汚れボディのクリーニングからエンジン始動!! 屋根下保管車は思いのほか「良い子ちゃん」!? 長期放置のチョイ古「スーパーカブ50(カブラ50)」復活メンテ
長年放置だったホンダ「スーパーカブ50」のフレーム番号を調べると、「C50LM4」という2004年モデルで、発売当時以上に人気が高まっている「カブラ」と呼ばれる仕様車でした。新たなオーナーから「何とか走るようにできませんか……」と相談を受け、まずはエンジン始動して、どの程度のコンディションなのか現状確認することから始めました。
薄汚い車体はきれいサッパリ!! エンジン始動は意外にも……
想像していた以上に見た目は美しく仕上がり、淡い「水色」が個性的な印象の「リトルカブラ号」。ガソリンタンクキャップを開けてタンク内部を覗き込むのと同時に、ガソリンの臭いをチェックしてみました。いわゆるあの、いゃ~なガソリン腐りの兆候はありませんでした。
しかし、明らかにフレッシュではない臭いと、指先で触れると揮発度が低く感じられたガソリンは、もはや「ガソリン」とは言い難いコンディションでした。仮に、この復活メンテナンスを数カ月後に実施していたら……と思うと、タイミング良く取り掛かれたのは、幸いなことだと感じました。
「良い圧縮」「良い爆発(燃焼)」そして「良い燃料」の3要素が、エンジンの好不調を左右する基本要素になります。
このリトルカブラの場合は、前オーナーが自宅から会社に乗ってきて、そのまま数年間放置された経緯があります。まずは燃料コンディションを疑いつつ、エンジン始動に取り掛かるのが近道だと考えました。

最初に、フレッシュなガソリンへ入れ換えます。その際に注意すべきポイントは、「キャブのフロートチャンバー内が劣化したガソリンで汚れていないか?」「ガソリンタンク内が汚れていて、サビが発生していないか?」です。
この2点は要注意です。いくらキャブを分解オーバーホールしても、上流域にあたるガソリンタンク内部が汚れている状態では、ゴミやサビ粉が再び流れ込み、不調が再発してしまいます。
逆に、キャブレターが汚れたままでは、フレッシュなガソリンを流し入れてもオーバーフローを起こしたり、気持ち良くエンジンが吹けないなど、トラブルに至ることも考えられます。
このリトルカブラに関しては、キャブレターのフロートチャンバー内に、想像以上に多くのガソリンが残留していて、各通路やジェットの穴を詰まらせている症状はありませんでした。ガソリンタンク内部は、古いガソリンをすべて抜き取り点検しましたが、サビや汚れは一切無く、実に良いコンディションでした。
仮に、フロート内に残留ガソリンが無かったり、フロートチャンバーのドレンボルトを開けたときに、数滴だけが滴り、しかもドロッとした液体が流れ出てきたときには覚悟が必要になります。劣化したガソリンでキャブレター内部全体が汚れていて、簡単にエンジン始動できないときには、キャブのオーバーホールをしなくてはいけません。
しかし今回は、キャブレター洗浄ケミカルをフロートチャンバー内に流し入れ、しばらく待った後にフレッシュなガソリンに入れ換えて始動トライすると、何事も無かったかのように、エンジンは始動できるコンディションに蘇りました。
汚れが軽傷なら、キャブを分解せずに、内部にフレッシュなガソリンを通すだけでもエンジンは復活始動できるようになります。大事に至らなかったことが、逆に拍子抜けでした。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。


















