「男のソフトバイク」として登場 テレビCMで大きな話題を呼んだヤマハの2スト原付「TOWNY」 男性ファッション誌の世界観にどハマり!?
1970年代終盤に女性向けの原付バイクである「ソフトバイク」市場を構築したヤマハの次なる一手は、男性ファッション誌で紹介される海外のライフスタイルとフィットさせた、男のためのソフトバイク「TOWNY(タウニィ)」でした。
フットペグ+プレスバックボーンフレームの男性向けソフトバイク
ヤマハは原付バイク「パッソル」発売時に、「ソフトバイク」という新たな市場を作り出したのが1977年でした。姉妹車の「パッソーラ」とともに、女性を中心に新たなユーザー層を掘り起こしました。
ソフトバイク市場はやがて原付スクーターへと変化しますが、この時期にはさまざまな形態のソフトバイクが売り出されました。
「パッソル/パッソーラ」の車体はフルカバータイプのステップスルーで、細身のスクーター的なスタイルでした。1979年になるとフットペグ+パイプフレームの「キャロット/リリック/マリック」の3台が加わり、ソフトバイクのラインナップは充実していきます。
拡大するソフトバイクの市場からは男性用モデルを望む声もあり、1980年に「TOWNY(タウニィ)」が登場し、テレビCMではサックスプレイヤーの渡辺貞夫さんが起用されました。
渡辺さんは当時全国的に有名なジャズミュージシャンで、笑顔が素敵な「イケオジ」としても大人気でした。テレビCMでは「カッコ良い男の乗りもの」として認知されました。

車体は「パッソル」などとは異なり、外側に見えている外皮(鋼板)がプレスバックボーンフレームそのものです。ストレートに伸びたメインパイプが男の乗りものとしてのスポーティさをイメージさせます。
フレームの間からシリンダーヘッドが見えるエンジンは空冷2ストロークで、2.8PSを6000rpmで発揮します。駆動系はオートマチックの2段変速と、チェーンではなくシャフトドライブの組み合わせでした。
大柄な男性が乗ってもサマになる大型シートやリア2本ショック、ソフトバイクとしては大径のフロント16インチ/リア14インチホイールで疲れない乗り心地です。
ソフトバイクは街乗りメインではありますが、「タウニィ」は長距離走行を意識した容量2.8Lの大きめの燃料タンク、燃料計、前後キャリアも装備しています。燃料タンクはシート下に、オートルーブのオイルタンクはフレームに内蔵されています。
車体色はソリッドなイエローとホワイト、グリーンの3色で、いずれもエンジンとドライブユニットはブラックアウトされています。

1970年代に創刊された男性ファッション誌などが紹介する、アメリカ西海岸などのライフスタイルやカルチャーと、ヤマハが提案した「タウニィ」の世界観が上手にフィットしていました。
しかしソフトバイクの流れは翌1981年に発売されたヤマハ「ベルーガ」などから、原付スクーターへと一気に向かい、「タウニィ」のようなフットペグタイプのソフトバイクは少数派となります。
ヤマハ「タウニィ」(1980年型)の当時の販売価格は8万9800円です。
■ヤマハ「TOWNY(MJ50)」(1980年型)主要諸元
エンジン形式:水冷2ストローク単気筒
総排気量:49cc
最高出力:2.8ps/6000rpm
最大トルク:0.4kg-m/3500rpm
全長×全幅×全高:1600×660×1050mm
シート高:760mm
始動方式:キック式
燃料タンク容量:2.8L
車両重量:53kg(乾燥)
フレーム形式:プレスバックボーン
タイヤサイズ(前):2.00-16
タイヤサイズ(後):2.25-14
【取材協力】
ヤマハ・コミュニケーションプラザ(静岡県磐田市/ヤマハ発動機本社隣接)
※本記事中の写真は許可を得て撮影しています
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員









