレーカー+コンデンサによって点火タイミングが制御される、フライホイールマグネトー点火方式です。
この点火方式では、ポイント接点に電気が流れ、コンデンサは瞬時に畜放電が繰り返し行われるため、部品の経年劣化はもちろん、汚れによる影響も受けやすいものです。したがって、定期的な点検清掃が必要不可欠になります。

現代の「スーパーカブ」は当然ですが、キャブレター時代でも、1982~83年以降に生産されたモデルには、CDI (キャパシティヴ・ディスチャージ・イグニッション) 点火方式が採用されています。
フライホイールマグネトー(エキサイターコイル)によって発電された、交流電流を電源にしている点ではポイント時代と同じですが、CDI点火の場合は、高回転化とともに高まる交流電流に対して、点火タイミングを司るピックアップ(シグナルジェネレータ)コイルと、トリガーセンサー間が無接点式のため常に安定した火花を安定タイミングで力強く飛ばすことができます。
一方で、通称「ポイント式」の場合は、発電された交流電流をイグニッションコイルの1次側へ接続する際に、ポイントの開閉でスイッチングを行い、イグニッションコイルの2次側へ高電圧を誘発させて火花を飛ばす仕組みとなっています。
1次電流を蓄電するために並列接続されているのがコンデンサで、ポイントが開いた瞬間にイグニッションコイルの1次側へ向けて電気が流れ、高電圧の誘発をアシストする仕組みとなっています。
言葉で説明するとややこしいですが、そのような点火回路で構築されているため、ポイント接点やコンデンサがダメージを受けると、点火系が不調になってしまう事象が現れます。
具体的には、ポイント接点が汚れることで(不動車=長期間の放置で接点汚れが発生する)、無通電になってしまい、接点の断続信号が送れずスパークプラグが着火できない状況になります。
また、ポイント接点が電蝕摩耗によって、正しい断続ができなくなってしまうこともあります。
このような場合は、ポイント接点のクリーニングが必要です。単純な汚れの場合は、ポイントが閉じた状態で強制的にポイントを開き、細い短冊状かつ二つ折りにしたコピー紙をポイントに挟み、スプリング張力で閉じている接点からコピー紙を引き抜くことで、ポイント接点の汚れを除去することができます。
ポイントを開いてパーツクリーナーを吹き付けることでも脱脂洗浄できますが、コピー紙利用の方法でも汚れを落とすことができます。
ポイント接点が「ただれ」てしまう原点がコンデンサ不良
ポイント接点が電蝕ただれを起こしている時には、800番の耐水ペーパーを準備します。細く切って短冊状かつ二つ折りにして、前述した方法で接点に挟み、何度か引き抜きを繰り返すことで、接点のただれを平滑に研磨できます。
しかし、接点がただれてしまう最大の理由が「コンデンサ」そのものにあることが多く、コンデンサ不良(通称コンデンサのパンク)によって、ポイント接点にダメージが及ぶことを忘れてはいけません。
コンデンサの良否は目視確認できませんので、コンデンサテスターもしくは汎用のサーキットテスターのコンデンサ検査モードで、接続端子とポディ間で数値を測定します。

「スーパーカブ」に限らず、ポイント点火方式のモデル(他メーカー製モデルも含む)では、おおむね0.25~0.35μF(マイクロファラト)のものが多く、「スーパーカブ50/70」のサービスデータによれば0.27~0.33μFと記載されています。
このデータが安定的に確保されていればコンデンサは正常ですが、温度変化によってデータが変動する際にもパンクが疑われます。
具体的には、冷間始動時は問題なく走れていたのに、エンジンが温まるとアフターファイヤーを起こし、マフラーからは「パンパンッ」と音を発するようになります。
さらに症状が悪化すると、エンジン回転が上がらなくなり、アイドリングも不安定になってしまいます。そんな症状が起こった際には、エンジンカバーを取り外し、回転中のフライホイール側面穴からポイントの断続状況を確認するのが良いです。
ポイント接点から元気良く、連続的に火花が飛んでいる時には、コンデンサ不良と判断できます。また、快調に走れるコンディション時に、同じようにアイドリング中のフライホイール側面からポイント接点を凝視すると、接点の断続中に、火花が時折飛ぶのが見えます。コンデンサ不良の時のように、連続的に飛んでいないことを確認できます。
コンデンサ不良は一気に起こるものではありません。徐々に悪化する中で、徐々にポイント接点へダメージを与えてしまいます。
したがって、普通に走れるコンディションでも、ポイント接点がただれ気味だと気が付いた時には、近い将来「コンデンサ不良が発生するかもしれない」と、予測することもできます。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。











