50cc原付のスーパースポーツ!? ヤマハ「RZ50」は“まぎれもない”「RZ」だった!! 夢の水冷“ゼロハン”登場
1980年に登場したヤマハ「RZ250」は大ヒットとなり、翌1981年には水冷2ストロークスポーツ車のラインナップを50ccにまで拡大して「RZ50」を投入しました。上級車に準じたメカニズムを装備した本物志向の50ccスーパースポーツです。
50ccクラスの2ストロークスーパースポーツ登場
排気量50ccクラスのエンジンを搭載する原付バイクは、2025年10月で実質生産終了となり、現在は125cc以下のエンジンを改良した「新基準原付」に切り替わっています。ヤマハは2026年2月に新基準原付の「ジョグ・ワン」を発売し、原付ユーザーの需要に対応しています。
最後まで生産されていた50ccエンジン車はスクーターやビジネス車で、原付のスポーツバイクはずっと以前からラインナップされていません。
原付=スクーターというイメージが一般的かもしれませんが、1981年に発売されたヤマハ「RZ50」は、2ストロークエンジンを搭載する原付ロードスポーツバイクでした。

1970年代に入ると、バイク市場では上級車のスタイルをそのままダウンサイジングした50ccが登場します。ヤマハでは2ストロークスポーツ車の「RD」シリーズの末っ子として、「FX50」や「RD50」が発売されました。
原付の商品性が高まるにつれて、「750ccがナナハンなら、50ccはゼロハン」と呼ぶメディアも現れます。同時にこのクラスでもメーカー間での開発と販売競争が激化していきました。
「RZ50」もこうした流れの中で開発され、原付ながら「RZ250/RZ350」同様の2ストロークモデルとしての魅力を追求しています。
そうして完成した「RZ50」は、50ccロードスポーツモデルと呼ぶに相応しい装備と性能でした。国産50ccスポーツとしては初の水冷2ストロークエンジンを搭載しています。
「RZ250」が水冷エンジンで日本中のライダーを驚かせたのは、「RZ50」が発売されるわずか1年前のことでした。水冷という新技術は急いで原付市場へ投入されたわけです。
ダブルクレードルフレームにモノクロスサスペンション、フロントディスクブレーキに火炎デザインのキャストホイール、チャンバー形状の排気マフラーなど、「RZ250」のセールスポイントだった主要なパーツは「RZ50」でも同様に装備され、「RZ」を名乗るに相応しい構成となっています。
低くセットされたコンチネンタルハンドルやバックステップ、レーサータイプのリンク式チェンジペダル、6速ミッションなども上級「RZ」ゆずりです。

大きく異なるのは外観で、「RZ250」に比べると「RZ50」の方が角型ヘッドライトやシャープなエッジが強調された外装部品でモダンなスタイルとなっています。グラフィックは「RZ350」のゴロワーズカラーに似たストライプをエッジに沿わせています。
前後ホイールは「RZ250」と同じ18インチという本格的な車格でした。このサイズ感は上級車に憧れる原付ライダーの所有感を満たしたはずです。
ちなみに翌1982年には、同じく水冷エンジンを採用した原付スーパートレイル「DT50」が発売されています。原付スクーターブーム以前には、こうして上級車のコンセプトを引き継いだ原付スポーツ車がたくさんあり、バイクブームを底辺から盛り上げていました。
「RZ50」のエンジンはクラス最強の最高出力7.2PSなので、「さぞやピーキーなエンジン特性で……」と思いきや、新採用の「Y.E.I.S.(ヤマハ・エナジー・インダクション・システム)」の効果で少ないスロットル開度から谷のないフラットなトルク特性となっていました。
メカ的な話になりますが、2ストロークではエンジン内に空気(実際には混合気)を吸い込む時に、吸気通路内を勢いよく流れていきます。ところが圧縮工程に入ったところでエンジン内の吸気の扉が閉じると、行き場のなくなった空気が衝突してしまいます。
勢いがついた空気は溢れてキャブレターまで逆流してしまうこともあります。こうした有害な圧力脈動を減らす(圧力を逃す/戻す)小部屋が「Y.E.I.S.」です。このおかげでエンジンは常に空気とガソリンを安定して吸い込むことができます。
「RZ50」登場の後、フルサイズの原付スポーツ車としてレーサーレプリカの「TZR50」(1990年)が発売されました。
また1998年にはレトロな雰囲気が楽しめる前後17インチでワイヤースポークホイールを採用した「RZ50」が登場し、車名が復活しています。
ヤマハ「RZ50」(1981年型)の当時の販売価格は17万6000円です。
■ヤマハ「RD50」(1981年型)主要諸元
エンジン形式:空冷2ストローク単気筒
総排気量:49cc
最高出力:7.2ps/9000rpm
最大トルク:0.62kgf・m/8000rpm
全長×全幅×全高:1910×685×1000mm
シート高:760mm
始動方式:キック式
燃料タンク容量:10.0L
車両重量:75kg
フレーム形式:ダブルクレードル
タイヤサイズ(F):2.50-18-4PR
タイヤサイズ(R):2.75-18-4PR
【取材協力】
ヤマハ・コミュニケーションプラザ(静岡県磐田市/ヤマハ発動機本社隣接)
※本記事中の写真は許可を得て撮影しています
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員










