自転車は「右利き用」に作られている? 自然と身についている「理にかなった動作」とは

普段から使い慣れ、生活の「足」として欠かせない存在となっているは自転車は、じつは「右利き用」に設計されています。その理由を知ると、安全な乗り降りの仕方が見えてきます。

自転車の構造から見えてくる「理にかなった動作」

 ハサミや急須、文字を書く方向など、世の中の道具やルールの多くは、「右利き」の人を基準に作られています。その理由は単純で、人類の約90%が右利きだからです。そして、意外と知られていないかもしれませんが、日々乗っている自転車もまた、右利き用に設計されています。

 自転車の構造をよく見ると、チェーンとギアが車体の右側にあります。車体は左右対称ではなく、駆動する部品は右側に集まっています。これは日本だけの話ではなく、世界共通の設計です。

 その理由は「ネジが締まる方向」にあります。一般的なネジは時計回りで締まり、反時計回りで緩む「右ネジ」が世界標準です。

 自転車のペダルを漕ぐとき、右側から見ると時計回りに回転します。つまり、ギアやチェーンを右側に配置することで、走るたびにネジが自然と締まる方向に力がかかり、緩みにくくなるのです。

 もし左側に取り付けた場合、回転のたびにネジが緩む方向に力がかかってしまい、走行中に部品が外れてしまう恐れがあります。

 ではなぜ右ネジが世界標準になったのでしょうか。それもまた、人類の約90%が右利きであることと深く関係しています。

 右手でネジを締めるとき、時計回りの方が力が入りやすいため、自然と右ネジが普及したと考えられています。

 ネジは紀元前400年前後に発明されたと言われていますが、その頃からすでに右ネジが主流だったようです。つまり自転車の構造は、はるか昔の人類の利き手の傾向にまでさかのぼる話なのです。

右利き用設計が生む「自然な乗り降り」

 細かいところを見ていくと、スタンドのロックは車体の左側にあります。これも右利き用の設計で、右足で操作しやすい位置に設けられています。

 足にも「利き足」があり、手が右利きの人の多くは、利き足も右だと言われています。

自転車は「右利き」用に作られている?
自転車は「右利き」用に作られている?

 自転車をこぎ始めるとき、より強く踏み込める右足でペダルを踏みます。そして停車するとき、右足をペダルに残しながら、左足を先に地面に下ろします。そして車体の左側に降り、降車後は右足でスタンドのロックを操作する、という一連の流れが自然にできるようになっています。

 つまり、自転車の構造と利き足の動きに従うと、自然と「左側から乗り降り」になるのです。

 日本の道路は左側通行で、自転車は原則として車道の左端を走ります。そのため、停車中に車体の右側へ身体を出すと、後続車両と接触するリスクが高まります。とくに交通量の多い道路では大きな事故につながりかねません。

 左側からの乗り降りを習慣にしておくことは、こうしたリスクを減らすためのシンプルで効果的な方法です。「なんとなく左側から乗り降りしている」かもしれませんが、それは自転車の構造と交通ルールが一致した、理にかなった動作だったのです。

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